表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
42/43

面接と会議報告

予算会議が終了し出席していた部活動代表の人たちが会議室を後にしていく。


「誠翔、お前生徒会入ったんだな。まあ正直似合ってると思うよ。誠翔のおかげで今回の会議みんな納得して終わらせられたところ考えるとより生徒会に適してると思う」

「そりゃどうも。まぁ俺が今回出した案はあくまで予算分割の仕方だから満足する予算を勝ち取れるかはこれからの真波達次第だ。まぁ大会も近いだろうし、尚更頑張って」

「あぁ、もちろん。そのためにこの学校に入ったんだからな」


そして真波は会議室を出ていく。


俺と雲雀は全員が退室するのを見送ってからようやく話し始める。


「いや~何とか終わったな。雲雀さんの言葉が出なかったらあんな事思いつかなかっただろうから危なかった」

「いやいや、私なんて思ったこと言っただけだからあの案を思いついた誠翔のおかげだよ。でも仮に多くの部活が成績を残したとしても本当に予算多くもらえるのかな?」

「そこら辺はさっき言った通り大丈夫だろうし、仮にうまくいかなかった場合金城会長に頼もう。あの人なら多分何とかしてくれる。それでも無理だった場合は予算の割き方が振り出しに戻るだけだから気にする事ないよ」

「そうだね。先の不確かな事なんて考えてても仕方ないよね。ちょっと待っててあとちょっとで今日の会議についてまとめ終わるから」

「分かった」


雲雀は生徒会が所有しているノートパソコンに今日の会議の進行や様子など様々な事をまとめる。


「よし終了。じゃあ生徒会室行こっか」

「正直あんまり乗り気じゃないけど仕方ないな」


俺は雲雀と一緒に会議室から出て生徒会室に向かう。そして生徒会室の扉を開ける。


「今会議終わりまし…た…」


俺は生徒会室に入るとともに絶句する。


「それでね、このネイルなんか自分でやってるんだ~」

「へ~!綺麗ですね!自分でやるなんて手先起用だな~、あ!誠翔おかえり!」


生徒会室に置かれている人数分のテーブルで仕事をしている不知火先輩。そしてソファーには水無月先輩と一緒に雑談している秀一。


「お前こんな所で何してんだよ…」

「あぁ。誠翔が生徒会入ったからさっき面接しに来たんだ」

「お前入ったって、いつ入ったって知ったんだよ。俺が入ったのつい数十分前だぞ」

「たまたま生徒会議室寄った時に誠翔が中で仕切ってたから入ったんだろうなって」

「そうか…それで結果は?」

「まだ生徒会長が来てないから受けれてないんだ。とりあえず今日は面接したい旨だけ伝えようかなって」

「秀一君は行動が早いね。あっ、不知火先輩これ今日の会議のまとめた資料です。確認お願いします」

「はい、ありがとうございます。今日はお疲れ様でした。大変だったでしょうしゆっくり休んでください」


雲雀が不知火先輩に今日使用したノートパソコンを渡す。それと同時に生徒会室の扉が開く。


「空先さん、三葉くん会議お疲れ様。その様子だと無事に終わったようね」


金城会長がタイミングよく生徒会室に帰って来た。そしてソファーに座った秀一に目を向ける。秀一も同時にソファーから立つ。


「こんにちは最上秀一君、要件は生徒会加入の面接でしょう?」

「話が早くて助かります。空いている日程を教えてください」

「あなた生徒会加入理由は?」

「友達の二人が在籍してるからです」

「犬と猫だったらどっち派?」

「犬です」

「和食と洋食だったらどっちが好き?」

「料理によります」

「朝はご飯は?パンは?」

「ご飯です。でもたまにパンも食べます」

「合格よ。ようこそ生徒会へ」


今の短い質疑で合格が決定しとようだ。いったい何を見て決めたのだろうか。何なら最初の一問目以外質問と言うよりただ好みを聞いているだけだ。なぜ生徒会に合格するのが難しいのか俺には理解できない。


「じゃあこの用紙に必要事項記入して明日担任の先生に提出してね。三葉君もはい」


俺は金城会長から用紙を受け取る。


「金城会長…今の質問の何を見て秀一の事合格させたんすか?…ていうか面接のたびにこんな質問してるんですか…」

「そんなわけないでしょ。もともと私は最上君をスカウトする予定だったの。だから面接に来た時点で質問なんてどうでもいいし願ったりかなったりな訳。勿論ちゃんとした面接のときはちゃんと質問して合格か不合格か審査してるわよ」

「会長がスカウトした人以外が面接に来た時必ず不合格にするから合格させる気なんて無い癖に~」

「心外ね水無月さん。面接に来たからにはきちんと審査はしているわ。私がスカウトしたから合格にしてるんじゃなくて私がスカウトした人しか合格しないだけ」


真偽のほどは定かではないが恐らくその言葉に嘘はないのだろう。


「改めて今日はお疲れ様。よく頑張ってくれたわ。疲れているだろうし今日はもう帰っていいわよ。しっかりと休みを取りなさい。最上君も今日のところは仕事無いから帰って問題ないわ。悪いけど空先さんはこのあと今日の会議について聞きたいことがあるから残ってくれる?」

