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2.そうだ、鎌を買おう

 はいはい皆さんに質問でーす!

異世界に転生、もしくは転移したら皆さんは何をしますか!?


 普通の人の場合

・ハーレム

・無双

・飽くなき冒険

・まったり生活


 私の場合

・お酒


はい、という訳でこれが皆さんと私の違いです!

どぅーゆーあんだーすたん?


 という訳で今日も今日とて夜になったのでお酒を飲みに行きます!

ハーレム?

私女なのですがなにか?

無双?

そんなことして命の危機に身を投じるつもりはありませんがなにか?

飽くなき冒険?

上記と同様ですがなにか?

まったり生活?

お酒があれば何とかなりますがなにか?


 すべて自己完結が出来るのですね!

魔物だって死にたくはないだろうし私だって死にたくない。

なのでつまみ出されない程度のお金…もとい魔物を狩ってギルドで報酬をもらっていればお互いにウィンウィン。

誰も損はしないのです!

魔物は絶滅しないし私も必要最低限の命の危機で済みますし。


 という訳で低ランクの魔物を狩って少し実入りが良くなったお財布からいつもの酒場でエールを注文してグイっとあおる。


「く~っ!」


 この一杯のために生きている!

そういっても過言ではない程度には私、今の生活を楽しんでいます。

日本では二十歳になるまでお酒は飲めないからねぇ。

その点、こっちの世界ではすべてが自己責任なので何歳で酒を飲もうが知ったことではないのだよワトソン君!

時折稼げないこともあるけどまあそこは貯金から。


 まあ常に素寒貧だから毎日飲めるってわけでもないけどね……

そこは己の不幸を嘆けって奴ですな。


 さてさて、そんなこんなで毎日少しずつ弱い魔物を狩って生計を立てて(?)いたがそれも限界が訪れた。

いわゆる武器の消耗である。

今までは普通に剣を使っていたが私の手入れが悪かったのかさっきのクエストでついに剣を叩きおられた。

ないわー。


 あのサルほんとありえないわ……

ちなみに狩ることになったのは「岩猿」と書いて「ロックモンキー」と読む危険度Dのモンスター。

いつも狩っているスケルトンとかは危険度E。


 ちなみにもう一段下のFがあるけどそれはまた別の話。

というか大体ここまで話したら最高危険度は大体何なのか分かるよね?

神話級、S級、A級、B級、C級、D級、E級、F級って感じでランク分けされてる。


 こほん、話を戻しまして。

今回は私には珍しくチームで討伐に挑みました。

まあ、私のランクで一人で狩れるのがまだE級までだからってのもあるけど。

言うまでもなく心強い魔人族の皆様のパーティで色々と話を聞かされて弱点とかは把握。

道中、人間のくだらなさをくっちゃべりながら問題の「岩猿」のいるところへ。


 で、半壊ですよ。

あれだけ自分の腕を過信しといて半壊ってそりゃないわーって感じです。

しょうがないので剣で応戦しましたとも。

「岩猿」の弱点っていうか四肢を持つ生き物ならだれでも持っているであろう弱点、いわゆる心臓部とか内臓にダメージが響きやすい部位を。

そしたら剛腕一発で剣が粉砕。

私も左腕を骨折する羽目になりましたとも。

前世でも骨を折られたことないのに!


 ……まあそんなネタは置いといて。

つい腹が立った私は、封印していたあの「死生魔法」を展開。

私が死なないぎりぎりの魔法「死こそ救済」を発動!

痛々しい名前なのはとりあえず置いといて。

「死こそ救済」はいわゆるメッチャ苦しむ魔法。

それこそ死を求めるほどに。

生き残った男の子系小説でいう所の「クルー〇オ」的なあれ。

その結果私は残りのHP6。

「岩猿」さんには物言わぬ魔獣になっていただきましたとも。

これがホントの「言わ猿」ってね!

……今日はよく冷えるな。


 で、武器がぶっ壊れたので現在私は農具屋さんに来ています。

農家の皆様が訝しげに見ているけど気にしない気にしない。

私は枝切り用の鎌を置いてある場所に向かった。


 さて、何を買うかはもう分かるよね?

大鎌だとも。

まあ、武器としてはあれかもしれないけど最近新しいスキル「鑑定」をゲットしたので今の私はひと味違う!


 説明しよう!

鑑定とは、いわゆる異世界転生ものにおいてチート的存在を生み出すきっかけ!

すべてのチーターは「鑑定」に通ず。

これ異世界の常識ね。

古事記にもそう書かれている!


 さて、「鑑定」スキルをゲッチュした私は一番最初の特典をいただくことになった。

それは常時自分の状態を確認できるという事を!

これがあれば自分の持っている称号や、スキル、ステータスも基本的に分かるようになるのだ!

