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かぐや姫?

作者: KEN

僕のイビキはかなり騒がしいですよ!


お昼寝している時に自分のイビキがうるさくて目を覚ます時があるぐらいに!


この自慢?


のイビキは扁桃腺が大きいのが原因らしく子供の頃から始まっていたので、いびきが原因で何回か兄にイジメられた思い出があるぐらい・・・


だから小学校、中学校、高校での泊りがけでの野外活動なんかは嫌で嫌でしょうがなくて・・・


と思うのが普通の子供かな?


でもヤンチャな性格をしていた僕にはイビキなんてノープロブレム!


だって喧嘩っ早い僕にイビキの事で文句を付けるようなクラスメイトは一人もいなかったからです。


この凄まじいイビキは大人になってからも健在、社員旅行やお祭りの連中(青年団の集まりみたいな感じ)で行く旅行先でも、朝になって起きると「トラかライオンの遠吠えか?」ってな例えをされるぐらいの大イビキをかいていたらしいけど、お酒を飲むとイビキをかいて寝る男も多いみたいなんで、旅行先では何の気兼ねもなく大酒を喰らっては周りの迷惑を顧みずに大イビキを轟かせて熟睡していました。



それでも何回か入院をした際には、流石に見ず知らずの同室の入院患者さんに気を遣って『イビキ防止テープ』を鼻に貼って寝るようにしていましたが・・・



結婚をしてから同じベットで寝ていた元嫁が何とも思っていなかったのは「やっぱり愛のおかげだったのかな?」なんて、離婚した今になってから思ったりもします。


そんな感じでイビキに対しては何の負い目も感じていなかった僕が、4年前の夏頃、三泊四日の泊りがけで、仕事に必要なメーカーのIDナンバー取得の為の出張研修に行く際には、流石に少し気を遣うハメになりました。


この出張研修には同じ会社で働く20代後半のM君と一緒に行く事に、何故、工事部長さんがすでに取得しているメーカーのID、決して安くはない費用を会社に負担をしてもらい他県までメーカー研修に行く事になったのか?


その理由は、研修が行われる先の宿泊先はメーカーの宿泊施設らしく他の研修生との相部屋が条件、それなのにM君は凄くシャイな若者で


「知らない男と相部屋なんて絶対に嫌だ!」


との理由、そこで独身の僕に白羽の矢を立てて誘って来たみたいで、観光名所が多数存在するN県が研修先と知った僕は旅行気分半分に喜んで快く承諾・・・


って言うよりも、本当は『暑い外仕事をするよりはエアコンの効いた屋内での研修の方が楽だ』と思ったのが大きな理由なんですが。


N県と言えば大仏様で有名な観光地、今回の研修は宗教法人でも有名なN県T市での研修、有名な大仏様があるN市に『竹取物語』由来の地を自称するK町にと、N市近辺について下調べをし「暇があれば観光でも」と考えていたのに、研修の時間は朝の8時半~夕方の6時までと1日みっちりと詰まった時間割、だから僕は最初から遊び気分を持たない事に、それが若いM君は以前に別のメーカー研修の出張先で先輩社員と『夜の大人の男の遊び』でハメを外した思い出があるらしく、電車で片道2時間半をかけて夕方に到着したT駅ではソワソワ・・・ソワソワ・・・と・・・



駅近くで早い目の夕食を取る事になったので飲食店を探す為に街中をウロチョロしながら交わしたM君との会話からは、明らかに『夜の楽しみのお店を探している雰囲気』が漂いまくりの、でもT市は宗教法人の名前を市の名前にする街でもあるので、駅前からしてあちこちに法被に身を包んだ信者さんの姿があるぐらい、ゴミ一つ落ちていない、街中を見ても解る通り本当に『善意の街』って感じの街並み、そんな街に怪しげなお店があるはずも無く、歩き疲れた二人はたまたま見付けた居酒屋さんで夕食を済ませて再び駅前のバス停へ、それから30分程バスに揺られて到着した宿泊と研修を兼ねたメーカー施設、大企業ならではの光景に圧倒される思いになりました。



世界に名立たる一流家電メーカー、今では家電製品の枠を超えて電気機器全般においても有名大企業のS○A○Pだけあって、山の麓の広大な土地には宿泊研修施設以外にも研究施設に独身寮に工場にと、何棟も並び立つS○A○P一色の鉄筋コンクリートの建物群にはまさしく


