72
俺達はさっそくファングボア狩りの準備を始めた。
ぴーちゃんに落とし穴を掘れそうな所を探してもらい、魔法で穴を開ける。
そして、ファングボアのいる方向と穴を挟んで反対側に俺と妹ちゃん、両サイドはクルス君とイリヤちゃんが年上の子とペアになり別れた。
ミュウとクイーンはファングボアの方にむかい、クルス君達の所には子狼が一匹ずつついていった。
残りの従魔は俺と一緒だ。
作戦はすでに二人に伝えてあり、木剣装備の子にも切れる剣を渡してある。
子狼達から準備OKをもらい、ミュウに作戦開始と伝えた。
いつも通りミュウがファングボアにちょっかいをだし、こちらの方に追われてくる。用心のためにクイーンはファングボアの後をついていく。
ミュウが落とし穴に近づき、飛び越えた。
ファングボアは何も気にせずそのまま真っ直ぐに走り抜け落とし穴に見事に填まった。
ここで、今までなら投網を投げていたが、今はレベルも上がり、魔法の操作にも慣れたのでファングボアが穴に落ちた瞬間に穴を塞いでしまう。
ファングボアが穴から出る前には穴を塞ぐことに成功した。だが、少し遅かったためか前足が少しはみ出してしまっていた。
「良し、成功だ!!二人とも、今のうちにファングボアの目を狙って攻撃してみて!!」
「「わかった!!」」
声と共に茂みから出てきた二人は緊張しながらファングボアに近づいていく。
「あっ、汚れたら大変だから血には気を付けてね!!」
「お、おう」「(コクッ)」
二人は慎重に近づき、後一歩で剣が届く距離で立ち止まった。
やはり、初めての戦闘で踏ん切りがつかないのだろう。
「やっぱりホーンラビット辺りから挑戦するか!?」
見かねたクルス君が二人に声をかけた。
「いや、大丈夫だ。」「あぁ、やれる!!」
返事をした二人はお互いに頷くと、それぞれファングボアの目に剣を突き立てた。
このあと二人が離れ、俺がとどめの風魔法を放つ!!
予定だったのだが、二人がファングボアに剣を刺したまま動かなかった。
「二人共、そこを退いて!!」
「あっ、あぁ。」「わるいっ。」
俺の声に反応した二人はもといた茂みに戻っていった。
射線上に仲間がいないのを確認して風魔法を放った。
「モンスターと戦う…というとなんか違うけど、どうだった?」
俺は木陰で休んでる二人に声をかけた。
「なんか疲れたな…。」
「ホーンラビットならいけるかと思ったがファングボアはなかなか怖かったな…。」
「ほんとはホーンラビットから慣れていきたかったんだけどね。レベルは上がった?」
「あぁ、10を超えたよ。」
「ほんとに!?ならこれからは肉体的には楽になっていくと思うよ!!」
「そうか、だが、今日はもう疲れたよ」
「そうだね、血抜きなんかは俺らでやっとくからゆっくり休んでてよ。」
「悪いな」「助かるよ」
二人を休ませて、血抜きをしているクルス君達の元へ向かった。
以前は穴を掘って血抜きをしていたが、今はレベルが上がり、力がついたので持ち上げて木に吊るすことが出来ていた。
血抜きが終わるまですることがなかったので、クルス君やクイーン達は狩りに行ってしまった。
血抜きが終わり、ファングボアをアイテムボックスにしまっていると、クルス君達が狩りを終えて帰ってきた。二人が歩ける位まで回復したのでクルス君達の獲物の血抜きは次回にし、俺達はゆっくり帰ることにした。




