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生徒会所属三葉誠翔

午後の授業も終わり帰りのホームルームも終わる。いつもの真波ならこれから部活だと言って午後の時間が進むにつれて元気になって行くが、残念ながら今の真波には一ミリもその様子は感じられない。


「は~…放課後になっちゃった~。普段だったら絶対しないけど仮病使って帰ろっかなぁ~」

「真波君何だか今日は元気ないねなんかあったの?」


いつもだったら元気なはずだが元気のない真波を見て縁が声をかけてくる。


「支倉~実はさ、これから部活動間の予算会議があるんだけどさ、それがさ~」


そうして真波は縁に真波が元気のない理由である会議の詳細な説明をし始めた。


「なるほどね~。それは確かにいやかもね。そう考えるとあたし陸上部でよかった~!」

「陸部は競技にもよるけど体一つしか使わない競技多いもんな」

「そうそう、しかも砲丸投げとか棒高跳びとかはでは確かに必要になるけどいろんな種目に人が分かれるからそんなに買わなくてもいいしね」

「良いな~。あっ、先輩から連絡入った。はぁ~、もう腹くくるしかないな」

「頑張って~応援してる」


そうして真波は教室を出ていく。バスケやっているだけ真波はガタイがいいはずだが今の真波は何だか女性の縁よりも縮こまって見える。


「縁ももうすぐ大会始まるんだよな?何出るんだ?」

「あたしは長距離だよ~」

「長距離か、どれくらい仕上がってるんだ?」

「調子が良ければ大会でもそこそこいい結果が出せると思うよ」


1年生時点で好成績を残せそうなのは凄いな。ぜひ頑張って欲しい。


「じゃああたしもそろそろ部活行くね。じゃあね~」

「うん、練習頑張って」


真波と縁どちらも行ってしまったし俺も今日は帰ろう。そう決めをれは荷物を持ち教室を出る。


秀一と一緒に帰ろうと思いAクラスに向かう。しかし、Aクラスを覗いても秀一の姿は見当たらなかった。


「あれ?誠翔じゃん。自分からAクラスに来るなんて珍しいね」


呼ばれた方を見ると雲雀がいた。


「雲雀さんか。いや、今から帰ろうかなって思ってたからさ、秀一と一緒に帰ろっかなって思って迎えに来たんだ」

「あぁ、秀一君なら今学年委員会の仕事でここにはいないよ?私含めた二人分の仕事を一人でやってもらってるから帰ってくるのに時間かかるんじゃないかな?ホント申し訳ないな」


学年委員会の仕事か。確かにそれなら少し帰ってくるのに時間がかかりそうだ。


「そうだったんだ。それなら俺帰るよ。あと、今日秀一とごはん食べた時学年委員会の話してたけどあいつ全然気にしてなかったから気にすんな。どうせ雲雀さんが頼んでなかったとしても結局は自分から率先して委員会の仕事請け負ってたと思うからさ」


俺はそれじゃあと雲雀に告げ帰ろうとする。俺は振り返り歩み始めようとするの何か引っ張られる感触になる。俺は後ろを振り返ると雲雀が俺の袖を引いていた。


俺は袖を引いている雲雀を見て雲雀と目が合うと雲雀は無意識に引いていたのか、何かハッとし急いで手を放す。


「あっ、帰るところだったのにごめんね!」

「別に気にしてないけど…大丈夫?」

「別に大丈夫だよ!安心して!」


嘘だ。一見元気そうに取り繕っているが呼吸の粗さや目の揺れからやはり何かある。


「やっぱり部活動間の予算会議が心配か?」

「…知ってたんだ」

「悪いな。実は今日の昼秀一と話したんだ。ただ本当に出るかは予想しただけだけどな」

「うん、出席する。やっぱり心配。今日なんかは特に大変だろうしねしかも今日は私一人だけだし」


一人だけとかやっぱりあの生徒会長は鬼だな。恐らく雲雀は俺が思っている以上に心配と緊張しているのだろう。当たり前だ。あまり積極的に発言しない立場であろう真波ですら緊張しているのだ。


「無責任かもしれないけどしっかりと取り組むと良いよ。もしそれでもダメだったら俺が慰めるからさ」

「…今回は誠翔一人だけだね」

「前回何が悪かったのは分かんないけど秀一と海香いらないって言われたからな」


俺と話してて落ち着いたのか雲雀は落ち着きを取り戻していく。そして深呼吸をする。


「すぅ~~~はぁ~~~。よし!ありがと誠翔!元気出た!…それじゃあまだ少し不安だけど私行くね!」

「うん、頑張って!」


そして雲雀は会議に向かう。


そして俺も生徒玄関に向かう。俺は自分の靴を取り出し履き替える。…やっぱり見送ったは言う物の少し不安だ。別に怒られていなくても年上に詰められるとすごく臆してしまうものだ。今回は特に口論が飛び交う物らしい。雲雀を信頼していない訳では勿論ないがやはり心配だ。