『S○A○P村』


って表現がぴったりに感じる広大な施設、その広大な土地の中に立ち並ぶ建物群の中から宿泊研修施設を探すにも一苦労の、やっと辿り着いた大きな正面玄関の自動ドアをくぐって目にした広々としたロビー、そこには一流ホテルを連想させるゴージャスな空間に少しワクワクしたのも束の間、受付で簡単な入館手続きを済ませ、館長さんを名乗る人物から説明された施設利用案内と宿泊についての規則は『門限が夜の10時』に始まり就寝時間から起床時間から三食の食事の時間まで・・・


まるで「中学生か高校生の合宿か?」と勘違いするぐらいに事細かなルールを聞かされて少しうんざりしながら、同じ号数の部屋のカギをT君と僕のそれぞれに手渡させれエレベーターで8階まで登り、これから三夜の寝泊りをする部屋の室内を見渡すと少し唖然・・・


室内を見渡して何で唖然となったと思いますか?


あまりにもみすぼらしい部屋だったから?


いやいや、実はその正反対で、室内の雰囲気はホテルの一室みたいに小ぎれいでオシャレな感じ、8畳一間ぐらいの広さの室内にはシングルベットが二つ並べられ、そのベットに掛けられている布団のシーツは可愛いピンク色をした花柄模様、M君と顔を見合わせて思わず


「何かM君と二人で新婚旅行に来たみたいやなぁ・・・」


と冗談を言ってしまったぐらいです。



取り敢えずM君が窓側のベットで寝る事を選び、僕は反対側のベットで寝る事に、窓側の角には洋風の雰囲気に不釣合いな、門松みたいに立派な竹飾りが陣取っていたのには「竹取物語由来の地を自称する土地柄のせいなのかな?」と納得は出来たものの、小さいテレビが1台しか無いのには少しがっかり、もちろんS○A○P製のテレビだったので「テレビやったらいくらでもあるはずやのに2台は置いとけやなぁ・・・」と愚痴るのも当然の話・・・


おまけにリモコンも何も触っていないのにいきなりテレビの電源が入ったので「たぶん検査で引っかかった欠陥品を置いてんのか?どこまでケチやねん?」と、これから寝泊りする部屋への不満がつのるばかりの、M君と小さなテーブルを挟んで、これまたオシャレな椅子に腰かけ、少し気まずい雰囲気で施設案内書に目を通すと、最初に受付で説明された注意事項以外に


『※室内の備品を大切にしましょう※』


『※備品を使った後はキレイに洗ってから元あった場所に戻しましょう※』


『※備品は絶対に持ち帰らないように※』



とか・・・


二人して


「大した備品も備えてないくせに・・・」


との文句が出るのもこれまた当然に、寝るのにはまだ少し早い時間だったので「どうやって時間をつぶそう?」との会話になり、取り敢えず施設利用案内書に載っていた1階の売店に行く事になりました。


「何かお土産でも売っているのかな?」


と少し期待をしながら行った売店、この売店がこれまた小さくてショボイ売店、お菓子にジュースに簡単な日常品は置いていたものの、御土産なんて気の利いた商品は一つも置いていなくて、しょうがなく僕はお菓子を購入、M君は缶ビールを購入、その後に何気なく売店の前の大きな食堂のガラス戸に貼られていたメニュー表を見ると


『朝食時間7:00~バイキング』


と載っていたので


「これは食事ぐらいは期待ができるぞ!」


と二人して気分を取り直して部屋へ戻り、M君は一つしかない小さなテレビで、僕は持参したノートパソコンで時間を潰してその日は就寝をする事に、お酒をやめてからはイビキもそんなにかかなくなったと思っていたけど、念の為に「僕はイビキがうるさいかも知れんから、もしうるさかったらごめんな」と、先に謝罪を済ませてから電気を消して目を閉じました。


翌朝、眠い目を擦りながら期待を胸に食堂に着いてがっかり・・・


同じ研修を受けると思う数人のおっさんしかいない食堂内、女気がゼロなのはしょうがないと思いながら目をやった料理は『パンとコーヒー』か『ご飯とお味噌汁』かを選べるバイキングには変わりが無いのですが・・・


