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19 執行

19 執行


 S駅のホームに静寂が戻る。

 雨音だけが響いている。


 死神は、微動だにせず、彼女たちが走り去った方向を見つめていた。

 それから、ゆっくりと首を振る。


「……逃げてしまいましたね。」


 優しい囁きが、誰に向けるでもなく、宙に溶けていく。


 ホームのベンチに、一つの人形が置かれていることに気づいたのは、その直後だった。


 古びた人形だった。

 くすんだ布地のドレス、煤けた金色の髪、そして澄んだ青色の瞳。


 死神は、静かにそれを見つめる。

 わずかに眉をひそめる。


 そして、背を向けた。


「黙って見ていれば、ひどい暴れっぷり。弱点らしい弱点もないし、元となる現象も噂話もない。人目に付きやすい場所で暴れて、怪談としての体を成していない。キャラクターは立っているかもしれないわね。最近、こんなのばかりだわ。だから私が来たの。このお芝居はおしまいよ。」


 声は人形の方から聞こえた。死神が振り返ると、先ほどまでベンチに乗っていた人形がいない。


「……どなたですか?」

 死神は誰もいないホームに話しかける。


「私、メリー。今、あなたの後ろにいるの。」

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