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9/9

9.こういうのをご都合主義っていうんだぜ

 すぱー。

すぱー。

あー煙草うんめー。

私は今、人生初の煙草もどきを満喫していた。

どうやらコレンという葉っぱを乾燥させて巻いたものらしい。

あれ、これどっちかっていうと葉巻?

あー葉巻うんめー

スモーカーの皆さん、知識がなくて申し訳ねぇ……

でも背徳的だわーこのうまさ。


 っておいおい。

すっかり目的を忘れるところだった。

ちょっとマフィアっぽく煙草でも吸いながら作戦を練ろうと思ったら煙草のうまさに目覚めた件。

うん、この一話のタイトルはこれで決定だな。


 さて、いい加減にしようか。

私は戦争を起こす必要がある。

で、そのきっかけとして最も良さげなのがドラゴンを傷付けてそれを他国の所為にして戦争を引き起こし、あのストーカーことアーロンを始末する。

問題としてはどうやって竜を傷つけるかだ。

もちろん傷つけること自体は可能だ。

というか死神である以上精神異常でも引き起こせば相手は簡単に無防備になってくれる。

もっと具体的に言うのであればどうやって厳重な警備を突破するのか。

ドラゴンとの絆はそれだけで一財産になる。

となれば当然人間の警備も厳重になるわけだ。

本当は必要ないんだろ受けどドラゴンの長に誠意を見せるためにやっているんだとか。

ソース、メロウさん。


 あの後一応帰っていく竜騎士たちをストーk……追跡してどこが竜舎なのかは把握してる。

デカすぎて10分くらい竜舎がどこか分からんかったけど。

ちなみに迷っている間すでに竜舎に侵入してました。

見つからなかったのは近衛隊が建物のみを警備しているからだった。

そもそも敷地自体がめちゃくちゃデカくて人が足りないからだろうけど。

あれ多分このミラーレの半分くらい占めてるんじゃない?

またまたちなみに契約を結んだドラゴン達は絶対に竜舎にいないといけない訳ではなくて結構自由にあちこち飛び回っているんだとか。

竜騎士がそれぞれ笛を持っていてその笛を聞き取って戻ってくるんだとさ。

ドラゴンサイズ

それもう角笛じゃねえか!


 という事でコンクルージョン!

もっと情報が必要です。

基本的にこういったものは情報を集めた方がうまくいくのが定石。

世の中情報戦なのだよ!

というか出てくる情報が結構限定的。

これ普通に隠ぺい工作してますな。

で、案外みんな口が堅いのも特徴になる。

竜騎士自体 居酒屋でちょくちょく見かけたりはするけど袖の下も渡せそうにないし。

というか実際袖の下を渡そうとしている奴がいたけど……まあ彼の運命はお察し。

翌朝首が離れてたとだけ言っておこうかな。


 はてさてどうしたものかと思った時だった。


「ようお嬢さん。昼間っからずいぶんと飲んでるな。」


 何ともご都合主義な飲んだくれが現れた。

訊いた話どうやら竜騎士で今日は非番なんだとか。

絶対ご都合主義働いてるでしょこれ。


「家族のもとにはいかないんですか?」

「あぁ、ドラゴンと契約してからずいぶん嫌われちまってよう。まあうちの奥さんがいいとこの出だからしょうがないっちゃしょうがないな。」

「いいとこの出?」

「あぁ、上流のお貴族様の出でな。政治結婚だから愛もねぇ。」

「というかその様子だとおじさんも結構良いとこの出なんじゃ……」

「あぁ、一応上の下ってとこだな。まあ貧乏だからこんな酒場に入り浸ってるんだけどな。」


 そういうとその竜騎士さんは豪快に笑ってジョッキをイッキした。

っておう、なかなか酒豪だな。


「おじさんなかなかいい飲みっぷりだね。」

「おうよ。ドラゴンと飲むならこのくらいは軽く飲めないとな。」

「ドラゴンも酒豪なんだ。」

「当り前よ。どんな生き物であれほしい物ってのは変わらない。名誉と、酒と、女だ。」

「名誉じゃなくてお金では?」

「馬鹿言っちゃいけねぇ。名誉があれば金なんて簡単にあつまる、その逆も然りさ。」


 なるほど貧乏上級貴族が言うとなんか説得力がある。


「というかおじさんはなんで貧乏なのに上流貴族?」

「まあそれは……その……地位を買ったからな。」

「売官売位っていいのか……」

「まあよくある話だ。とはいっても金で立場を買った奴はすぐに落ちぶれるのが定石だ。」

「じゃあなんで買ったの?」

「そりゃあ……うちの奥さんに満足してもらうためよ。」

「いよっ、尽くすねぇ。」

「よせやい。」


 竜騎士、というかもはや近所にいそうなおじさんはそういって照れたように笑った。

うん、この人絶対貴族とか向いてない。

農場とかで気前よく酪農とかやってた方が絶対向いてると思う。


「おじさんおじさん、自信があるなら私と飲み比べしない?」

「おぉ、言うじゃねえか。勝てるとでも?」

「こう見えて私も随分飲むタイプでね。」

「おうおう、だったらその鼻へし折ってやるよ!」


 おじさん、見事に挑発に乗った。

いやーちょろいっすねー。

で、結局おじさんがダウンした。

ふふふ、若いもんの肝臓舐めちゃいかんよ。

私はおじさんの懐に手を突っ込むとまさぐり始めた。

……エッチいこと考えた人、正直に手を挙げなさい。

腕一本で勘弁してあげるから。


 で、ちょっと苦労したけどやっと見つけた。


「まああるよね、鍵。」


 なんというかご都合主義極まれりって感じですな。

私は紙とペンを用意するとサクッと書き取った。

うん、やっぱりちょろい。

鍵をこっそり元に戻すとおじさんを起こしにかかる。


「おじさん、寝たらだめだよ。竜騎士なんでしょ。」

「うげぇ……」


そんな声を出していたが水を頭からかけてやったら一気に目が覚めた。


「飲んでない!飲んでないよメロウ!」


ん?なんて言った?

メロウ?

いやいやいやいやまさかそんな偶然はさすがにないっしょ。


「メロウさんってどちら様ですか?」

「ん?なんだやたらと酒に強い嬢ちゃんじゃないか。ふぅ、安心したぜ。うちの娘かと思った……」

「ちなみにメロウさんって方はどこにいるとかは……?」

「いや、14の時に出てって以来だな。あんたもしかして知ってるか?」

「……分かりませんね。」


 メロウさんまさかの元貴族説。

人生何があるか分からんもんだねぇ。


 で、なんだかんだあったけど鍵の設計図もどきを手に入れた私はその後ちょっと黒い所の方でお金を積んで鍵をゲットしましたとさ。

ちゃんちゃん。

すっげー納得いかない……

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