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王城へ



―――…よしっ!


 王城に向かう馬車の中で、緊張で全身が高揚するのを感じながら、一人気合いを入れる。

 精一杯お洒落をして一番いいドレスを選んできたけれど、どこかおかしなところはないかともう一度自分自身をチェックする。


 最後に手鏡を覗くと、赤みがかった金髪の、可憐な少女が不安そうにこちらを見返していた。


 そう、わたしは失敗するわけにはいかないのだ、と独りごちる。


 手鏡から視線を外すと、空いている方の手で亡き母から贈られた形見のペンダントに触れる。

 肌身離さず身に付けているそれは、今は服の下に隠れて見えない。

 不安を感じると無意識に手を伸ばしてしまうようだ。


――わたし、レティーナ・エルシアンは()()()()()()()()()()()()()()()これから王太子と対面することとなっている。


 妹の振りをして、王太子殿下と会うのだ。


 もっとも、今のレティーナの姿形は誰が見ても妹のリィシュそのものだった。

 誰も自分をリィシュ・エルシアンとして疑いを抱くことすらないだろう。



 レティーナは魔女と取引をした。


 妹の姿になる魔法をかけてほしい、と。



 何故妹になりたいと望むのかしら、と魔女はまた面白そうに聞いた。

 レティーナは答えた。


 “クレイル王太子殿下と婚約したいの”



「―――お嬢様?」


 そっと隣にいた妹付きの侍女から心配そうに声をかけられ、意識が現実に戻ってくる。

 どうやらぼんやりしてしまっていたらしい。


「もうすぐ王城に着きますよ」


 その言葉にレティーナはいよいよだと覚悟を決め、止まった馬車を後にした。



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