整理と雑談
「えっと...多分ここだな」
十数分後俺と秀一は送られてきた住所に到着した。俺の予想では金城会長の事だから俺が幸知さんに借りているマンションのような凄いマンションに住んでいると思っていたがついてみたら普通のマンションだった。少し安心だ。
俺は住所と一緒に送られてきた部屋番号に向かう。そしてその部屋番号のインターホンをならす。するとインターホン越しに声が帰って来た。
「ハイ…あ~三葉君来たのね。今扉を開けるわ、ちょっと待ってて」
インターホンが切れしばらくしてドアの鍵が開いた。そしてドアが開いた。
「いらっしゃい三葉君、あら最上君もいたのね」
「どうもお疲れ様です!」
「突然押しかけてすみません」
「全然大丈夫よ。とりあえず入りなさい」
俺は持っているクーラーボックスをぶつけないように気を付けて金城先輩の後に続きリビングに入る。
「あれ、君は?あ!誠翔君か!」
リビングに入るとそこには知らない女性がいた。身長が低く一見年下に見えるが恐らく金城会長と一緒にいる時点で天稟高校の生徒、それも見たことが無いため1年生ではないため先輩だろう。
俺はすぐに自己紹介を始める。
「初めまして天稟高校一年の三葉誠翔です。金城会長とは生徒会の一員として知り合いです」
「うんうん、知ってる知ってる!」
俺の事を知っている…という事はもしかして
そう考えていると後から来た秀一がその人の事を見て反応する。
「あれ、天城先輩じゃないですかお疲れ様です」
「秀一君も来たんだね!…何しに来たの?」
「誠翔についてきたの7割生徒会案件三割ってところですね」
二人が他愛のない会話をした後に天城先輩が俺の方を見て自己紹介を始めた。
「改めて自己紹介するね。私の名前は天城紅葉。天稟学園2年A組で生徒会での仕事は大体みんなと同じだけど資料整理が多いかな~。生徒会の一員としてよろしくね~」
元気だ活発だが水無月先輩とは別のどこかのほほんとした雰囲気が感じられる。
「最上君、生徒会の案件とはどのの件かしら?」
後からリビングに入ってきた会長が秀一に生徒会の件を尋ねた。秀一は尋ねられるとすぐにバッグからノートパソコンを取り出す。
「頼まれてた資料作成が完成したのでそれの確認をお願いしたいです」
「あぁその件ね。ちょっと待ってて三葉君の御見上げを冷凍庫に入れてから確認するから」
「それなら勝手にこっちでやっておきますよ…って冷蔵庫とか冷凍庫の中なんて見られたくないですよね」
「あら、全然そんな事ないわよ。そういう事ならこっちも助かるからぜひお願いするわ」
少し失礼な事をしてしまったと思ったが会長は全然気にも留める様子もなかった。ならば俺も二人がしっかりと生徒会の仕事に取り掛かれるように精一杯仕事をさせてもらおう。
「誠翔君一人じゃ大変だろうし私も手伝うよ、いいよね会長?」
「勿論、手伝ってあげて」
俺は天城先輩と一緒に冷凍庫を開けクーラーボックスに入っていた魚を入れ整理する。そしてせっかく初めて天城先輩と会うので俺は先輩に会話を振ってみる。
「天城先輩はどうして生徒会に入ったんですか?やっぱりスカウトされたんですか?」
「う~ん…スカウトだったといえばスカウトだったしスカウトじゃなかったといえばスカウトじゃなかったような」
どういう事だろうか?前に水無月先輩が会長がスカウトした人以外は生徒会に合格したことが無いと言っていたが…。
「最初は雫がスカウトされてさ、それが面白そうだったからよくついて行ってたんだ。雫以外にも他の生徒会のメンバーもキャラクターが濃くて面白かったし。それでただ遊びに行くのもあれだったから雫の仕事の手伝いとか資料整理とか」
確かに生徒会のメンバーは一人一人キャラクターが濃い。あのいい意味で周りから浮いている存在の秀一や雲雀が普通に馴染めている。というか生徒会所属じゃない生徒も生徒会室に入って良いのか、あんなに入るの大変そうなのに…。いやでもよくよく考えてみればどこかゆるい雰囲気も感じる。
「それで暫く通ってたら何だったかな…あっ、あれだ。部活の会計予算の資料まとめてほしいって会長に言われたんだよね」
「部活の会計予算ですか…それって一般生徒が見ていいんですか?」
「それがね…ダメなんだよ!?」
当たり前だ会計予算なんてシビアなお金の問題だ。その部活に所属していたとしても見れる生徒なんてそうはいないだろう。
「それで私会長に一般生徒がこんな資料見ていいんですか?って聞いたの…。そしたらもう入ってる体で進めてたから勝手に所属届出しちゃった、って言われたの」
「それはまた勝手な」
元々行動力が高い人だとは思っていたがここまで行動力が高い人間だったとは。と言うかこれは行動力が高いと言っていいのだろうか…。
「まぁ最初は驚いたけど多分会長が出しても出さなくてもどっちにしろ入ってたと思うから時間の問題だったと思うけどね、こんな環境逃す手はなかったし。会長はそれも見越して出しただろうし。本当にやっちゃいけないことはやらないから」
「俺は意外と外堀を埋められた感じで入りましたけどね」
「そんなのまだまだだよ。私も茂木先輩から聞いた話だけだから実際は分からないけど会長が副会長を所属させるためにやったことはもっとすごいらしいから」
「そうなんですか。…なんだか副会長に勝手にですけど同情してきましたよ」
副会長に比べたら俺を所属させた方法なんて可愛い物なのだろう。俺はまだあった事もない副会長に親近感がわくと同時に強い哀れな感情が芽生えた。




