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女性版秀一、男性版雲雀

 アップではミスをしないようにゆっくりとラリーをする。俺はもう少し早くラリーをできるが、俺だけが出来ても練習相手が出来なければ意味がない。


 暫く練習していると招集がかかる。


「それでは1年Bクラス対2年Eクラスとの試合を始めます。ルールは先に2セット先取した方の勝利です。11点を先に取った方がセットを獲得できます。シングルス3試合、ダブルス1試合、計四試合です。もし、お互いが2勝ずつした場合は代表を一人選出して一セット先に取った方が勝利です」


 ルール説明も終わり試合が始まった。俺はシングルスの代表として参加する。


 試合は攻めるというよりは確実に返すようにラリーを続けていく。俺は他の皆の進み具合を確認しながら試合を進めていく。だいたい全体の試合の2番目に終わらせるように続けていく。そうして1セット目を獲得し1分間の休憩に入る。


「誠翔卓球も上手だね!」

「ありがと。でもスマッシュとかも打たずに普通に返してるだけだからもっとうまい奴たくさんいると思うぞ」

「確かに経験者に比べたら下手かもしれないけど未経験者でしょ?それにしてはミスもせずに相手コートに返してるなって思ってさ」


 確かにそうかもしれない。俺が経験者だったらまだしも。俺は未経験者だ。ずっとミスらずに相手コートに入れ続けていたらその腕を見られて最悪代表戦に選ばれてしまう可能性もある。


 次の試合では所々でミスをしながら試合運びをした。ただミスをしながらではあるが、負けてクラスの迷惑にかけてしまうようなことは起こさない。しっかりと余裕を持ちながら試合を終えた。


「ただ今の試合は3-1で1年Bクラスの勝利です。お互いに礼」


 試合が終わり、お互いに礼をして試合を終える。とりあえずクラスで一つの勝利を掴めたためお祝いムードが漂う。


「誠翔お疲れ様~!見てて楽しかったよ!」

「ありがと、これからバスケ見に行くでしょ?一緒に行くよ」

「本当!じゃあいこっか」


 雲雀と共に今秀一が参加しているであろうバスケを観戦しに行く。


 …これは酷いな。


 バスケは前半10分休憩5分後半10分で行われる。今現在は休憩の時間に入っている。


 現在の点数は30ー4で1Aが圧倒的に優勢だ。これはもう後半秀一が抜けたとしても逆転することは出来ないだろう。


 その後の試合も結局差を縮めるどころかもっと点数が開き試合が終わる。


 周りからはバスケ部所属の生徒だろうか、何とかしてバスケ部に入ってもらえないかというような声がたくさん聞こえる。いや、バスケ部だけではなくサッカー部からも声が聞こえる。


 そんな声を気にも留めずに当の本人はこちらによって来る。


「いや~楽しかったな~!いっつも誠翔との1on1だからチーム戦ってのもたまにはいいな」

「あれだけ活躍してればそりゃ楽しいだろうな」

「誠翔は卓球どうだった?」

「みんなのおかげでなんとか勝ち進んだよ」

「そりゃよかった。誠翔のこの後の予定は?」

「この後すぐにクラスの男子バスケが始まるからそれの応援かな?一応ベンチ入りしてるし」

「なら俺も見てこ」


 先ほどの試合のモップ掛けなども終わり、1Bのアップが始まる。


「じゃあ一応アップ行ってくるわ」


 一応アップに参加するも、俺はシュートなどは打たずにみんなが放ったボールを返す、サポートだけをし続けた。


 アップも終わり試合が始まる。


「なんだよ誠翔、あれアップじゃないだろ」

「だから言ってるだろ、俺はベンチにこそいるが試合に出るつもりはないって」


 試合はBクラスがずっとリードし続けている。どうやらメンバーの中に数人バスケ経験者がいるようだ。アップの時から気付いていたが明らかに動きやボールの扱い方が上手い。


「これだけ強いなら1A と戦うまで負けなさそうだな!」

「これだけ強くても1Aてかお前に勝てないの間違えだろ」


 前半が終わり休憩に入ってもみんな少し息切れをするくらいで余裕がありそうだった。休憩なのにシュートを打っているほど余裕のあるものもいる。


 そんな事を考えていると縁が話しかけてくる。


「結構余裕ありそうだし誠翔君も試合に出る?」

「いや俺はいいよ。流れが変わって逆転されたら元も子もないし」

「そう?分かった」


 そうして休憩時間が終了し後半が始まる。後半も危なげなく点を取り続け試合終了まで安定して試合を運んだ。


 試合が終了し放送がかかる。


「これで午前の試合はすべて終了しました。次の集合時間は午後一時からです」


 午前の部は終了か、午後はどうやって過ごそうか、そんな事を考えていると秀一と雲雀からお昼ご飯を誘われる。そして俺は二人と共に食堂へと移動する。


 食堂では今日は暑いため冷やし中華を注文し食べ始める。


「午後の一試合目から私女子バスケの試合があるんだよね!二人とも応援に来てよ!」

「同じクラスだし勿論行くよ」

「俺もBクラスの試合ないし卓球応援してもらったし行くか」

「なに!何で雲雀はよくて俺はだめなんだ!」

「いや伝え忘れてただけで次回からは雲雀さんも来ないでもらうよ」

「え~⁉なんで?減るもんじゃないでしょ!」

「減るんじゃなくて増えるんだよ」


 次の試合が始まるまでみんなで時間をつぶした。


 試合の時間が近くなると俺たちはまた先ほどまでいた体育館に移動し雲雀はバスケのアップをしに行った。


 アップを見ているだけでも分かる。他の人とはレベルが違うほどうまい。先ほどから連続でシュートを決め続けている。


 試合が始まると、アップを見ていたであろう。すぐに雲雀にダブルチームが付く。しかし雲雀はものともせずに相手を抜き去りシュートを決める。相手チームのボールをすぐにカットすると、今度は3Pを決める。圧倒的だ。


 俺さっき雲雀の事を人気と学力の意味から女性版秀一と表現した。しかしこれは訂正する。運動面もプラスして完全に女性版秀一だ。いや、これはもう秀一も男性版雲雀と表現できる。


 試合は結局先ほどの秀一の試合と同じようにワンサイドゲームで幕を閉じた。


「いや~楽しかったな~」

「お疲れ様。なんかさっきも同じような試合見たよ」

「誠翔に応援されてるからちょっと張り切っちゃった!」


 俺の応援なんてなくてもこの試合結果なら100%試合に勝っていただろう。


 雲雀と秀一、この二人がいる限り残りの試合も余裕で勝ち続けるのだろう。俺はそんな事を考えた。


 実際その後の二人が参加する試合はどのスポーツでも危なげなく勝ち続け、最終日まで残り続けていった。

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