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雲の上と草の根~実は高スペックなことを本人だけが知らない~  作者: あかかど


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三連休の使い方

「いや~いい天気だなぁ誠翔」

「…そうだな、いい天気だな」

「しかもこんなにいい眺めなんて小さなことなんてどうでもよくなるな!」

「…そうだな、確かにそうかもな」

「!。来た!しかもこの引き、結構な大物だ!」


秀一は隣でものすごい立派な釣り竿をしならせ魚と格闘している。


果てしない大海原。その真ん中に俺たちは船で釣りをしている。…どうして俺は今こんな所に。今これを考えているという事はこれはどうやら小さなことではないようだ。


何故俺はこんな海の真ん中にいるのか、それは前日まで遡る。


―――――――――――――――――――――――――――――――――――――

昼休み、秀一と一緒に学食でご飯を食べる。学食で食べると言っても秀一は学食を利用しているが俺はお手製のお弁当だ。


「いや~誠翔の体調が良くなったようで何より」

「心配かけたな。どうやら自分が思ってた以上に疲れが蓄積されてたみたいだ」

「治ったばっかりだからやっぱり少し体調悪いか?」

「いや全然。逆に体がなまってるから運動したいくらいだ」

「お!じゃあ明日から三連休だから何か体動かす遊びしようぜ?」

「体を動かす遊びか~。せっかくの連休だから普段は出来ないような何か特別なことしたいよな」


俺は弁当に入っている料理を食べながら考える


いっつもバスケとかだからたまには違うスポーツとか?いや、それなら別に連休じゃなくてもいつでもできるな。じゃあプロの野球、バスケ、サッカーの観戦とか?それもいいけど結局それに感化されていつも通りになりそうだな。じゃあサイクリングとか?だとしたら自転車どうしよう…。


俺は色々考えると秀一が誰かに向けてこっちに座るように促していたことに気が付く。


「助かったよ秀一。食堂パンパンでどこ座ろっかなって思ってたところだったんだ、誠翔も隣失礼するな」

「おお、真波か。どうぞどうぞ」


真波はラーメンを乗せたお盆をテーブルに置き俺の隣に座る。


「バスケ部の集会があっていっつも座ってる席が座れなくてな~二人がいてくれて助かったよ」

「部活の集会ね~。集会って何やんの?」

「今日は三連休の時の部活の遠征の話だったな。普段だったら必要な機材の話だったり雑務の担当決めたり練習内容の改善案だったり色々かな」

「遠征ね~」


流石は運動部、普通体を休める三連休を部活の遠征にするなんて。なんてストイックなんだ。そうだ、運動部の真波なら何か三連休を活用するいい案が出てくるかもしれない。丁度いい、真波に相談しよう。


