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「今日もレインボーキャタピラーとマジカルバタフライの討伐ですか?」
「いや、今日は別のモンスターを相手にしてもらう。」
「違うモンスターですか?」
「あぁ、小僧は武器の強化にばあさんから付与魔法を教えてもらっておったな?この間その練習にちょうど良い相手を見つけたんじゃよ。」
「危ないモンスターじゃないですよね?」
「安心せい、まともな武器を持っておれば一対一では負けん相手じゃ」
「師匠!!なら俺でも倒せるか?」
「狼の小僧ならば負けはせんじゃろう。勝てるかどうかは小僧の魔法次第じゃな」
「そうか、ならシュウ、頑張るぞ!!」
「あたしたちもがんばるの!!」
妹ちゃんがやる気をみせ、それにつられてサクヤちゃんも頑張りそうだ。
二人の後ろでイリヤちゃんが「任せといて!!」ってこちらを見ていた。
少し歩いていると、おじいさんがモンスターを見つけたのか方向を変え、ついてくるように指示を出した。
俺達は指示に従い、できるだけ気配を消しながらついていった。
進んだ先でおじいさんは木の影に隠れるように合図を出した。俺達はそれぞれ木の影に隠れその先を覗くと遠くに黒い塊が見えた。
何かと思い鑑定してみると、ソルジャーアントと呼ばれる蟻のモンスターだった。
ここで俺はとある事を疑問に思いおじいさんに聞いてみた。
「いつもはおじいさんがモンスターを連れてくるのにどうして今日はこんな隠れてるんですか?」
「どうしてと言うか、本来の冒険者はこのようにして索敵し隠れて攻撃するのが普通なんじゃよ。」
「あぁ、今までがおかしかったのか…。じゃあ、今日は何故?」
「サクヤを置いてモンスターを探しに行くわけにはいかんじゃろ!!」
あ~、さいですか…
「と言うわけで、とりあえず付与魔法無しでやってみろ。」
「おっし、やるぞ!!」
「「「シーーーッ!!」」」
気合いのため大声を出したクルス君に皆が焦った。クルス君もそれに気付き慌てて口を塞いだ。
「クルス、あんたせっかく隠れてるのにそんな大声だしたら気づかれるでしょ!!」
イリヤちゃんが呆れながら小声で怒った。
「悪い悪い、んじゃあとりあえずいつも通りやってみるか。サクヤはおチビ達と先制攻撃頼むな!!」
「う、うん…」
「さくやちゃん、がんばるの!!」
話を終えた俺達は周囲に散り、クルス君以外は攻撃準備をした。
イリヤちゃんは弓を、妹ちゃんは投げナイフを、サクヤちゃんは風魔法、俺は地魔法だ。
一斉に攻撃したが、やはり矢や投げナイフは蟻の殻?に弾かれ、俺の地魔法による岩はダメージを与えたかはわからないが、衝撃は与えたようで蟻は後ろへ後ずさった。もっと大きい岩にすれば潰せそうだがそうするとスピードが遅くなるのでバランスが難しい。
サクヤちゃんの風魔法はさすが風龍、風の刃は蟻の足を切り飛ばした。
攻撃された蟻はこちらに向かってこようとしたが、クルス君が走り寄り蟻に一撃を加え離れていく。
クルス君の一撃も殻を切るには至らないが頭に一撃を与えたので、蟻は少しふらついていた。
俺はイリヤちゃんの矢の先端に地魔法で重りをつけた。妹ちゃんにはハンマーボーラを渡し蟻に衝撃を与える作戦に変更した。
サクヤちゃんは風の刃を続けてもらうがクルス君に当てないように注意してもらった。
クルス君は距離を取り一撃離脱を繰り返していた。
たまに蟻が何かを吐き出していたが、クルス君とは距離があったので当たることはなかった。
鑑定で調べてみると蟻酸だった。当たったら大変なことになりそうだ。
「クルス君、関節狙ってみて!!」
俺はふと思いクルス君に叫んだ。
今までのモンスターと違い蟻は関節がハッキリとわかる。もしかしたら叩き切れるんじゃないかと思ったのだ。
クルス君は言われた通り首?の位置にロングソードを叩きつけた。
すると蟻の頭は身体から離れ飛んでいった。
俺達は無事にソルジャーアントの討伐に成功した。




