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レインボーキャタピラーの討伐は上手くいった。
と言うより失敗するのが難しいとまで思ってしまう状況だ。
レインボーキャタピラーの大きさは仔犬程で身体も柔らかいために簡単に剣で貫けるのだ。
動きも遅いため、外す心配もなく俺とクルス君は作業のように倒していった。
また、今日はいつも狩りには行かないポイズンスネークと銀リスも連れてきている。
おじいさんに「連れてこい」と言われていたからだ。
確かにレインボーキャタピラーならば二匹でも倒せるだろう。
その予想通り二匹はレインボーキャタピラーを確実に一匹ずつ倒していた。
妹ちゃんとイリヤちゃんはハニービーに注意しながらマジカルバタフライに矢や石を当てていた。
さすがに石では一撃で倒すことは出来ていないが、当たれば空から落とすことができ、落としたマジカルバタフライは銀リスとポイズンスネークがトドメをさしていた。
経験値はあまり入らないだろうが、動く的に当てる良い練習になりそうだ。
しばらくモンスター退治をしていると、どこかに消えていたおじいさんが戻ってきた。
「お~い、今日の目当ての相手を見つけたぞ!!」
目当て?今日はレインボーキャタピラーとマジカルバタフライが目的じゃなかったのか?
「今日はこの二種類を倒すんじゃなかったの?」
「倒すのはその二体じゃ。目当ては新しい従魔じゃよ!!」
新しい従魔!?何かこの辺りに良いモンスターでもいるのかな?
狩りを止め皆でおじいさんについていくことになった。
おじいさんにどんなモンスターか聞こうとしたが花畑のすぐそばにそのモンスター達がいた。
「おじいさん、従魔にするのってハニービーなの?」
「少し違うのぅ、ハニービーではなくクイーンハニービーじゃ。」
「クイーンハニービー?」
そう、ここはおそらくハニービーの巣でたくさんのハニービーが飛んでいた。そして、おそらくおじいさんの魔法だと思うが結界らしきものでハニービーごと巣が囲まれている。
そして、巣の中に女王蜂、クイーンハニービーがいるのだろう。
「そうじゃ。確か小僧の所の狼は親しか従魔にしてなかったんじゃろ?しかし、日がたつと子狼も従魔になっていた。」
「そうです…。」
「つまり、クイーンハニービーを従魔にすると…?」
「……ハニービーも従魔になる…?」
「と言うことじゃな!!そして、ハニービーはハチミツを集める習性がある。」
「って事はシュウがクイーンハニービーを従魔にすればハチミツ取り放題か!!」
「その通りじゃ!!」
「ハチミツかぁ~、良いわね~」
「はちみつたべるの♪」
女性陣含め皆盛り上がっている。まだクイーンハニービーを従魔にしてないのに…。
「うむうむ、皆楽しみか!!きっとサクヤも喜ぶじゃろう!!」
…あ~、それが目当てか。まぁ、サクヤちゃんにハチミツをあげたとしても孤児院の分は有りそうな程の大きさの巣だから期待は大きいのだろう。
とりあえずはクイーンハニービーを従魔にしてハニービーも従魔にすることや、ハチミツを手に入れる事には俺も賛成なので、さっそく挑戦してみよう!!
ハニービーの巣に近付くと、おじいさんは結界の中のハニービー達を魔法で眠らせ始めた。
寝てしまったハニービーはボトボトと地面に落ちていく。
飛んでいたハニービーのほとんどが落ちた頃巣から一際大きなハニービー、クイーンハニービーが現れた。
おじいさんは結界に入りクイーンハニービーを捕まえ俺の元に持ってきた。
俺は寝ているクイーンハニービーの魔核に魔力を流し込みながら、自分のステータスを確認した。
格上のモンスターには効かないがクイーンハニービー達は集団ならいざ知らず、単体としては弱いのでこれで従魔になるはずだ。
数分ほど魔力を流しているとステータスに[従魔:クイーンハニービー]の表示が表れ無事にクイーンハニービーを従魔にすることが出来た。