「はい分かりました」

「…一つ聞きたいいんですけど、今回俺と雲雀さんは勝手に今までとは違う新しい予算の分割方法を提案しそれで決定したんですけど良かったんでしょうか」

「問題ないわ。今回の私たちの仕事は補佐であくまで中立。全部の部活動が納得したのなら問題ないわ。もし今日ノートパソコンまとめてくれた内容に問題が見つかった場合はこっちで対応するわ」

「分かりました。では失礼します」


そして俺と秀一は生徒会室を出る。生徒玄関で上履きから外靴に履き替え帰り路を歩く。やはり緊迫した教室にずっといたからかは分からないが校門をくぐったあたりでどっと疲れが襲ってくる。


「いや~疲れたな~」

「お疲れ様。ジュース奢ってやるよ」

「マジか。悪いな、じゃあコーラで」

「はいはい、ちょっと待ってな」


そして秀一は自販機で2本コーラを買い一本俺に手渡す。プルタブを開けコーラを喉に流し込む。コーラのシュワシュワとした炭酸が口や喉を刺激する。


「プハ~。あ~美味」

「旨そうに飲むな~」

「いや、本当にうまい。そういえば話は変わるけ秀一俺たちが生徒会室に入って来た時水無月先輩となんか話してたよな?何話してたんだ?」

「あぁ。水無月先輩のSNSについてだよ」

「先輩のSNS?」

「先輩結構有名なインフルエンサーらしくてフォロワーもたくさんいるらしいんだ。それで何あげてるのかなって気になって聞いてたんだ」

「へぇ~。そういえばクラスの女子が二年に憧れのインフルエンサーがいるって言ってたな。あれ水無月先輩の事だったのか」

「案件とかもらうぐらい有名らしいぞ。案外有名人や凄い人ってのは身近にいるもんなんだな」

「そうだな」


俺は秀一と水無月先輩のSNSを調べながら帰宅した。

――――――――――――――――――――――――――――――――――

「以上が今回の会議の流れです」

「なるほど。ありがと、会議に出席する場数はまだ少ないのにとても分かりやすかったわ。やっぱり生徒会に入っているだけあって優秀ね」

「いえ…私なんてまだまだです。誠翔が来てくれなかったら今もまだ会議をしていたかもしれません。もしかしたら明日もまだやっていたかもしれません」

「確かにその通りね。今回あなたはほとんど役に立たなかったわ。あなたは賢くて運動神経が良いかもしれない。しかし、それが良くても使えなきゃ意味がないわ」


私は今回何の役にも立たなかった。もうこれ以上生徒会に居ても役に立たないからやめた方がいいとも考えている。


「しかし全部が全部よくなかったわけでは決してないわ」

「え?」


今回の私に良いところなどあったのだろうか?


「1つは今回の会議の解決のきっかけを作ったこと。確かに案を完成させたのは三葉君かもしれないけど空先さんの発言が無かったらその案が出来なかったというのも事実よ。2つ目はこのパソコンのまとめ。あの緊迫した中でこれだけの内容をしっかりとまとめられているの。これも立派に貢献してくれているわ。並の人間なら最初から最後まで頭が真っ白になって一行も文をかけないほど何も覚えていないというのが落ちよ。第一私が他の生徒会メンバーを同行させずに一人で行かせた時点で私は最悪あなた一人でもなんとかなったって思ってるわ。だから安心しなさい。あなたは生徒会に必要よ」


不思議な人だ。私は生徒会を辞めようと考えたことを顔に出した気はない。しかしすぐにバレた。そして今の話で不思議ともう少しだけ頑張ってみようかと思ってしまう。実際やめようという気は消え去ってしまった。


「これからも生徒会で学校に貢献してくれるわよね?」

「はい。もちろんです」

「それはよかった!そうだ、最後に聞いていいかしら」

「はい、なんですか?」

「あなたも一般人に比べたら十分天才、化け物の能力を持っているわ。それを踏まえたうえであなたは三葉君の能力をどう見えるかしら?」


生徒会長の聞きたいことがどれだけ難しい内容なのかと少し身構えたが、その質問は私にとってとても簡単な内容だった。


「私はどんなにいい成績を残したとしてもそれは努力で到達できる範囲です。それに比べ誠翔の持っている物は私なんかとかけ離れています。確かに誠翔は今はテストで100点を取れなかったり、運動では秀一君に負けてしまいます。しかし、そんな事誠翔の持っている才能に比べたら些細な事です。誠翔の思考、持っている物、才能などは私では測り切れません。最初から進んでいる道が私なんかとは違います」

「なるほど、ではもう一つ。個人的な感情抜きにして1年生最優秀な最上君とAクラスでもない三葉君どちらが優秀だと思う?」

「なんですかその質問?そんなの決まってますよ。何なら多分秀一君に同じ質問をしてもその答えが返ってくると思いますよ」


私は胸を張って迷いなく答える。

「圧倒的に誠翔です」

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
更新が待ち遠しいです。 早く「次へ」押したいーぃ…
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