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オークの首から血が吹き出し倒れたところでクルス君は地面に大の字に寝転んだ。
「クルス、あんた大丈夫?」
「あぁ、大丈夫だ。まぁ、あの馬鹿力には驚いたけどな。」
「確かに凄かったね。」
「くるすくんころがってた!!」
クルス君は恥ずかしそうに頭を掻きながら上半身を起こした。
「おじいさん、オークって強いモンスターなの?」
「そこまで強くはないが一対一なら駆け出し冒険者ではちとキツい位じゃな。そもそもオークはゴブリン同様集団行動するから判断は難しいのう…。」
「って事はファングボアと同じ位って事?」
「あぁ、それくらいじゃな。どちらも長所短所があるからどちらが強いとは言えんがな。それで戦った感想はどうじゃ?」
「あ~、オークの動きは見えてるし、避ければあの馬鹿力も関係ないから戦えるけど、倒すのに時間がかかりそうだな。」
「そうね、私達の矢も石も効かなかったしシュウがいなかったら大変だったわね。」
「倒せなくて当然じゃろ!!お主らはまだまだ子供なんじゃからな。今は技術を学び力をつけることじゃな。」
「「「「はい!!(あい!!)」」」」
俺達はオークの血抜きをし、アイテムボックスにしまい、小屋予定地に帰っていった。
小屋予定地に戻るとおばあさんとサクヤちゃんが出迎えてくれ、俺達が怪我をしてるといけないからと、二人で傷薬や各種状態異常回復薬、魔法薬等を作ってくれていた。
俺達は有り難く各種薬をもらい、この日は孤児院へと帰ることにした。
次の日は採取の日だ。今日は一昨日と違う男の子と女の子が一緒に向かう予定だ。
一昨日一緒に行った男の子が帰ったらグッタリしていたのを見ていたせいか、かなり緊張しているようだ。
前回は自分達を基準にしていた為にかなり無理をさせてしまったから、今回は前回以上にのんびり行こうと思う。
今回は男の子はショートソード、女の子には短弓を装備させている。短弓はイリヤちゃんのものを渡してある。
おそらくほとんど狩りには使わないだろうが持ち歩く事に慣れさせるためだ。
休みを多く取ったため、竜の森についても二人はバテることはなかった。そして、適度に休みながら森の端を歩き採取ポイントを目指す。
昼前には採取ポイントに到着し手分けして採取を開始する。
やはりこういう作業は女の子の方が得意なのか、今日や一昨日の男の子達より量を採っている。
最初のポイントということで、軽めに採取した後はお昼休憩にした。
ほんとはこの後狩りをするのでお腹に食べ物があると危険なのだが、食べないと力が出ないのでそこは我慢してもらう。まぁ、普段から皆で解体しているから平気だと思うが…。
お昼休憩を終え、従魔達に周辺の索敵をお願いした。
前回の失敗を踏まえホーンラビットか鹿辺りの獣をお願いした。間違ってもファングボアなんて連れてこないように!!
俺は一応の用心に投網を用意しておいた。ホーンラビットか鹿ならこれは十分役に立つだろう。
少しすると、クイーンと狼達がホーンラビットを咥えて帰ってきた。
それぞれ首に噛みついているが、まだホーンラビットは生きているようだ。
二人にはトドメを刺してもらう。
さすがにホーンラビットは何度も解体をしていたので血抜きの要領で二人は経験値を稼いでいた。
また、ミュウの場合はホーンラビットをここまで追い立ててくれ、投網で捕まえていた。
さすがにクイーン達の瀕死の時と違い見るからに生きているモンスターを倒す行為は少し緊張していたようだ。
その後も数ヶ所採取ポイントをまわり、狩りをして俺達は孤児院に帰ることにした。
今回は少しペースを落としてファングボアとは戦わなかったので、二人のレベルは10を超えなかったが焦る必要はないので安全第一で頑張ろう!!




