釣り
「よ~しここらへんで良いな。お前ら~釣り始めるぞ~」
俺はクルーザーの外で風にあたりながら海の景色を眺めていると西村さんの声が聞こえた。
「秀明と秀一はもう何回も釣りしてるから勝手に始めててくれ。誠翔は俺がこれから竿の使い方から釣り師仕方を教えるからそれを聞いてくれ」
「お願いします」
俺は西村さんから竿の使い方をはじめとした餌の付け方、合わせ方。また合わせた後の行動などを事細かく丁寧にレクチャーしてもらった。
流石漁師として生計を立てている事もあり西村さんのレクチャーはとても分かりやすく釣り初心者の俺にもとても分かりやすく直ぐに扱い方を理解することが出来た。
「よし、これだけわかればとりあえず困ることは無いだろ!それじゃあ秀一の隣に座って釣りを始めな、分かんなかったら俺でもいいし秀一でもいいし気楽に聞きな!」
「分かりました。ありがとうございます」
俺は竿をもって秀一の隣に移動する。既に秀一は何匹かの魚を釣っていた。
「おっ、きたな!どうだ?分かりそうか?」
「丁寧に教えてもらったから何とかなると思う」
そうして俺はルアーを海に投げ釣りを開始する。
俺は海を広い海の景色、そして穏やかな釣りを堪能する。しかし同時にずっと頭の片隅にある意識が離れない。
どうして俺は今こんな果てしない大海原の真ん中に。それもこんな高級そうな船の上で。
「いや~いい天気だなぁ誠翔」
「…そうだな、いい天気だな」
「しかもこんなにいい眺めなんて小さなことなんてどうでもよくなるな!」
「…そうだな、確かにそうかもな」
「!。来た!しかもこの引き、結構な大物だ!」
秀一は立派な竿をしならせ大物と格闘し始めた。その様子を見ていると俺も竿にぴくぴくとした感覚が来た。
俺は先ほど西村さんに教わったことを思い出しながらしっかりと魚を食いつかせ合わせた。
よし!上手くいった!だけどここで終わりじゃない。しっかりと魚の動きに合わせながらリールを巻いていく。そして魚を釣ることが出来た。
「やった~釣れた!」
「おめでとう誠翔!初釣りだな、それはアジだな」
「アジなのかこれ。釣れると本当に嬉しいな、秀一がさっき釣ろうとしてたやつはどうしたんだ?」
そう言うと秀一は大きな魚を一匹持った。
「俺がさっき釣ったのはこれ。こいつはマダイ」
「ヘ~タイか!凄いな!」
「誠翔も釣りに慣れてきたらその内釣れるよ。ほら!誠翔、さっさと次の魚を釣ろうとしようぜ!」
「そうだな!たくさん釣るぞ」
俺はまたルアーを海に投げ入れ釣りを開始した。
その後は釣りの試行回数が増えたこともあり、アジやアジ以外の魚などもたくさん釣ることが出来た。初心者の俺でも十分楽しめドンドン時間が溶けていった。
「よ~しみんな、そろそろお昼ご飯にするぞ」
釣りをしていると背後から西村さんの掛け声が聞こえた。
「誠翔ご飯だって。行こうぜ」
「海の上でご飯か~。特別に美味いんだろうな~」
西村さんの方に行くとそこには魚のご馳走が並んでいた。
「取れたて新鮮の魚を捌いたお昼ご飯だ!さぁドンドン食え!」
俺は置かれていた刺身に箸を伸ばした。捌きたてで新鮮という事もあり身がスーパーなどで買った物とは比較にならないほどの美味しさだった。
「ものすっごく美味しいです!冗談抜きで今まで食べた魚の中で一番おいしいかもしれないです!」
「ハッハッハ、そうだろ?これが釣りの醍醐味よ」
「ほら刺身以外にも色々あるからどんどん食べろ」
刺身だけでこれだけおいしいとは…次は何を食べようか…悩んでしまう。
「この料理全部西村さんが作ったんですか?」
「いや、俺は捌くのを担当して料理は秀明が担当した。だからこの寿司やカルパッチョはほとんど秀明が作った物だ」
「俺が作るより満が作った方がおいしいんだけどな」
「安心しろ、家に帰ったら俺が作ってやるから」
ただでさえこの料理たちは美味しいのに西村さんの料理はこれより美味しいのか…これはドンドン魚を釣らなくては。
俺は秀明さんの作った料理に舌鼓を打ちながらそう考えた。
秀明さんの作った料理を堪能した後にまた俺は釣りにしに戻りルアーを海に放り投げた。
俺が魚が釣り針に食いつくまでボー止まっていると秀一が近くに来て隣で釣りを始めた。
「なぁ誠翔…釣り楽しいか?」
「勿論!初心者の俺でも釣れてるし、最初はこんな豪華な船で釣りをする事になるとは思わなくてびっくりしたけど美味しいご飯も食べる事が出来たしとっても楽しいぞ」
「そっかそれなら良かった」
「どうした?いつもならもっと騒がしいくせに。船酔いでもしたか?」
「いや…誠翔が釣りつまんなく思ってたらどうしよって思ってたからさ。一応誘った責任?があったからさ」
なんだ秀一のやつそんな事考えてたのか。こいつらしくない。
「なんだそんなくだらない事考えてたのか。あのなぁ秀一、多分だけど俺はお前と行くなら何処でも絶対、100%楽しめる、だからそんな心配する必要なんかないぞ。勿論釣りも楽しいけどな」
中学時代俺は一方的に秀一に対して色々思う事あった事は事実だがそれでも俺は友人として秀一にとても感謝している。
「そっか…それならよかった!いや~誠翔が楽しんでるなら良かった良かった!これで俺も気兼ねなく釣りが楽しめるってもんだ!」
「そうだそうだ、こんなに楽しい釣りなんだ…楽しまなきゃ損だぞ」
「あぁそうだな!よし、見てろよ誠翔!びっくりするほどの大物釣るぞ!」
「あぁその気だ!」
「…」
「…」
…は…恥ずかしい!…俺はなんてクサイセリフを言ってしまったんだ!さっき秀一に船酔いしたか聞いておいて俺はまさか自分に酔っていたとは…。
「…い。…おい、おい誠翔!釣り糸引いてるぞ!大丈夫か?」
「え⁉」
おれは秀一の言葉で現実に引き戻され釣り竿に目を戻すと竿がとても反応していた。
「あ…あぁ!もちろん大丈夫だ、大物みたいだからちょっと集中する」
「確かにその通り大物だな、誠翔頑張れよ、その上で慎重にな」
秀一は勘違いしているが俺は照れくささを隠すように釣りに集中し始めた。
「まだだぞ~誠翔…。まだ合わせるなよ~…魚がしっかりと餌に食いついてからだぞ~」
「分かってる…初心者の俺でも分かるくらいの大物だ。ここでのがしたらしばらく引きずると思う。しっかりと合わせる」
俺は竿の感覚に全神経を研ぎ澄まし魚が食いつくのを待つ。
「…、……、!。今だ!」
俺は秀一の掛け声、そして俺の竿からの感覚を頼りに思いっきり竿をしならせ魚に合わせる。
「良し!合わせられた!しかもここ数回の物とは比べ物にならないくらいの大物だ!」
「気を付けろよ。しっかりと魚の動きに合わせろよ!」
俺は魚の動きに気を付けながらその大物の動きに合わせて釣りを楽しみながら先ほどまでの恥ずかしさを頑張って忘れるかのように釣りにのめり込んだ




