バーベキュー
「みんな料理の下準備は進んでるか~?」
俺が魚の下準備に集中していていると台所のドアが開き秀明さんが何かを担いで入ってきた。後かたずけを頑張っていたからだろう。秀明さんにしては珍しく汗だくになっている。
「おう親父、三人体制だからもう殆ど終わってるぞ!」
秀一の言う通り魚に関してはほとんどの下準備が終了していた。ただ三人体制だからと言うよりは魚の仕分けを終わらせた潮音さんがものすごい速さで捌き始めたため殆ど潮音さんのおかげだ。割合で言ったら俺が2、秀一が3、潮音さんが5くらいだ。やはりいつも捌いているからだろう、スピードもさることながら捌かれ方も綺麗だ。
「秀明君久しぶり!元気してた?ってそりゃ釣りしに来た時点で元気か!」
「久しぶり潮音ちゃん!着いた時いなかったからもしかしてって思ったけどやっぱりいつも通りサーフィンり行ってたのね」
「そうそう、今日結構波がいい感じだったからさ」
久しぶりの再会だからだろう。とても話に花が咲き会話をし続けている。思い返してみても船の上でもずっと西村さんと会話していた。やはり久しぶりに会話するなら積もる話もあるのだろう。
俺が残りの魚の下準備を終えようと取り掛かると秀一が止めに入る。
「あぁ誠翔良いよ良いよ。もうここでの作業はやめようぜ」
「え、でもあと少しだしやっちゃった方が良くない?」
「潮音さんか親父どっちかがやるよ。俺たちがやるよりきれいに捌くだろうし。それよりも他のごはんの準備しようぜ」
「そっか、それもそうだな」
俺達は手をしっかり洗い台所を後にする。そして外に出て西村さんを探す。敷地内を歩き回り西村さんを探すと、俺達が見つけた時に丁度西村さんが後かたずけを終えていた。
「西村さんお疲れ様です、魚の下処理終わりました。次は何をすればいいですか?」
「おうお疲れ!丁度良かった、今日はバーベキューする予定だから倉庫に向かってバーベキュー用の道具を運んでくれ」
「お、バーベキュー!おっちゃんのバーベキュー美味いんだいよな~。あ~腹減ってきた」
「もうこれ以上食べれないってくらい作ってやるから早く準備しな」
秀一はこの言葉を聞き駆け足で倉庫に向かった。船でも言っていた通り、西村さんの料理は相当美味しいのだろう、俺も腹が減ってきた。しかもバーベキュー、バーベキューなんて初心者でも美味しく作れる。より一層ご飯が楽しみになってきた。
俺達はバーベキューコンロや椅子やテーブル、様々な器具を出しある程度の準備を終えた。火おこしの経験がほとんどなかったため料理ができるほどの火を付ける事が出来るか心配だったがこういう事に慣れていた秀一のおかげで手こずることなく火を興すことが出来た。
「お前らお疲れさん、思ったよりも早く支度出来たな。ほらご褒美だこれ飲みな」
「うわ!冷た!」
「お~おっちゃんサンキュ~」
西村さんが準備の様子を見に来ながらご褒美の瓶ジュースを持ってきてくれた。中身は普通のオレンジジュースだが瓶に入っているだけなのに美味しさが数段階アップしている気がする。
「二人が頑張ってくれただけでもう十分始められるな」
「じゃあバーベキュー始めますか?」
「そうだなみんな腹減ってるだろうし晩御飯の時間にも丁度いいし始めちまうか!秀明と潮音の事食器や食材持ってきながら呼んできてくれ」
「分かった直ぐ持ってくる!だから最高な奴頼むぞ!行くぞ誠翔!」
俺達は秀明さんと潮音さんにバーベキューが始まることを伝え潮音さんの指示を聞きながら食材と食器を持っていく。食材は魚だけだと思っていたが野菜、貝、エビなんかもあった。おそらく俺達が準備しに行っている間に買い出しに行ったのだろう。その食材と今日捌いた魚、まだ捌いていない魚など様々な食材を西村さんのもとへ運んだ。
食材を受け取った西村さんは食材たちを調理し始めた。俺は椅子に腰を下ろし一息ついた。思い返してみれば今日はずっと色々あったため久しぶりにゆっくりできた。
「お疲れ様誠翔。後はご飯を楽しむだけだな」
「お疲れ様。普段使わない筋肉使ってるからかすっごく疲れたよ」
「確かに…こりゃ明日は筋肉痛だな」
二人で仕事の達成感ではないが仕事終わりの余韻に浸かっていると潮音さんが俺たちの向かいの椅子に座った。
「はい二人ともお疲れ様!これ紙皿と割り箸。秀明君もご飯作りに行ったから多分すぐご飯できるよ。後この果物でも摘まんでて」
「ありがとうございます!」
潮音さんから食器を受け取り今か今かと料理の完成を待つ。待っている間は秀一や潮音さんと会話を楽しんだ。
「潮音さんってサーフィンするんですね、俺サーフィンやってみたくて気になってたんですよ。良ければ今度教えてください」
「本当~、もちろん教えるよ!私にかかれば直ぐに波に乗れるようにしてあげるよ」
「ありがとうございます!独学だとどうしても上手くできないと思ってて」
「ご飯できたぞ~皿持ってこーい」
「きたきたきた!待ってました!」
ご飯完成の声と一緒に秀一が凄まじい勢いで皿を持ってご飯を受け取りに行った。俺も後に続いてご飯を受け取った。串に様々な具材が刺されていてよだれが止まらなかった。
俺はコップにジュースを注いで食べる準備を完了させた。
「みんなドリンクは持ったな…それじゃあ乾杯~!」
「「「「乾杯~!」」」」
俺は魚串にかぶり付く。…!これは美味い!今までいろいろな魚料理を食べてきたが本当に今まで食べてきた魚料理の中で一番美味しい!これはお昼ご飯の時に秀明さんが言っていたのも納得だ!