「なぁ真波、相談があるんだけど」

「どうした?俺が出来ることならなんでも手伝うぞ?」

「実は秀一と三連休に体を動かす遊びをしようとしてるんだけど」

「バスケで良いじゃん、他にも色々あるだろ」

「そうなんだけど、せっかくの三連休なんだから普段は出来ないような何か特別なことしたいよなって話したんだ」

「普段は出来ない特別な事か…」


真波はあごに手を当て少し考える。しばらく考えているとどうやら何か思いついたのか顔を上げる。


「あっ、釣りとかどうよ釣り。釣りは普段できないだろ、魚と格闘するから凄い体も使うぞ」

「なるほど釣りか、考えもつかなかったな」


釣り自体はもちろん行ったことはあるが、それはずっと前だ。確かに普段できないし良い運動になりそうだ。


「釣りか!釣り良いな!俺よく家族と釣り行ってたから教えれるぞ!」

「俺はあんまり釣りって行ったことないんだよな」

「釣りは良いぞ~。時間をかけて釣るからどんな魚でも釣れたら嬉しいし、釣れたての魚なんて新鮮で身がふわふわぷりぷりですっごく美味しいんだ」


今ご飯を食べ終わってすぐなはずなのに話を聞いただけでお腹がすいてきてしまった。そういえば最近魚食べてないな。


「へ~、それは確かに良いな!じゃあ連休は釣りにするか!」

「そうだな!ここからじゃ釣りができる場所までなかなか距離があるから朝早くに行こうぜ!」

「そうだな、じゃあ朝早く出発できるように今日のうちに準備しとかなくちゃな」


釣り竿は釣り堀の近くで借りれられるだろうからそれ以外の道具を準備しておけばいいだろう。


「二人とも楽しんで、思い出話楽しみにしてるよ」

「真波も遠征頑張って。しっかりと後に生かせるような試合に出来ると良いな」


俺はその後魚が食べたいなと考えながら学校を過ごした。


放課後秀一は準備があるからと言い駆け足で学校を飛び出していった。


あいつあんなに釣りが好きだなんて知らなかったな。仲良くして結構な時間経つけど知らないこともあるもんだな。俺も明日必要な物買いに行ったりするか。


俺はマンションに帰る前に近くのスーパーに行った。


釣りするときって何必要なんだ?釣り竿は借りれるとして…タオルとかは家にあるし、椅子とかも多分釣り堀だろうからあるだろうし…、取り合えず携帯食料とか塩分補給できるものとかおやつは欲しいか。後は~、ウェットティッシュとかビニール袋とかか。


俺はいくつかの必要そうな物を購入し家に帰った。


家に帰り大き目なバッグに今日買ったものに加えタオルや帽子、念のための雨具などを入れたりし、準備をした。これだけ準備をしたら恐らく大丈夫だろう。もし何か足りない物があったら行った先で買えばいい。


俺は準備を終えしばらくゆっくりしてると秀一からメッセージが届く。


『明日4時に迎えに行くからその位の時間には外に行けるように準備しててくれ』


4時だって?確かに釣りに行くなら朝早くから行かなくちゃいけないのはいけないのは分かるが、そんなに早くては始発の電車もないのではないだろうか


『そんなに早くてどうやって行くんだ?乗れる交通機関なんて無いだろ?』

『そこら辺は大丈夫!俺に任せておいてくれ』


任せておけってどうするんだ?まあ秀一が大丈夫って言うなら大丈夫なのだろう。


『分かった、じゃあ任せる。明日マンション着きそうになったら連絡してくれ』


秀一はスタンプで返信しメッセージを終える。


明日朝早いってことは早めにご飯と風呂済ませて寝るか。そうと決めたらとっとと準備しよ。


俺は簡単なご飯を作り早めの晩御飯を済ませ風呂に入った。そしてまだ寝るには早すぎる時間だったので少しだけネットで釣りについて調べた。


秀一が釣り好きなのでしっかりとレクチャーしてくれるだろうけどそれでも知識0で行くよりは幾分マシだろう。そして釣りの仕方を学んでから釣りの動画を見て楽しみな気分になったり、魚を調理する動画を見て腹を空かせたりした。


そろそろ寝るか…。いつもより早い時間だしワクワクで興奮するし睡眠導入として歯磨きする前にホットミルクでも飲むか。


俺は牛乳を温め飲み、歯磨きをしベッドに入る。そして少し苦労したが眠りに入った。




ピピピピ…ピピピピ…


う~ん…眠い。


俺はいつものルーティーンと同じようにカーテンを開ける。


うわ暗…当たり前か、まだ深夜なんだし。


俺は歯磨きをしパジャマから服に着替える。朝ご飯は向かう途中にコンビニでおにぎりでも買おう。


準備をしているとスマホに着信が入る。秀一からだった。


「もしもし誠翔、おはよう。ちゃんと起きてるな」

「ああ、まだ少し眠いけどなそろそろ着きそうか?」

「ああ、後10分ぐらいしたら着くから外で待っててくれ」

「了解」


俺は最後の荷物の確認をしエントランスを出て外で秀一を待つ。


そろそろだな…しかしこんな朝早くどうやって釣り場まで行くんだ?もしかして釣り堀じゃなくて川で魚を釣るとか?そんな風に考えているとメッセージが入る。


『もう着くぞ~』


まぁ秀一が来てから聞けばいいっかそう待っていると。


遠くからマンションの前に向かって一つの車が来た。それもただの車ではない、キャンピングカーだった。そのキャンピングカーは俺の目の前で止まった。そして運転席からは一人の俳優みたいな男性が出てきた。


「やぁ誠翔君、二人の入学式以来だね。久しぶり」

「お…お久しぶりです、秀明(ひであき)さん」


最上秀明さん。秀一の父親である秀明さんが何故か俺の前に現れた。

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