メインのオカズはと言えば『半分に切った2種類のコロッケ』『いかにも冷凍食品の小さいオムレツ』『焼き魚の小さい切り身』が入った4つのトレイだけ・・・


キャベツだけのサラダにゆで卵があったのには喫茶店のモーニングみたいな感じでお皿に盛り付けができたものの、どう考えても『バイキング料理』と言うよりは『お皿に盛る手間を省く為にトレイのまま置いている』って感じの朝食・・・


M君と顔を見合わせて「これは昼飯も晩飯も期待せんほうがええなぁ・・・」と溜め息をつくしかありませんでした。


それでM君に今以上の不満を募らせない為に僕のイビキについては、敢えて話題にしないようにしていたんですけどね。


そうしていざ始まった研修内容と言えば、普段仕事でしている作業の資料を読み聞かされるおさらい授業みたいな感じの学科研修、とにかく眠たくて眠たくて、時折はウトウトしながらも最終日の試験に備えてスクリーンに目をやっては蛍光ペンでチェクの繰り返し、教官の退屈な話に飽き飽きして迎えたランチタイム、あまり期待もせずに足を運んだ食堂では驚きの光景が!


何と数十人にのぼる若い女性がうようよといるんですよ!


僕らが受けている研修内容は『太陽光発電システムの設置工事』についての研修なので当然にも男しかいなかったのに、泥沼にいきなり蝶の群れが舞い降りたみたいな華やかさには心が踊りまくりの!


この大群の女性達が胸に付けている名札を見ると、どうやら大手家電量販店の新入社員らしき集団、どんな研修かは知らないけど「何で男がいない?」と疑問に思いながらも目の保養を楽しんで昼食を済ませ、何だか得した気分で午後からの研修を乗り切る事が出来ましたが・・・


やっぱり『想像以上にお粗末なランチにはがっかりとしながら』を付け加えておきます。


退屈な研修を終えて迎えた夕食の時間、当然にもメニュー内容には期待せずも、昼食時の華やかな世界に希望を膨らませて食堂に行って少しがっかり・・・


太陽光発電システムの研修時間が予定より30分も過ぎていた為に食堂にはおっさんの姿ばかりが・・・


肩を落としたM君と向かい合わせに、口数も少なめに物足りない感タップリの夕食を済ませ部屋へと戻り、意気消沈の沈黙を破る為に


「僕のイビキはうるさくなかったかな?」


との質問に対してM君は答えにくそうに


「いやぁ、凄かったですよ、でもKENさんのイビキよりも夜中に急にテレビの電源が入った事の方に驚きました、ほんまにボロいテレビですね」


と、M君は僕に気を遣った返事をした後に


「この近くに何処か遊べる場所は無いんですかね?」


との質問が、若いM君にとっては山奥の研修施設が退屈で退屈で仕方が無い様子・・・


続け様に


「家を出る前に『KENさんに飲みに誘われるかも知れないから』って、KENさんをダシに使って嫁から多めの小遣いをもらって来たんですよ・・・」


と・・・


僕は離婚を機会にお酒はやめたし、この年齢になって色事の遊びに高いお金を使う余裕も楽しむ活発さもなかったので


「この善意の街に男の遊び場所は無いと思うし、僕は余分なお金を持って来てないし」


と答えました。



するとがっかりした様子のM君は、スマホを手に持ち、マップ機能で自ら近場にある男の遊び場所を探し始めたかと思えば


「なんなんですか?この場所は?GPS機能が困惑して現在地が定まりませんよ・・・」


と・・・


何を言っているのかな?


と思ったので僕も自分のiPhoneで確認したマップを見て困惑・・・


M君の言う通りに現在地を表すマークが画面のマップ上で一か所に留まらずにウロウロと・・・


おそらくだけど、色んな電気機器製品の施設が密集している為に、電磁波か何かの影響で磁場が乱れてGPSも現在地を検知出来ないでいるのかも?


って、素人の勝手な想像ながらも、テレビの電源が勝手に入った原因も妙に納得が出来たので、その日の夜はテレビのコンセントを抜いて就寝しようと話し合い、昨晩と同様に僕はノートパソコンに向かい、M君はつまらなさそうにテレビを見詰め、眠たくなった僕は「今日もイビキをかいたらごめんな・・・」とお侘びを入れてからM君よりも先に眠りに落ちました。



