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一難去ってまた一難

 食堂での危機をやり過ごし何とかB組の教室にたどり着いた。ただ腹を満たしに行っただけのはずなのに、やけに疲れた。今回はたまたま危機を避けられたが、次はうまくいかないかも知れない。普段からしっかりと意識しておかなければ。


「学食うまかったな。種類も豊富だしこれから昼休みが楽しみだよ」

「ああ、確かにうまかった。俺は今度ラーメンにしてみるよ」


 などと答えるが、実際最初はカレーの味がしたが後半は全く味がしなかった。


「まだ授業まで結構時間あるし体育館行って食後の運動でもしないか?」

「良いよ。そうと決まったらさっさと行くか」


 そうして俺たちは体育館に向かう。体育館に着くとやはり運動が人気なのか結構な人数がいるが、流石運動に力を入れているだけあって余裕でスペースが開いている。


「運動するとは決めたが何やるんだ?」

「誠翔さえ良ければバスケがいいんだけど」

「良いけど期待すんなよ。俺ら二人しかいないし1on1で良いよな?」

「もちろん。じゃあ行くぞ」


 そうして真波との勝負が始まる。やっぱりスポーツ推薦だけあってとても動きがいい。食らいつくだけで精いっぱいだ。オフェンス面でもディフェンス面でも全くスキがない。


 やっぱりスポーツは面白い。あっという間に時間が経過する。


「真波、そろそろ時間だ、授業が始まる。ここら辺にしようか」

「ハァ、ハァ…そうだな。さすがに初日から遅刻はまずい」


 そうしてボールを片付けたところで真波が立ち止まる。


「どうした?早くいかないと遅れるぞ?」

「…なぁ誠翔、…やっぱりバスケ部入って俺と一緒にプレイしないか?」

「う~ん。気持ちは嬉しいけどやっぱりバイトしたいしな」

「分かった。今回のところは諦めておくよ。でも俺は諦めないよ」

「なんでだよ。一緒にやりたいならまた付き合うよ」

「そういう事じゃないんだけどな~、まあいいや」


 そうして俺たちは教室に急ぐ。思ったよりも時間がギリギリだったが何とか先生が教室に来る前に教室に到着することが出来た。


 午後の授業もほぼ午前の内容でとても楽な内容だった。やはり本格的に授業が始まるのは明日からのようだ。今日最後の授業が始まる。


「は~い皆さん、では朝告知していた通り委員会決めを始めま~す。今からだいたいの委員会の役割を伝えていくからそのうちにある程度希望したい委員会を絞っておいてくださいね。ちなみに一つの委員会に男女一人ずつしか入れないから希望したのには入れなくて希望してないのになったとしても責任をもって取り組んでくださいね」


 そう言い紬先生は委員会の概要を発表していく。正直俺は何でもいいから人気のなさそうな奴を選んでおこう。


 そうしてクラスの皆各々が自分の入りたい委員会を絞っていく。


「誠翔はなんか良い委員会決まった?今のところは体育委員会かな。放課後も活動なさそうだし、運動っていうのも俺に合ってそうだ」

「そっか~」


 体育委員会を選ぶのはやめておこう。そうして紬先生が最後の委員会を発表した。


「最後の委員会はクラス委員長、副委員長の学年委員会ね。これは他のクラス委員長と連携を取ったり行事のたびに活動しなくちゃいけないから少し大変かも」


 前言撤回。クラス委員長と副委員長だけは何が何でもやらない。


「じゃあこれからはクラス委員会に進行してもらいたいから最初に学年委員会を決めるわ。じゃあまずは男子でだれかやりたい人!」


 案の定誰も手を上げない。当たり前だ、ただでさえ面倒くさいのにクラスの責任を持たなくてはいけない。そんな役割誰もやりたくはない。もちろん俺も。大丈夫だ、誰が学年委員になっても俺も手助けする。気付かれないように。


「誰もやりたい人いないの?じゃあ仕方ない、公平な方法で決めましょうか」


 やっぱり来た。おそらくこの公平な方法はじゃんけんだろう。しかし実際じゃんけんは公平じゃない。何故なら俺は相手が何を出すか秀一以外なら見切ることが出来るからだ。悪いなクラスの皆、俺の平穏のために犠牲になってくれ。


「じゃあみんな今から渡す紙に名前自分の下の名前を書いてね!それをこの箱の中に入れてあたった人がクラス委員長ってことで!折りたたみ方は縦横二回折ってね」


 ...じゃんけんじゃ…無い…、これで本当に公平になってしまった幸先が悪い。だがしかしこのクラスでは男女20人ずつだから20分の1の確率だ。普通に考えてあたるはずがない。