「これだけじゃく刺身や寿司、炊き込みご飯なんか他にも色々あるからドンドン食えよ!」
「ハイ!いただきます!」
美味しいご飯、更にジュースからフルーツなど食べる事によりクタクタだったはずの体にドンドン生気が宿ってきた。
「いや~美味いな!来て本当に良かった、連れてくれてありがとな秀一!」
「俺も久しぶりにこんなに楽しかったし誠翔と来れて良かったよ!ささ!もっと食べようぜ!」
俺達はご飯を食べながらただでさえご飯も最高であり、その上普段は聞けないような話も聞くことが出来てみんなと話し最高のバーベキューを楽しんだ。
「ふ~食った食った。もう腹いっぱい」
「良い食べっぷりだったぞ、後かたずけはこっちがやるからもう風呂に入っちまいな」
「ありがとうございます!じゃあお先に失礼します!」
俺はその場を後にし下着と寝間着を持ってお風呂場に向かった。
「汗沢山かいたし風呂気持ちいだろうな~」
「そうだな、熱い風呂に入ってしっかり風呂入んなきゃな…ってなんで秀一いるんだよ」
「いいだろ!背中でも流し合おうぜ!」
「二人だと狭いだろ。俺待ってるから先に入れよ」
「それが大丈夫なんだよな~」
そう言うと秀一は脱衣所に入り服を脱いでお風呂のドアを開けた。
「…これはもう温泉なんじゃ」
扉の中からは一つの家庭が持っている物とは比較にならないような立派な湯舟が出てきた。
「まぁこれなら二人でも入れるな」
「そういうこと、じゃあ入ろうぜ」
結局俺は秀一と風呂に入ることになり二人で背中を流しあい湯船に浸かった。湯船の大きさや入れている入浴剤などのおかげでみるみると体力が回復していった。本物の温泉と遜色がない。
「…なんだよ秀一そんなにじろじろとこっち見て」
「今まで誠翔と温泉だったりで何回も見たことあるけどやっぱり誠翔良い身体つきしてるなって思ってさ」
「んだよ気持ち悪い。しかもお前の方が筋肉あるだろ」
「筋肉の量なんて俺も誠翔も変わんないよ」
「じゃあどっちも変わんないだろ」
「分かってないな誠翔は…髪が濡れてたりお風呂上がりの人間って言うのは普段の何倍もの色気があるだろ」
「それ異性に限っての話だろ。…まさか秀一お前俺に気があるんじゃ…」
「安心しろ、確かに誠翔の事は大好きだけどそれは友達としてだよ。俺はノーマルだ。でも色気が上がるのが異性に対してだけって言うのは否定させてもらうよ」
「知ってるよ、でもお前の接し方からしてホントにそうかって分かってても疑わざるを得ないときがあるからさ」
俺達はしっかりと湯船に浸かり、しっかりと体を温めた。お風呂からあがった後は風邪をひかないようにしっかりと髪を乾かした。
「ふわ~あ、眠」
今日一日でたくさん動いたため眠気が凄いし寝かせてもらおう。俺は歯磨きをしその後外でまだお酒を飲んでいる西村さん達の場所に向かった。
「先に寝させてもらいます、今日はありがとうございましたおやすみなさい」
「おう分かった!俺も今日は楽しかったお休み、布団は部屋の押し入れにあるからそれを出しな」
「はい分かりました!お休みなさい」
「誠翔君お休みね~!」
俺は部屋に戻り自分の分の布団を出した。そして寝る前の最後の準備をした。
「あれ誠翔もう寝るの?」
「今日は疲れたから先に失礼するよ」
「俺はもう少しおっちゃんたちと話してから寝るよ」
「分かったじゃあお休み」
「あぁお休み、また明日」
秀一は電気を消しドアを閉め外に向かっていく。俺はその足音を聞きながら眠りについた。




