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冒険者ギルドでの用事を済ませ、クイーン達狼車を連れてギルドを後にした。
「これからどうするの?」
「うむ、何するかのう…。」
「なら、一応買い出しで町に来たんだから何か買っていくのは?」
「そうじゃな、何か買っていくか。」
と言うことで、俺達は馴染みの商店がある方へ歩き始めた。
「普段農村では何を買ってるの?」
「大抵は食料じゃな。小麦に野菜がほとんどじゃ。」
「そうなんだ。じゃあ塩なんかは?」
「買っておらんな。」
「なら香辛料を買いに行こうか?少し高いけどご飯が美味しくなるよ。」
「そういえば孤児院のスープも美味かったのう。」
「あれは竜の森の香草なんかを使ったシャルちゃん特製スープだよ。香辛料もつかってるから滅多に飲めないんだけどね。」
「なるほどのう。なら孤児院の分の香辛料も買っていこう。」
「良いの?」
「それくらいかまわん。他に何か買ったら良いものはあるか?」
「う~ん、おじいさん達が飲むかはわかんないけど、お酒とかかな?後はサクヤちゃんに服や装飾品とか?」
「酒は飲むぞ。そうか、人間の酒もたまには飲むとするか。それよりもサクヤへの土産か!!気が利くではないか。」
そう言っておじいさんは上機嫌で歩いていった。
歩くこと数分で食料屋さんについた。ここでは小麦粉にチーズ香辛料等を購入した。今回は狼車があるので多少多くても問題ない。
次に少し離れた酒屋についた。
ここでは料理酒や酢、そして、果実酒やエール等の酒を何種類か購入した。
お次は生地屋さん。従魔達のスカーフの生地を買ってる所だ。
既製服を売ってる店もあるが、中古品か割高の物しかないので服が欲しい場合は生地を買うのが良いだろう。
おばあさんが作れなかったとしても院長先生がいるので問題ない。
おじいさんは時間をかけて数種類の生地を買った。
ってか買いすぎじゃない?
とりあえずの買い物を終えた俺達は孤児院に帰ってきた。
おじいさんはサクヤちゃんへのお土産の生地を持って探しに行ってしまった。
俺は孤児院の裏に荷車を置きに行き、クイーン達を荷車から外した。
買い出しした荷物はどうするか聞いてなかったので、とりあえずアイテムボックスにしまっておいた。
孤児院を見回したところ、孤児院の子供達は新しく従魔になった子達と遊んでいた。
普通はモンスターを恐がりそうなものだけど、ぴーちゃん達で慣れてるからか順応性が高すぎる。
まぁ、仲良くしてるならそれで良いんだけど…。
外におじいさん達が見当たらなかったので俺は孤児院の中に入った。
孤児院に入ると居間で院長先生、シャルちゃん、おばあさんがお茶をしていた。
その傍では妹ちゃん、サクヤちゃん、イリヤちゃんがホーンラビットペアと遊んでいた。
そこにおじいさんが乱入してお土産の生地を渡している。
サクヤちゃんは嬉しそうに生地を貰っている。
サクヤちゃんは貰った生地を妹ちゃんとイリヤちゃんと楽しそうに見ている。
あぁ、おじいさんの背中が寂しそうだ…。
終いにはおじいさんを置いて三人で院長先生達の所に行っちゃった…。
しょうがないなぁ…。
「おじいさん、外で剣術教えてよ。きっと、他にも習いたい子がいるからさ。」
「う、うむ、そうじゃな。こう言うときは身体を動かすべきじゃな!!」
そう言って俺達は庭に向かった。
二人で素振りをしていると孤児院の男の子達が集まってきて、一緒に素振りをした。
おじいさんと何故かクルス君の気合だけがすごかった…。
そして、その素振りは晩御飯の時間まで続いたのであった。