だがちょっと待てと。


 前回の一話でおまえ普通に「眠りの手」を撃った時にHP、MPを把握してたやろが。

いい質問ですね!

そんなあなたに50点!

「鑑定」の下位互換であれば一般人でも使えるというのが私の見解です。

それも何も消費することなく。

ただし、自分の中身だけという条件が付くけどね。

それを常時、意識せずとも把握できるのが「鑑定」なんじゃないかと私は考えています。


 もうひとつの学説として私のスキル「遠目」のおかげで見えてるんじゃないか説がある。


 で、長々説明したが何を言いたいのかというと……

「鑑定」で精査した結果、唯一の称号『The Grim Reaper』、略して『TGR』にはある特典があることが分かった。

「鑑定」様の結果がこちら!


―――――


『The Grim Reaper』

生と死を司る者が持つ称号。

「死生魔法」を持つ者に付与される。

「死生魔法」、を対象者に付与する。

与えられた「死生魔法」は剝奪不可。

死神に関するあらゆるものを強化する。


―――――


 なんというマッチポンプ!

「死生魔法」を手に入れれば『TGR』をゲットでき、『TGR』を剥奪しても「死生魔法」があるため『TGR』を再取得する……

で、この死神に関するあらゆるもの。

そして死神と言えばこれ。

と言えばやっぱり大鎌でしょ!

そんな経緯で私は農具屋さんに来ていた。


 ちなみに「死生魔法」っていうのは「光魔導」と「闇魔導」を極めに窮めるとゲットできるらしい。

魔導の下位互換が魔術、魔術の下位互換が魔法になるらしい。

ってことは推測だけど「死生魔導」もあるってことだよね……?

まじかー。


 でも普通は「死生魔導」だよね……?

多分これは神様のあれが関係しているのかもしれない。

ほら、「ミスった」って言って死神を剥奪したじゃん?

多分結構上位の神様だからある程度の力を剥奪することはできたんだと思う。

その結果「死生魔導」ではなく「死生魔法」まで力が落ち込んだと。


 まあ、長々解説やら考察やらしていたけど現実的に私は大鎌をゲットしに来ました、以上!

で、問題はいかに実用性がありそうな鎌を選ぶかだ。

いくらパワーアップするからとはいえ適当に選べばいいって物でもない。

比較的丈夫なものを選んでそれを強化しなくては……

という訳で店員さ~ん!


 リアーナ は 店員さん を 召喚 した!


「はい!なんでしょう!」


やや緊張した様子の店員さんが応じる。


「この中で一番頑丈な鎌ってどれ?」

「一番丈夫な鎌ですか……」


 おぉ、さっきまでの緊張した様子から一気に真剣な表情になった!

こういうのを職人気質っていうのかな?

そんなこんなでいろいろと身長を測られたり腕の長さを測られたりして体格に合う中で一番丈夫な鎌をチョイスしてもらった。


「これはどうでしょうか?」


 店員さんがおずおずと鎌を渡す。

私は鎌を両手で受け取った。

……ん?


「お気に召しませんでしたか?」


 店員さんが訊ねる。


「……いい鎌ゲット。」


 その言葉に店員さんが安堵したような顔をした。


「これいくら?」

「650ウィーラになります。」


 私は懐を漁った。

さて、ギリギリ……ギリギリ……


「ギリギリ足りない……」


 なんてことだ!

わずかに15ウィーラ足りないとは!

ヤバい、こんなに真剣にいい鎌を見繕ってもらったのに!

私はにっこり笑って聞いてみる。


「値下げしてくれない?」

「だめです。これはいい鎌なので。」

「15ウィーラ下げてくれない?」

「無理です。」

「……誓約書に書くから二回払いでいい?」

「……。」


 その質問に店員さんはしばらく考えた。


「身分証を提示していただけたら。」

「……さすが。」


 冒険者ギルド様様だ。

私はギルドカードを提示した。


「えっと……リアーナ=ムエルテ様ですね。分かりました。では325ウィーラになります。」


 おぉ、やっぱギルドカード様様。


 そして新発見。

ギルドカードでは「ミウ=イガラシ」ではなく「リアーナ=ムエルテ」と呼ばれるらしい。

最初にギルドカードを見たときどっちなんだろうと思ったけどどうやら本名の方は見えてないっぽい。


 で、やっとゲットした鎌だけど鑑定してみたら結果が出た。


―――――


『低級の鎌』

死神が持つ低級の鎌、比較的丈夫だがそれでも実用性は低い。

枝切り用であることから豊穣を司るともいわれる。

HPを毎秒1ずつ回復する。


―――――


 うんそのまんま。

でも回復機能が付いたのは地味にうれしい。

そのうち新しくいい鎌をどこかの鍛冶師さんに打ってもらいたいな~。

そんなことを思いながら私は鎌にサービスでもらった鞘をしてギルドに依頼を受けにむかった。

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