翌朝、目が覚めたけどイビキについては確認をせずに食堂に向かい、昨日と変わらないバイキングもどきメニューより蝶の群れに舌鼓を打ちながらも、僕よりあまりにも年齢が若い女性陣には「やっぱり眺めているだけが楽しいなぁ・・・」と変な妄想を膨らませないようにしていたのに、若いM君はそうはいかないようで、会話の節々にムラムラと湧き上がる男の欲求が感じられ、内心は「そこまで遊びたいんやったらここにいる女性に話しかけるか一人で遊びに行けばいいのに・・・」と思いながらも、どちらも無理そうなM君のシャイさには歯痒い思いを募らせたまま開始された二日目の研修は実地研修、広い屋内に設置された模擬屋根には何だかテーマパークを連想しながら、1日目みたいな眠気を感じる事も無く午前の研修が終了、ワクワクしながら到着した食堂では昨日よりも倍増した喜びの光景が目の前に広がっていました!


その光景とは、昨日に見掛けた大手家電量販店の若い女性と打って変わって、お色気ムンムン(死語?)な明らかに30才代~の女性の軍団がワイワイガヤガヤと!


何の企業の団体かは読み取れなかったけど、僕にとってのストライクゾーンの女性がうようよぞろぞろと!


高鳴る鼓動にも


「家電の枠を超えて電気機器全般の製品で世界に名立たる有名メーカーの研修施設なのに・・・何で女性の研修生ばかりが?」


との疑問を感じていると、不意にM君が


「KENさん・・・僕はもう我慢の限界ですわ・・・」


とボソっと一言・・・


いきなり現実に引き戻されたM君の発言に「えっ!?やっぱり僕のイビキがうるさ過ぎた?」とドキっとしたのは要らぬ心配だったようで、続け様にM君は


「せっかくこんな所まで来てるのに、このまま何処にも遊びに行かないのはもったいないですよ、ちょっと遠出をすれば良い遊び場所があるみたいなんで、僕は今晩そこで遊んできます、その後はビジネスホテルにでも泊まりますので」


と・・・


シャイなM君のこの意外な言葉にも「最近は奥さんと夜の営みがご無沙汰だ・・・」と何回も耳にしていたので『若いからしょうがないかな?』と思いつつ


「ぼったくりの店に気を付けて」


「明日の研修開始時間には絶対に戻って来るように」


との二つの忠告をしただけで、後は無言で昼食を口に運びました。



昨日と違って予定通り夕方の6時丁度に実地研修が終ると、急いで部屋に戻るM君の背中に「せいいっぱい羽根を伸ばしておいで」と心の中で声援を送り、僕はそのまま楽しい楽しい食堂へ直行し「これが普通の旅行だったら間違い無しに話かけて仲良くなっていたのに・・・」との悔しい思いと共に、物足りない夕食を済ませて部屋に戻り、シャワーを浴びながら一人なのを良い事にムンムンとした気持ちを自分で処理した後、翌日の理解度テストの為、配布された資料に目を通し簡単な復習をしてから寝床のベットに入り、少し早いと思いながら眠りに着いてしばらくした頃、何やらグゥ~ングゥ~ン・・・とのイビキらしき音が聞こえて来たので


「ん?M君が帰って来てる?」


と思い隣のベットを確認する為に寝返りを打つと・・・


M君が寝ているはずのベットの上にはキレイに畳まれたままの布団だけが・・・


豆電球の薄暗い明かりの中で部屋中を見廻しても、確実に僕1人しかいない室内・・・


それなのに絶え間なく聞こえる


グゥ~ングゥ~ン・・・


との異音に気味が悪くなりながらも、イビキが聞こえて来る元を辿ると驚きの光景が!


何と部屋の隅に飾られていた門松みたいな竹の置物の切り口から金色の後光が!


窓からの満月の月明かりに照らし出された竹の切り口からは


グゥ~ングゥ~ン・・・


とのイビキの音と共に確実にボヤ~っとした金色の輝きが!


そんなアホな!?


まさかかぐや姫がいびきをかいているのか!?


とパニックった思考回路の中、恐る恐る近付いて、立派な竹の切り口の中を見下ろすと・・・


それはそれは可愛いピンク色をした・・・


豪華絢爛な輝きを放つ・・・


三寸(約9センチ)の三倍はあろうかと思われる・・・


元気な元気な・・・






















電動こけし備品(女性用自慰器具)


が唸りをあげてうごめいていましたとさ・・・


めでたし・・・


めでたし・・・




S○A○Pのロゴが入っていたかどうか?

はここでは伏せておきます。




信じるか信じないかは・・・



あなた次第です・・・

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