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5.しーっ!静かに!あいつに気付かれちゃう!

 何とか彼を伸してから一週間たったが一言。

あいつしつこいぞ……

現在私は冒険者ギルド会館のバーカウンターでフードを目深に被りながらちびちびとアルコール濃い目の酒を飲みながら辺りを見回すアーロンから姿を隠していた。

あいつヤバくね?

いつもの稼ぎをしようとギルド会館に行くと毎回掲示板前に張り付いているし事あるごとに私に話しかけてくる。

普通にストーカーなんだよなぁ……


 そのおかげで私は一つスキルをゲットしたし。

その名も「隠密」!

気分はさながら忍者だぜ!


 と思っていた時期が私にもありました。

忍者さながらに隠れていたら一瞬でばれた。

アイエェェェェ!?オンミツ!?オンミツナンデ!?

なんて思っていたけど「鑑定」で調べてみたら理由が分かった。


―――――


「隠密」Lv.3


その場の空気に溶け込むスキル。

発見されるまでの間を長くする。


―――――


 発見までの時間を長くするスキルだった。

どうりでニンジャのフリしててもバレるってことだ。

どちらかというとリアルラックに近いのかもしれない。


 では例えるなら何か?

私は考えに考えてたどり着いた。

そう、スパイだ!

秘密諜報員、前世でどれほどあこがれたことか。

まあそういった映画をあまりしっかり見たことないけど。

金曜〇ードショーとかでチラッと見た程度です、はい。

あまり縁はなかった……


で、試しに人ごみに隠れて実験してみたら大成功。

今は隠密レベル7にまで上昇した。

もう十分程度隠密していてもバレることはなさそう。

バレるときはバレるけど。


 おっと、アーロンがこっちに来た。

まさかバレた?

と思っていたけど杞憂だったらしい。

アーロンは隣に座るとグラスを拭いていた渋いおっちゃんマスターを呼び止めた。


「マスター。ウイスキーをストレートで。」


 おぉ、ストレートで飲める人か。

流石ランクA、酒の味は分かっているようだ。

水割りなど邪道、許容範囲は氷までだ!

かっこ異論は大いに認めるかっことじ。


 カウンターに出されたウイスキーを一息にグイっと飲むとアーロンはため息を吐いた。


「一体どこに行ってしまったんだ……」


 こえー。

え?なんでこんなにマジになって私探してるの?

さて、私には選択肢が二つある。

話しかけるか、話しかけずに席を立つかだ。

勿論、絡まれるのがめんどいのでコインを置いて席を立とうとした。


「聞いてます?話を聞いてくださいよ。」


席を立とうとしたらアーロンが酔った表情で私のローブをつまんだ。

っておい。

なんで私なんだよ!

そこは普通マスターとかだろJK!

そんな私の内心を知りもしない愚か者は私を強引に椅子に座らせると話始めた。


 ちなみに現在急速にレベルが上がっていてさっきまで7だったのにいつの間にか10まで上がっている。

隠密様様だな。

今なら銀行とかにも忍び込めそう。

ちなみに銀行警備員さんをチョーこっそり鑑定したところ隠密を破るスキル「看破」を最低でも全員レベル10で持っていた。

コワイ!


 とそんなことを言っている間にもアーロンの愚痴は続く。

基本的に聞き流してたまに相槌を打ってるだけだけど。


 アーロンが泣いてる?

そら隣に探してる人がいるのに分からないから泣いてるんでしょ、気にしない気にしない。

私は諦めてコインを下げるとエールを注文した。

あ、これ美味しい。

さっきまでウイスキー飲んで喉がひりひりしていたからありがたい。

ちょっと甘い風味がしびれた喉にはありがたかった。

アーロンの話は変わらず無視だけど。


 で、結局あの後アーロンの愚痴に四十分くらい付き合ってアーロンはふらふらと二件目に向かった。

さてと、私はため息を吐くとエールを飲み干しフードを取った。


「マスターいくら?」

「200ウィーラ。」


 そっけないマスターに私は好感度をグンと上げて200ウィーラを支払った。

渋くて愛想のないマスターよ、長く強く生きて私を楽しませてくれ!

私はポッケに手を入れると掲示板に向かって歩き出した。


 さて、何があるかな……

ほけほけと掲示板を眺めているとふとある掲示板に目に留まった。


―――――


護衛任務


・依頼主:ドルー


・依頼内容

隣国ルクレへ運ぶ武器の護衛

報酬は4000ウィーラ。

なお、食費、宿代の援助はしない。


―――――


 ふむ、確かルクレ公国は人間の国イラーノと国境を接していたな。

……閃いた。

今の私は相当悪い顔をしているに違いない。

さて、冒険者って確か戦争にも駆り出される事があったような……


 戦争が始めると国からの依頼で、冒険者たちがそっくりそのまま傭兵として雇われるってい言うのを聞いたことがある。

高ランク冒険者アーロンがそれに巻き込まれない筈がない。

で、私はその間にどこかに亡命でもしようって事。


――やっちゃいますか、戦争。


 頑張れアーロン、生き残って帰ってくるんだ。

帰ってきても私はいないけど。


 さて、計画を起こす為にもこの依頼は受けておこう。

私は掲示板からべりっと依頼書を剥がすと受付に持っていくことにした。

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