1/8
餅は、よく喉に詰まる
正月だった。
テレビでは、朝から特番が流れていて、コタツの上には雑に置かれた皿と、焼きすぎた餅が二つ残っていた。
俺は一人暮らしだった。
実家に帰る予定もなく、特に理由もなく、
「正月っぽいから」というだけで餅を焼いた。
――それが、原因だった。
一口目は普通だった。
二口目で、少し引っかかった。
「……ん?」
飲み込めない。
咳も出ない。
空気が、入らない。
一瞬で、背中に冷たいものが走った。
(あ、これ……)
喉に詰まった餅は、思った以上に、動かない。
立ち上がろうとして、膝が崩れた。
テーブルに手をつくが、力が入らない。
視界が、狭くなる。
(最悪だな)
そんな感想が、妙に冷静に浮かんだ。
誰かに見られているわけでもない。
劇的でもない。
英雄的でもない。
俺は、
餅を喉に詰まらせて死んだ。
これからよろしくお願いします!




