形にする
部屋の床板を外す。
布包みを広げると、魔石がいくつも転がった。大小混じりだが、質は悪くない。サラマンダーの魔石もある。熱量がまだ残っている。使える。
魔石は貯めるだけでは意味がない。形にして初めて価値が出る。売るつもりはない。自分で使う。
机に道具を並べる。刻印具、導線、触媒粉。生活魔法で温度と湿度を一定に保つ。環境を整えるだけで失敗率は下がる。これは経験則だ。
最初は小物でいい。消耗品。失敗しても痛くないもの。
狙いはライフル用の魔法弾。雷属性を主軸にする。発動条件は引き金。弾体は魔力を流すだけ。構造は単純。だから成功率が高い。
魔石を削る。導線を刻む。刻印は短く、用途は限定する。多機能は要らない。暴発の原因になる。
完成。見た目は普通の弾丸だ。違いは内部だけ。
試射はダンジョンでやる。屋敷では無理だ。
⸻
ダンジョンに入る。
浅層。敵は弱い。ここで十分。
洞穴ゴブリンが二体。距離はある。都合がいい。
ライフルを構える。呼吸を落とす。引き金を引く。
発射。
雷が走った。弾道は安定。着弾と同時に放電。片方が倒れる。反応は速い。残りが突っ込んでくる。
二発目。
同じ結果。問題なし。
魔石が落ちる。回収する。
成功だ。消費魔力は少ない。威力は初級より上。安全圏から処理できる。
これで選択肢が増えた。近接に入らなくていい。被弾が減る。時間も短縮できる。
効率が上がる。
⸻
ここから方針を変える。
一体ずつ、確実に。これは変えない。だが、階層と相手は選ぶ。弱い敵を数で回す。危険度を下げて回転数を上げる。
魔物は再湧きする。同じ場所でいい。移動時間を削る。戦闘時間も削る。
雷弾で先制。近づかれたら土で止める。闇は温存。切り札は最後まで取っておく。
判断基準は単純だ。死なない。時間を使いすぎない。魔力を空にしない。
この三つを守る。
⸻
数時間で、いつもより多く倒した。疲労は少ない。魔力も残っている。手応えがある。
効率的だ。安全だ。続けられる。
床に落ちた魔石を拾い、布に包む。数が増えた。管理が必要になる。次は保管用の魔道具を作る。生活魔法で十分だ。
出口へ向かう。
やることは決まった。作る。回す。積む。
入学まで、無駄は削る。