「君、大丈夫?何か悩み事?」


少し深く考えていると、誰かから声をかけられる。あまり聞き覚えが無かった声のため、声をかけられた方向を見ると見覚えのある人が立っていた。


「あれ、君は卓球の時の」


俺に話しかけてきた人は球技大会の時に決勝で俺と戦った3年C組の先輩だった。


「なにか悩み事?俺でよかったら相談のるよ?って言ってもほぼ初対面だしそれはちょっと無理か」

「…いえ、…すみませんせっかくなら相談させてください」


そして俺は生徒会の話や今日の会議をぼかしながら心配事を相談した。


「なるほどね~」

「すみません、俺の悩みでもないですし難しいですよね…」


俺の悩みでもないため申し訳ない気持ちになる。俺は忘れてくださいと言おうとすると同時に先輩は話し始める。


「これ、俺の実際に合った話なんだけどさ、俺めちゃくちゃ優秀な幼馴染がいるのね?そいつはさ、自分一人で何でもできるような人間なんだけど自分一人じゃ解決できない問題が出たんだよ。まぁ問題って言えるのかは分かんないんだけど」

「どんな問題ですか?」

「そいつ優秀だったんだけど少し性格がきついって言うか自分勝手なところがあったんだよ。それでそいつを少し懲らしめてやろうって感じでクラスの皆がありもしない噂を立て始めたんだ。まぁ噂って言っても今思うと幼稚な内容なんだけどさ。でもそいつはその噂をアリバイ込みで否定したのね?でも噂って言うのは例え否定しても信じてるやつが多い方が真実になるんだよ。本質を見抜いていてもその意見が少数派ならしそうとかって言われるのと同じ。そして段々話し合いがヒートアップしていって一対多数みたいな状況になっちゃたわけ」


今俺が心配している雲雀の状況とシチュエーションは異なるが1対多数と言う点は同じだ。


「でさ、そいつ怖かったんだろうな…途中までは正論行ったり収めようとしたんだけど何人にも大声で詰められて途中から何も言えなくなって黙っちゃったんだ。そいつに言ったらキレられるだろうけどあの時少し泣いてたしね」

「その後どうなったんですか?」

「その後?俺も口論に参加して二対多数になって味方が出来たからかまた反論できるようになって全部反論して逆に全員泣かせて終了。俺その時逆に幼馴染の味方して本当に味方していいのかなって思っちゃったもん。まぁ要するに手の届く範囲に困ってる人がいるなら助けてやれってことだよ。今だって俺は味方してていいのかなっては思ったけど味方したことに関しては何の後悔もない。もし俺があの時味方しなかったらそいつはもしかしたら今もトラウマを抱えることになってるかもしれないし」


手の届く範囲に困ってる人がいるなら助けてやれ。ははっ、考えてみれば単純な事だったんじゃないか。最初から答えは決まっていた。だって困ってる人がいるんだから。


「ありがとうございます。悩み解決しました!」

「それならよかった!じゃあ頑張って!」

「相談に乗ってくれてありがとうございます!えぇっと」

「俺の名前は土方(ひじかた)太陽(たいよう)

「土方先輩ありがとうございました!」

「太陽で良いよ」

「太陽先輩ありがとうございました!」


卓球で戦った時から思っていたが何だか頼りになる不思議な人だ。今度改めて感謝しよう。そう決め俺はある場所に急いで向かう。そして数分で着いた、生徒会室に。


俺は生徒会室を開ける。目的の人は扉の直線所にある堂々と佇んだ席に座っていた。


「そろそろ来てくれると思ってたよ。今ここに来たってことはそういう事で間違いないよね?」

「話が早くて助かります。早いところ会議室まで連れて行ってください」

「勿論。ついてきて」


そして俺は金城会長の後をついて行く。ついた場所は生徒会議室だった。中をこっそりガラスからのぞくと中からはものすごい言い合いが聞こえた。これは確かに酷だ。俺は雲雀の様子を確認する。…おいおい、あの顔は小学生時代に嫉妬でいじめられてた時とそっくりだ。…雲雀、お前にそんな顔似合わないからするなよ。


「最後にもう一度確認するわ。今この会議には部活動代表と生徒会所属メンバーしか入室出来ない。生徒会に加入するという事で良いわね?」

「ええ、もちろんですよ。友達が困ってるのにそれを見捨てるなんて俺にはできませんからね」

「合格よ。ようこそ生徒会へ」

「それはどうも」


そして俺は生徒会議室の扉を開き、俺の姿をものすごく驚いた顔をした雲雀の隣まで歩く。そして自己紹介をする。


「遅れての参加申し訳ございません。生徒会所属三葉誠翔です。今日はよろしくお願いします」

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― 新着の感想 ―
作中の登場人物が才能と善性を併せ持っている中、才能はあるけど人間のクズのような生徒会長が登場。 物語にどのようなアクセントが生まれるか楽しみです。
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