青い小学時代
僕、一色誠翔はこの世界の主人公である。困っている人がいればすぐさま助け、一人ぼっちの子がいれば声をかけ、みんなと一緒に遊ぶ。この行動は尊敬するお父さんとお母さんがいっつも困っている人がいたら助けてあげる、という言葉を実践している。そのおかげで僕の周りにはいつも友達がいるし、大人からも褒めてもらえる。
「誠翔休み時間みんなでバスケしに行こ!」
「誠翔君ここの問題分からないから教えて!」
もっとたくさんの人を助けたいと考えた時、運動や勉強も頑張ったらもっとたくさんの人を助けることが出来るし、必要とされると考え、必然的に運動や勉強も頑張った。そうしたらもっとたくさんの人を助けることが出来たし頼ってもらうことが出来た。この世は自分が中心に回っている。そうとしか思えなかった。
しかしこんな僕にも少しだけ気になる子が一人いた。
「誠翔、今回のバスケットボールも負けっちゃったさすが強いね!」
負けたはずなのにまるで自分が勝ったかのように誇らしげに話している少女、彼女こそが僕の一番の親友であり気になる存在でもある空先雲雀だ。彼女もまた、僕と同じく困っている人がいたら積極的に助け、みんなから慕われみんなが付いていきたくなるような子だった。彼女は僕ほどではないがと頭が良く、僕に次いで常に2位をキープするほど頭がいいし、同級生の男子ではかなわないぐらい運動神経が良かった。それこそまともに勝負できるのは僕ぐらいだった。
「今回は本当に負けるかと思うぐらいひやひやしたよ!たった数日で本当に強くなったな!」
「そんなことないよ!私の成長なんて誠翔に比べたら全然だし、実際頑張って練習したけどすぐに対応されちゃって」
「それは僕も雲雀に負けないように一生懸命に練習したからね!あといっつも言ってるけど雲雀は僕に比べたら全然って言ってるけどそんな事ないよ!実際この間の小テストは僕は雲雀に負けちゃったしね」
「そんなこと言うなら誠翔だって―――」
お互いをほめちぎり、だんだんお互いが意見を譲らず、まるで口げんかが始まったようにも見えるが、これが僕たちの日常だった。
常にお互いをリスペクトし、お互いを高めあう。そして彼女もまた困っていたら人助けをする。そんな所に僕はひかれた。そうして高めあっている僕たちを見て周りの皆もついてきてくる。これを一番の親友と言わずになんというのだろう。友達もたくさんいて、好きな子と日々高めあう。更に尊敬するお父さんとお母さんもいる。僕は間違いなくこの世界の主人公だと自覚していた。
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放課後の教室の掃除時間中、同級生の女子が僕に尋ねてきた。
「誠翔君はやっぱり頭いいし進学校の中学受験とかするの?誠君は困っている人がいたら助けたいって言ってるから将来お医者さんや学者さんになったりしていろんな人を助けるのかな?」
その言葉を聞いていた男子が女子にこう返していた
「いやいや誠翔は運動神経がいいから将来プロ野球選手やプロバスケ選手になったりして世界中の人たちに夢を与えるだろ!」
その言葉を聞いて僕はハッとした。そうか今は僕の周りにいる人たちしか助けられてないけど、いまからから将来について考えればもっとたくさんの人を助けることが出来るんだ!そうと決まれば今日家に帰ったらお父さんとお母さんに将来について相談しよう!僕は今日の夜お父さんとお母さんと話すことを決めわくわくとした気持ちを持ち、友達と談笑しながら掃除を続けた。
あと少しで掃除が終わるその時教室のドアが大きな音を立て開いた。そこには焦燥に駆られた先生がいた。そして先生は僕の方に向かってきて、僕にこう話した。
「誠翔君、お母さんが迎えに来てるから今すぐ帰りなさい」
僕はこの言葉を聞きただ事ではないことを察し、急いでランドセルを背負い校門を出た。校門の前には僕の家の車があり急いで車に乗った。車の中では、お母さんが今にも泣きだしそうな雰囲気をまとっていた。僕はお母さんの言葉を喉から心臓が飛び出そうなぐらい心臓をドキドキと鳴らし待った。そしてお母さんが意を決したかのような表情をし僕に話した。
「お父さんが亡くなっちゃった」
ちなみにお父さんの名前は慎二、お母さんの名前は香織です