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その後、ゴブリンを三匹ファングボアを一匹戦って倒した。
戦ってわかったことだが、まず、イリヤちゃんの命中率が良くない。弓術スキルを持っているので練習すれば精度は上がるだろうが、今はまだまだだ。
また、威力に関しても妹ちゃんの石は当然としてイリヤちゃんの矢も木で出来ている為にゴブリンには刺さったが何本も刺さらなければ倒せず、ボアにいたっては刺さらず、牽制にしかならなかった。
その為、イリヤちゃんの今後は敵への牽制を中心にすることに決まった。
鉄の矢、もしくは鉄の鏃になれば少しはましになるかもしれない。
その後もゴブリンとファングボアを倒し続けた。
途中ゴブリンを二匹同時に相手をしたりしたが、矢と石の牽制が効き、問題なく倒すことが出来た。
ちなみに従魔達は周辺で狩りをしたり、遊んだりしていて俺達の戦闘には加わっていない。
戦いを始めてある程度時間もたち、そろそろ帰ろうかという頃、おじいさんは初めてのモンスター、オークを連れてきた。
「よし、今日はこれで最後じゃ!!」
「おじいさん!!それオーク?」
「そうじゃ、ゴブリンよりも力も知能も高いから気を付けるんじゃぞ!!」
「ゴブリンだろうとオークだろうと問題無いぜ!!」
そう言ってクルス君はオークに近づいていく。
イリヤちゃんと妹ちゃんは先制攻撃で矢と石を放っていく。
しかし、オークに対し石は当たっても何ともなく、矢も弾かれていた。
「二人共、狙うなら顔を狙ってみて!!」
「わかったわ!!」 「あい!!」
俺は二人に顔を狙うように指示をだした。
顔ならば目や口に刺されば効果があるだろうし、刺さらなくても鬱陶しく感じるはずだ。
狙いを顔にしたことで、オークは腕で顔を庇い始めた。
そして矢と石を放っていくこちら側に手に持つ棍棒を振り回しながら走ってきた。
そのオークに対しクルス君は盾を構え待ち受ける。
棍棒を振り回す速度は早くはないので盾で防ぐのは容易だろう。
しかし、俺達はオークの力を甘く見ていたようだ。
オークが振りかぶった棍棒に余裕を持って盾を構えたクルス君は、オークの棍棒を受けたとたんに後方に飛ばされたのだ。
「うぉっ!!」
「クルス君大丈夫!?」
クルス君はゴロゴロと転がり、頭を振りながら立ち上がった。
「あ、おう、大丈夫だ。ってか、すげぇ力だな。」
「そうみたいだね。クルス君は盾で受けないで回避に専念して!!」
「わかってる!!」
俺は地魔法で礫を放ったり、落とし穴でオークを牽制していた。
もちろんイリヤちゃんや妹ちゃんも牽制に参加している。
そこへクルス君がオークの元に行き戦い始めた。
オークは力はあるが技はないのでクルス君はオークの攻撃を避けつつ剣で攻撃していく。
さすがにクルス君の剣はオークに弾かれることなく肌を切り裂いていく。
だが、与えた傷は浅く致命傷を与えるのは難しそうだ。
「シュウ!!トドメは任せた!!」
「了解!!」
俺はいつもボアを倒す時のように風魔法でカッターを作り出した。
「いつでも良いよ!!」
俺はそう叫ぶと、クルス君はオークのアキレス腱の辺りを切り後ろへ下がった。
切られたオークは立てなくなったのか、片膝をついた。
「「今だ!!」」
クルス君と俺は同時に叫び、風魔法を放った。
見えない風の刃は真っ直ぐにオークの首に向かい、その首をはねてオークを抜けていった。




