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孤児院に着くと子供達総出で出迎えてくれた。
子供達は狼車から獲物を運び解体を始めた。
ボアは重たいのでクルス君や冒険者予定の子達が運んでいた。
おじいさんとおばあさんは院長先生とシャルちゃんと孤児院内へ、サクヤちゃんは妹ちゃんとイリヤちゃんと一緒に女の子達の元へ向かった。
サクヤちゃんも孤児院の子達に慣れてきたようで安心する。
俺は建物の影で狼車をしまい、従魔達を開放した。一緒に行かなかった従魔達に声をかけてから俺も建物の中に向かった。
中では皆でお茶をしていた。
最近は水も火も魔法で出しているのでお茶を飲む余裕がある。お茶と言っても果物の皮を乾燥させたものやハーブティー等だが、これがなかなかに美味しかった。これもシャルちゃんの料理スキルのおかげかな?
お茶を飲んでひと休みしたら、俺とおじいさんは冒険者ギルドにむかう。
建物の裏でまた狼車を出し荷台の調整をおこなった。
俺達が狩った素材はランクの低い物ばかりで問題ないが、おじいさんが狩るモンスターはたまに高ランク過ぎるので気を付けないといけない。
ギルドに到着すると、狼車を厩舎に置き受付へと向かった。
受付でいつものお姉さんがいたのでそこへ行く。
「お久しぶりです。本日も素材の買い取りですか?」
「うむ、久しぶりじゃ。買い取りと依頼が合うのがあれば手続きを頼む。」
お姉さんは俺達が持ってきた素材と討伐証明部位を確認するとギルドにある依頼を確認し始めた。
「常設依頼のゴブリンやキングスネークの素材、その他にもいくつか条件の合う依頼がございました。…それで、こちらの素材はお一人で討伐されたのでしょうか?」
「そうじゃが?」
お姉さんが聞いてきたのはおじいさんに確認し、それほど強くないから高ランクではないと言っていたモンスターの素材だ。もしかしておじいさん的に強くないだけで高ランクだったのか!?
「そうですか。こちらの素材はランクは低いのですが見つけにくく、買い取り値は高くなっております。他にはいませんでしたか?」
「ふむ、見んかったのう。もしまた見つけたら仕留めておこう。」
「よろしくお願いします。では本日の依頼ですが…」
俺はお姉さんに言われた素材、討伐証明部位を取りに狼車へ戻った。
お姉さんに荷物を渡した後はまた狼車に戻り残りの素材を持って裏の買い取り所へ向かった。
「おっ、久しぶりだな。」
「こんにちは!」
「今日も買い取りを頼めるか?」
「今回も大量に持ってきたなぁ、じゃあこっちに置いてくれ」
俺は買い取り所のおじさんに言われた場所に素材を置き、一度で運べなかったので何往復かし運び終えた。
「おっ、蛇皮にオーク素材もあるな。今品薄だから高く買い取れるぜ!」
おじさんが査定しているあいだ中に戻り受付の査定が終るのを待った。
ほどなくして受付のお姉さんに呼ばれ、依頼の報酬をもらった。
金貨銀貨銅貨が詰まった布袋だ。一月分とはいえおじいさんと同ランクの冒険者よりかなり多いと思う。
俺達は受付を後にし、買い取り所へ戻った。
「おう、査定終わったぜ!なかなかの質と量だ!助かるぜ!」
そう言ってお金の入った袋を渡してきた。
「買い取りの内訳は必要か?」
「いや、必要あるまい。それと、まだオーク素材は買い取り高いのか?」
「そうだな、あれは需要があるから足りないことはあっても余ることはないな。蛇皮は今回ので当分もつだろうな。」
「そうか、蛇は狩り尽くして最近見かけんかったから次はオークを多めにするか。」
「なら武器や防具に使えそうな素材も頼むわ。最近冒険者が増えて品薄なんだよ。」
「そうなのか?なら覚えておこう。」
「無理しない程度に頼むぜ。」
おじさんと別れの挨拶をし狼車へと俺たちは向かった。




