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トーナメント決め

授業が終わり、放課後生徒会議室に学年委員会と体育委員会の生徒が集められる。


「よし、全学年とクラスの学年委員会並びに体育委員会が揃いましたね。ではこれより球技大会運営の説明とトーナメントのくじ引きを始めます」


体育委員会の担当の先生がそう呼びかける。


「初めに球技大会は体育委員会が主に運営として動いていく。今回学年委員会に集まってもらったのは体育委員会だけでは手の回らない場面も多々あるためその補佐をしてもらう。その説明とトーナメントのくじ引きをしてもらうために集まってもらった」


学年委員会の時に説明された通り行事のたびに活動しなくちゃいけないから少し大変とは聞いていたが、どうやら活動回数が多いだけあって内容自体は補佐など簡単な物が多いようだ。大変だと考えていたが、あまり重く考えなくても良いと思うと気が楽になる。


「体育委員会は球技大会当日のタイムテーブルの進行や放送室での放送。更に当日はサッカーの試合ならサッカー部に、バレー部ならバレー部に審判をしてもらうため審判担当の生徒を試合時間に呼びに行って欲しい。他には――」


体育委員会が主体で運営するだけあってやることが様々あって大変そうだ。


「続いては学年委員会も含めて行われる活動を説明する。初めに滅多に起こることはないが、たまたまトーナメント表の当たり方により体育委員会の運営人数が減りすぎていた場合は試合がないクラスは運営を一時手伝ってもらう場合がある。この問題が起こった時は放送で連絡する。次に球技大会前日に体育委員会と合同で使う道具の準備の手伝いをしてもらう。」


学年委員会の活動を説明されたが、思っていたより簡単だった。自分一人だけで活動するわけでもないし大きなミスをするような問題を起こす事もないだろう。


「では最後に学年委員会は前に出てきてください。これからトーナメントのくじ引きを始めます」


くじ引きか…。今回のくじ引きは学年委員を決めるときみたいに不正はないだろうし、正直他のクラスや学年の人なんて誰が何を得意としているのか分からないため勝てそうな対戦相手にあたるかなんて完全に運だ。まあ分かっていてもくじ引きなら運には変わらないか。


「初めにサッカーのくじ引きを始めます。学年委員会は前へ。男子は男子トーナメント、女子は女子トーナメントの箱の中に入っている紙をみんな一斉に引いてもらいます。そして紙に書かれている番号に自分たちのクラスの札を張ってくれ」


説明を受けると縁が前に行き紙を引く。そして縁は紙に書かれていたであろう場所に札を置く。


俺も前に行きくじを引く。クジにはB7と書かれていた。B7を確認してみるその位置はシードだった。


これはラッキーなのだろうかアンラッキーなのだろうか?良くとらえればすでに一勝を勝ち取っていると言えるが、悪くとらえれば勝ち続けていた時楽しみが一試合分減ったともいえる。まあ俺は試合数が減ってラッキーだととらえられるし、クラスの皆もくじ引きのためいじりこそすれど非難することはないだろう。


そしてどんどんトーナメントが決定していく。


「では最後にバスケのトーナメントのくじ引きを始めます」


俺は男子の箱を引き紙を確認する。紙にはA8と書かれていた。俺が一番警戒している1A のトーナメントに一は同じ山だったが山の決勝、つまり準決勝まで当たらないことが分かった。恐らくというか確実に秀一がバスケに参加するならAクラスは準決勝まで残るだろう。しかし序盤に当たらないという事はAクラスと戦う可能性も低くなるだろう。


俺は一足先にとっとと男子の方の札を張り、体育委員会の一員として出席していた真波に話しかける。


「バスケ部員の間でバスケどこのクラスが強いとかの話無いの?」

「あ~、バスケが強いって話ではないけど2年と3年のAクラスでスポーツ強い人がいるって話は聞いたことあるな。でも3年は確か女子だったはず。あと3年でAクラスじゃなくてCクラスの男子チームで別に強いわけじゃないんだけど何故か勝ち続けていい成績を残すって言うのを聞いたことがあるな」

