73
次の日俺達は小屋予定地へと向かっていた。
ちなみに昨日の二人は疲れが出たのか今日はベッドで寝ている。年上とはいえ、初日からボア討伐はやり過ぎたかもしれない。が、次からはレベルも上がった事もあり、肉体的に楽になるだろう。
小屋予定地に着いた俺はさっそく小屋作りの準備を始めた。
まずは約一ヶ月の間集めた木を加工する。
魔法で同じ太さの柱、同じ幅や厚さの板を大量に用意した。長さは後で切って調整するので気にしない。
大量の木材のうち三分の二程加工したところでお昼になり、作業を終了した。
クルス君は午前中はおじいさんと共に修業していた。
イリヤちゃんと妹ちゃんは、サクヤちゃんとおばあさんと裁縫をしていた。
冒険者になることを前提に、今作っているものが終われば革鎧を作ってくれるらしい。サクヤちゃんも作り妹ちゃんとお揃いにすると張り切っていた。
お昼を食べ終え午後になり、いつもならクルス君はおじいさんと従魔達で狩りに出かけるか、おじいさんが連れてくるゴブリンとの戦闘。俺や妹ちゃん達は作業の続きをしていた。
しかし、今日からは皆で狩り、戦闘訓練をすることになった。
まずは森の中に入り、少し奥に行き、広場のような場所に出た。
「さて、これから少しゴブリンの討伐をしてもらおうかの。」
「師匠!!ゴブリンならいつも倒してるぞ?」
「お主ではない。嬢ちゃん達じゃ。儂らの所でほとんど戦闘はしておらんじゃろ?」
「そうですね、ボアやホーンラビット位しか戦ったことありません。」
「そうじゃろう。冒険者になるなら様々なモンスターとの戦闘を経験しておいたほうがいい。じゃからこれからは色々なモンスターと戦ってもらう。」
「わかりました。」「あいっ!」
「今回はそれぞれの役割をキチッと把握することじゃな。」
そうしておじいさんは何処かへ行ったかと思ったらゴブリンを一匹捕まえてきた。
クルス君、俺、従魔達なら一対一で負けないが今回のメインは女の子達なので俺達は援護にまわった。
まず、前衛はクルス君しかいないので、クルス君には盾による牽制をしてもらう。俺は魔法による援護射撃だ。
イリヤちゃんは弓を使った後衛だ。まだ、弓をそんなに使ってなくて狙いが甘いので誤射に注意が必要だ。
妹ちゃんはまだ武器を持っていないので、周辺の警戒をしてもらう。時たま石でも投げてもらい、投擲スキルを手に入れてもらう事も考えよう。
準備も整いおじいさんに合図を出す。
おじいさんはゴブリンを解放すると、ゴブリンから離れていく。
ゴブリンはおじいさんを見た後こちらに向かってきた。
クルス君は俺達とゴブリンの間に立ち、迎え撃つ。
ゴブリンは持っている棍棒…と言うよりただの木の棒をクルス君目掛けて振りかぶった。
クルス君は盾で受けるとそのまま押し返した。
押し返されたゴブリンはバランスを崩し尻餅をついた。
「よし、今だ!!」
クルス君の合図でイリヤちゃんが矢を、妹ちゃんは石を放った。
矢は外れてしまったが、石はゴブリンに当たった。しかし、石はあまりダメージを与えていないようだ。
ゴブリンが立つ前にイリヤちゃんは矢を放ち、今度は見事に腕に矢が刺さった。
腕に矢が刺さったゴブリンは痛みからのたうち回っている。
好機とばかりにイリヤちゃんと妹ちゃんは矢と石を放ち続けたが、ゴブリンは暴れているため上手く当たらなかった。
俺は魔法でゴブリンを地面に固定し、動きが止まったゴブリンにイリヤちゃんは矢を放ち続け、5本程矢が刺さったところでゴブリンは動くのを止めた…。




