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結論から言おう、院長先生におもいっきり泣かれた。
そして、妹ちゃんにはもっと泣かれちゃいました。
初めは夕方になっても姿をあらわさず、孤児院全員で探させ心配させた事を怒られた。そして、どこにいたのかを聞かれ、竜の森にいたことを話すと涙ながらに怒られた。ある程度は安全といっても決して3歳児が行くような場所ではないからだ。その後竜の森に行った理由を話すと涙ながらに謝られた。
本当は孤児院が貧乏だから行ったのだが、お腹が空いたから食べ物を探しに行ったと嘘をついた。どっちにしろ竜の森に行ったのは事実だから、理由はどうでも良いだろう。
本来3歳児はこんな事はしない。俺も精神が3歳児だったらこんなこと考えもしなかっただろう。だが、俺の精神は何歳相当かはいまいち判断出来ないが良い大人だ。優しい院長先生に素直な子供達、そんな人達が困っていて、自分に何か出来るかもしれない力があったら行動せずにはいられないだろう。元日本人だからな(笑)
まぁ、こんな無茶をするのはまだモンスターの恐さを知らないからかもしれないが…。
妹ちゃんは帰って来てから俺にしがみついて泣き続けている。孤児院に来てからずっと一緒にいて、半日近くも離れていて寂しかったようだ。
その日は寝るまで妹ちゃんは俺を離してはくれなかった。
ちなみに取ってきた物はどれも喜ばれた。薪はもちろん薬草類も売れそうらしい。山芋馬鈴薯は院長先生達に喜ばれたが子供達にはやっぱり果物が喜ばれた。特に女の子はみんなおかわりをねだっていた。孤児院の食事に甘いおかしは出たことがない。果物も数える程しかない。やっぱりこういう世界は砂糖は貴重なのだろう。貧乏だから買えないってわけじゃないよね?町中に行ったことが無いから判断に困る…。
次の日から俺に監視が付いた。孤児院から抜け出さないようにだ。
正確には妹ちゃんが俺から離れなかったのだ。
院長先生には罰として一日一緒にいるように言われたので今日は妹ちゃんをかまってあげよう。
ちょうどやりたいこともあったしね。
俺は院長先生に許可をもらい、敷地の端に畑をつくる事にした。
昨日とってきた馬鈴薯のうち食べるには小さいのを植えるつもりだ。
元々孤児院には家庭菜園程度の物はあるが、香草などしか育てていなかった。
芋なら他の野菜に比べてうまくいくだろう。
妹ちゃんと一緒に畑作りを始めた。妹ちゃんは俺と一緒に何か出来る事が楽しくてしょうがないようだ。
作業を続けていると、子供達がみんなやって来て結局孤児院全員で畑作りをすることになった。
沢山馬鈴薯出来るといいなぁ~
それから数日は孤児院でおとなしくしていた。子供達の何人かは畑の前でじっと見つめていた。ご飯に出た蒸かし芋が美味しかったらしい。町で買うのと天然物の違いかな?
俺は早く成長するように少しずつ魔力を流していた。俺や妹ちゃんの例があるので、上手くいけば丈夫に育つだろう。
竜の森に行ってから1週間程たった。あの時採ってきた果物が無くなった。食事に果物が出なくなってから孤児院の子供達がチラチラ俺を見るようになった。
うん、果物をまた食べたいけど家族を竜の森のような危険な場所に行かせるのは駄目だと思っているのだろう。
アイテムボックスは時間経過しないタイプのようで中にいくつか果物は入っていたが、これは何かあった時の為に残しておきたい。
俺は院長先生に相談した。院長先生も子供達には気付いていたが、俺に竜の森へ行かせたくない為に何も言わなかったようだ。話し合いを続け俺がまた抜け出してでも行こうとしているのに気付くと渋々許可をくれた。
その代わりに色々と約束をさせられた。
行くのは週に一回
森の奥には行かない
モンスターを見たらすぐに逃げる
何も取れなくても暗くなる前に帰る
などだ。
それと、小さいながらもナイフを渡された。護身用との事だが、これはありがたかった。採取をするにはやっぱり刃物があると便利だからだ。
今日はもう昼を過ぎているので出発は明日にした。
さて、明日は妹ちゃんを上手く誤魔化せるかな?
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