「みんな入れたわね?じゃあくじ引くわよ~。…じゃあ男子からのクラス委員会は三葉誠翔君に決まったわ!みんな拍手!」


 どうやら神は俺を見捨てたらしい。なぜこうもうまくいかないのだろうか。


「じゃあ女子の方でクラス委員会やりたいいって人~?」

「は~い私やりた~い」

「本当!じゃあ決まりね。みんな二人に拍手」


 パチパチパチパチ

 女子の方はすぐに決まり拍手が起きた。しかし全く気持ちの良くない拍手だ。


「誠翔君で良いよね?あたしの名前は支倉縁(はせくらゆかり)よろしく!」

「よろしく支倉。一応聞くが委員長と副委員長どっちがいい?」

「縁で良いよ!もちろんあたしは自分からなりたくて学年委員になったからあたしが委員長になるよ」

「悪いなよろしく」

「二人とも話はまとまった?じゃあこれからの進行お願いするわね」

「任せてください!先生」

「誠翔君、悪いけどこのクジと箱処分してくれる?」

「分かりました」


 そうして俺は箱とクジを受け取った…?あれ?このクジ…


「誠翔君黒板の板書お願いできる?」

「オッケー、まかせて」


 もともと学年委員会に志望しただけあって縁にはリーダーシップがあった。そのおかげでスムーズに委員会決めの進行が出来た。そうして無事全ての委員会を決めることが出来た。


「学年委員の二人ともお疲れ様。二人のおかげで無事に終わることが出来たわ!ありがとう。あと学年員会は今日の放課後に全部のクラスと顔合わせがあるからホームルームが終わったら生徒会議室に向かってね」


 そう言い先生は帰りのホームルームを始めた。ホームルームは特に何もなく普通に終わった。


「じゃあ誠翔君、生徒会議室に向かおっか」

「いや、俺少し紬先生に用事があるから先に行ってくれ、遅れないようにするから」

「そう?じゃあ先に言って待ってるね」


 俺は縁にの申し出を断り紬先生とところに向かった。


「紬先生、聞きたいことがあるのですがよろしいでしょうか?」

「どうしたの?分からないことがあるなら遠慮なく聞いて?」

「では遠慮なく、なんで学年委員のくじ引きでイカサマ、いや俺を指名したんですか?」

「?どういう事?みんなの目の前でくじを引いたのは誠翔君も見てたでしょ?」


 その通りだ。男子の皆が箱に入れ、クラスの皆が目の前で見ていた。そして俺のくじが出た。しかし違和感を感じるのは俺しかいないだろう。


「これは先生が俺に渡したくじの紙です。これは間違いなく俺の字で俺の名前が書かれている。ですがこれがおかしいんです。」

「?おかしいって?」

「俺はくじの紙を最初に垂直、次に平行に折った。それに対しこの紙は最初に平行、次に垂直に折られている」

「...あ~あバレちゃった」

「何でこんなことしたんですか」

「誠翔君がこういう事に気付くから…てのは冗談で誠翔君が一番男子の中でこのクラスの皆のために力になりそうだったからかな?」

「なんでそんなことで分かるんですか」

「ん~気遣いかな?今日一日だけでも分かるぐらい出てるよ。やっぱり嫌だった?」

「なった物はもう仕方ないですよ。第一、俺は確かに少し学年委員は嫌だったけど実際何でもよかったですし。理由が分かったのでもう大丈夫です!じゃあこれから顔合わせに行ってきます」


 そうして俺は少し駆け足で生徒会議室に向かう。


「…理由は分からないけど誠翔君。あなたは隠してるつもりだろうけどあり得ないほどの天才だって事がバレバレよ。すぐそのうち皆が気付き始めるわ」


 ―――――――――――――――――――――――――――――――――――――

 良かったなんとか時間前に間に合った。そうして俺は息を整え生徒会議室に入る。


 そこで俺は最近の自分の運に嘆く。


 A組から順に各長テーブルに今日決まってであろう学年委員会のメンバーが座っている。まだ来ていないクラスもいるようだ。問題は来ていないクラスではない。B組の隣のA組の席。そこには俺の高校生活で最も警戒している女性、空先雲雀が座っている。雲雀の隣に座っている秀一は笑顔で俺に手を振っている。


 どうして最近の俺には複数の難が降りかかるのだろうか。

支倉縁の容姿は茶色のポニーテールにかわいらしい元気っ子です

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