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ぼくことシア・ユンは五歳の立派な王子だ。

親元を離れて立派な王になるため 父の弟であるリューンベルト・ユンのもとへ「りゅうがく」中である。

この叔父のもとで「たみ」の生活をしっかりとみておぼえてくること が目的だ。


リューン叔父上は大変すばらしいせんせいだと ぼくはおもっている。


ぼくの食するものは すべてここで作られ 調理されている。

ぼくが「ちょうりば」へ行くことも、「はたけ」や「海」へ行くことも、禁じたりしない。

ぼくの身に着けているものも すべてここで糸から染めて 織られて 飾られて 着せられる。

ぼくが牧場に行くことも 織師たちのところへ行くことも そしてぼくがどんなものを着ても!!咎めたりしない。



こんなこと父上や母上のもとでは絶対許してはくれない。


姉君様のキラキラのドレス・・・ぼくは「王子」だから一生身に着けることなんてないとおもっていたけど、「あれは着心地はよいのですか」と叔父上に尋ねたら「身を以て知るがよいよ」と。

めからうろこ・・・ってどこかできいたけど、たぶんそういうこと。


今まで用意されたものをみにつけていたぼくだけど、それを着ることをだれも禁じたりしなかった。

そうかじぶんで着てみればいいのだ!!

嬉々として試着したものの・・・あれは二度と着たくない・・・。

あれは姫になるための試練なのだろう、と学べたのも叔父上のもとにいるからこそだ。


そして 今月は屋敷ではたらく「たみ」の体験である。


今日はめでたくも叔父上結婚!!ということだったけれど、ぼくは「王子」ではなく「はたらくたみ」なので屋敷で待機となった。

叔父上の晴れ姿を見に行きたかったが、これも勉強のひとつだと思い、叔父上の前で駄々をこねるのは堪えた。


なんのしごとをしようか

いつもは叔父上の指示に従うのだけれど、今日は「待機」だ。

今日は花嫁が楽しく過ごしやすい空間をつくるのがここではたらくもののしごとだ。


うーん

いまだ5歳のぼくにはお掃除くらいしかできないか・・・


と思い、掃除師たちのもとへ行ってみたのだが・・・

なにか足りない。

なんというか、華がない??


そうか!「おとなのじじょう」でここには男しかいないのだったな!

ひとつも華やかさがなければ、花嫁はがっかりするだろう。


ああ きがついてよかった


そういうわけで 

今日のぼくのおしごとは屋敷ではたらくゆいいつの女となって 花嫁のお世話をすることだ


お掃除にだいぶん時間をとってしまったので慌てて着替えていると

バタバタと外が騒がしくなった。


まだ帰ってくるには早い時間だと思うけれど・・


ほかのものたちと一緒に出迎えに行くと、叔父上は花嫁を抱いて屋敷に入ってきていた。

花嫁は気分が悪いらしい


叔父上は人払いをし、本来の花嫁のための室ではなく3階の小さな一間へと入って行った。

ぼくはどうしたものか、とりあえず叔父上に声をかけようとついていったわけなんだけど 叔父上はにっこりと笑って「ちょうどよい、そこに控えていなさい。」といったのだ。

そこってここか?

どうやら護衛役が与えられた仕事のようで 扉の前で立って見張りを買って出た。

きょうは女なんだけど、まあ いっか。


「わたしが声をかけるまではいってはならないよ」というので何があってものぞいたりなんてしなかったけど、えらくさわがしかった。


しんこんさんとはそういうものなのか

よくわからないけど




叔父上は出たり入ったりしていたけど 入るときなんだか慌てていたなーと 思っていたら声がかかった。


よし!出番だ!!


そう思って勢いよく入って 最初に目に飛び込んできたのは あまりに儚い様子の 異国の姫だった。





  


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