「なるほどな~そのクラスはどんなかんじだ?」


トーナメントを確認してみるとその頼みの綱になりそうなクラスはどちらも別の山出場されていたことが決まっていた。


やっぱそう上手くは行かないな。まあ俺は別にバスケに参加するつもりはないから気にする必要ないか。


「皆さんお疲れ様でした。これで球技大会運営の説明とトーナメントのくじ引きを終わります」


説明が終わり先生が生徒会議室を後にする。


「それじゃあ俺部活だから、お疲れ!」

「あたしも~!じゃあね~」


真波と縁は元気に部活に向かっていった。まだテスト期間が終わったばっかりだったため部活が待ち遠しかったのだろう。すぐに部活に向かっていった。


「誠翔これから帰るだろ?一緒に帰ろうぜ」

「私もついてく!最近誠翔と話せなかったし」

「勿論、じゃあ寮まで行くか」


秀一と雲雀に帰りの誘いをされたため一緒に帰る。


「今日は寮か?それとも俺のマンションか?」

「ちょっと行きたいところあるから寮で」

「分かった」


そうして俺と雲雀で目的地に向かっている秀一の後についていく。


着いたところは公園にある簡易的なバスケコートだった。こんな所にバスケコートがあるなんて意外だった。


「誠翔どうせバスケ参加しないんだろ?だったら一試合だけ俺とここでやってくれよ」

「いや、今日はちょっと」


別に休日とかなら良かったが今は雲雀がいる。どうしてもやる気になれない。


「何で~いいじゃん?いっつも付き合ってくれるじゃん」

「私も見てみたい!ゲームセンターの時すごかったし!」

「いやでも今日はもう遅いし」

「まだ夕方にもなってないけど」

「…ほかにやりたい子がいるかもしれないし」

「周りのどこ見ても今俺らしかいないけど」


マズい、別にやるには良い、問題は雲雀だ。雲雀に見られるわけにはいかない。しかしこの様子ではバスケの試合を見るまで離れないだろう。しょうがない、ここは成功確率は低いが奥の手を使うしかない。


そう決め俺はとある相手にメッセージを送る。ラッキーな事に目的の相手はすぐに反応してくれた。


「あっ、ちょっと待って、もしもし?うん…うん…えっ今⁉う~ん…あ~分かった!ごめん私用事できたから帰らなくちゃ」


そうして雲雀は帰っていく。そして俺にも電話が来る。海香からだ。


「もしもし、助けてくれてありがとう」

「別良いよ。でも約束は守ってよ」

「分かってるよ今度パフェ奢るよ」

「ドリンクも」

「…わかったよ」

「じゃあ何があるかは知らないけど頑張って」


それだけ言うと海香は電源を切った。


「良いよ、やろっか」

「お前何で雲雀追い返したんだ?」

「…敵であるAクラスに実力を見せないため?」

「それ俺がいるから意味なくね?」

「そんな細かいことは置いておけ。始めるぞ」


そして俺たちは公園に置かれてあったボールを手に取り1on1を始める。


やはり秀一はオフェンスもディフェンスもすごい。俺の秀一とのマッチアップでの勝率は3割5分でほとんど勝てない。調子がいい時ですら4割だ。抜かれるのを意識すると3P 、3Pを警戒すると抜かれる。こいつの場合は99%外さないから外は打たせても良いとかいう甘えは出来ない。ディフェンスに関しては心を読まれているんじゃないかと思うほどの硬さだ。結局10点先取で10-6で負けた。いつも通りだ。


「なあ、今回も別にいつも通りだったし特別な事もなかったんだからさっき言った通りやっぱり今日じゃなくてもよかったんじゃないか?」

「いや…やっぱり今日出来て良かったよ」

「そうか?もう一試合するか?」

「いや、今日はもういいや」

「珍しいな?じゃあ帰るか」


いつも何試合もねだってくる秀一が一試合でやめるなんて珍しい。そう思いながら秀一を寮まで送っていった。

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