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Side Story  どこを?

 球技大会の準備を終了の打ち上げに行ったファミレスの会計を済ませ寮に帰る途中、一緒に帰っていた雲雀に前から気になっていた事を聞く。


「なぁ雲雀、前から聞こうと思ってたんだが、雲雀って誠翔のどこを好きになったんだ?」


 俺の質問を聞くと雲雀はまるでアニメのワンシーンかのような反応をする。


「えッ⁉いっいつから気付いてたの⁉」

「最初に勘付いたのは学年委員会の集まりの時。俺が誠翔と話してた時ずっと誠翔の事見てたからさ。で、確信したのはゲーセン。二人を見つけた時に見た雲雀の顔が今まで見た誠翔に惚れてる女性と同じ顔してたからさ」

「そんな前からバレてたんだ~ッ。海香以外にはバレてないと思ったのに!」

「いや結構分かりやすかったと思うけど」

「誠翔には言わないでね!」

「言わないよ、安心して。」


 雲雀はのぼせたかのような真っ赤な顔を手で仰いで冷まそうとしている。


 雲雀が誠翔に好意を持っているという事は確認できた。ではもう一つ、俺にとっては本題になる気になっていることを聞こう。


「もう一つ聞いても良いか?」

「今の心境なら何聞かれても多分答えちゃうよ」

「じゃあ遠慮なく」


 俺は一呼吸置き聞く。


「誠翔と雲雀っていつから知り合いなんだ?」


 1ミリも予想していなかったのだろう。ほんの一瞬、普通の人では気付かないような些細な焦りが見て取れた。


 しかし雲雀には悪いが今回の俺はその些細なスキを見逃さない。


「反応から見るに学年委員会の挨拶の時じゃないって分かってるみたいだね」

「…いつから?」

「確信は学年委員会の挨拶の時。でもこれに関しては別にわかりやすくなんてないから俺以外に気付いてる奴なんていないと思うぞ」

「どういう経緯で気付いたの?」

「長くなるから簡単に説明するけど、入学式の時一瞬誠翔の様子がおかしいタイミングがあって、そっちを見たら雲雀がいた、次に食堂で海香が相席頼みに来た時に急いでカレー食ったり、最後に学年委員会の挨拶の時の態度だったり。色々要素はあるけど一番は誠翔の雲雀を見る目が警戒と同時に懐かしさをはらんでたって感じかな?もちろん誠翔だけじゃなくて雲雀にもおんなじことが言えるけどね」


 その話を聞くと雲雀は少し息を吐き立ち止まる。


「そうだよ、その通り。私と誠翔は小学生の時同級生だったの。それで何が聞きたいの?もしくは何か言いたいことがあるの?」


 そして俺はいつものように言葉を返す。


「別に?気になっただけ」


 雲雀は呆気に取られたかのような顔をする。そして慌てて俺に問い返す。


「なんで初対面みたいな対応してるの?とか、最近はないけど最初の方は誠翔私の事避けてたから、誠翔に近付かないでとか言わないの?」

「俺そんな事言う風に思われてたのか⁉二人がその対応してるなら外野の俺が口出しするのは違うし、誠翔が拒絶してるのに関わりに来るなら俺も言うけどそんな様子は1ミリも感じ取れないし。あ!じゃあ小学生時代の誠翔教えてよ!」

「えっ?うん」


 そうして俺は雲雀から小学生時代の誠翔の話を聞いた。雲雀も話しているうちに元気を取り戻したようだ。


「でね~!その時の誠翔が本当にカッコよかったの!」

「いや~確かにそれは惚れるな!男の俺でも惚れちまう」

「…じゃあさ、次は中学生の誠翔の事教えてくれない?ていうか、何があったのか」

「分かった」


 そして俺は雲雀に最初の方の誠翔は小学生時代の誠翔と同じように元気でクラスの中心であったことなど色々話した。そして俺の予想の範囲ではあるが暗くなった原因、最後に天稟学園に入ることになった経緯を話した。


「なるほどね…私が知らないところでそんな事があったんだ」

「ああ、あの時誕生日会をしなかったらこんな事にはならなかったのかもって考えるとそんな事絶対にないってわかってるのにどうしても誕生日会やらなきゃよかったなって思っちゃうんだ」

「そうだよ、考えすぎだよ。誠翔もやってもらって嬉しかったはずだよ」

「そうだよな。やっぱ人に言われると少し救われるよ」


 寮のエントランスに到着し、俺は最後に雲雀に1つの事を確認する。


「雲雀、一つ確認したいんだけどさ、雲雀は誠翔に昔みたいな元気な性格になってもらいたい?それとも今のまんまでもいい?俺は正直できる事なら戻ってもらいたい。じゃなきゃせっかくの誠翔の能力が勿体ない…ていうのは半分本当で半分建前。もう一つの本音は今の誠翔に対してもそうだけど元気な誠翔は俺が尊敬した誠翔だからさ」


 雲雀はその質問を受け少し考える。そして答えを返す。


「私は誠翔の意見を尊重したい。元気な性格の誠翔も今のクールな誠翔もどっちも本物の誠翔だから。でも、もしも誠翔が元気な性格に戻ろうとした時は精一杯手助けするよ」

「なるほど、分かった。雲雀の考えが聞けて良かったよ。じゃあこれからはお互い昔の誠翔を知ってるチームとしてがんばろっか。じゃあまた明日」

「うん、また明日」


 そして俺は雲雀とエントランスで別れる。

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― 新着の感想 ―
雲雀と秀一の距離感が周囲から見たら近すぎるように感じて、 あり得ないと思いつつも、雲雀と秀一が付き合うIfを想像してしまう。 周囲の皆が雲雀と秀一がお似合いだと騒ぎ立てたり、それを知ってさらに落ち込む…
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