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風龍と出会ってからはわりと落ち着いた日々を過ごせていた。
採取はぴーちゃんのおかげで安定して果実を採取出来、クイーン達のおかげで少しずつだがモンスターを倒して経験値を稼いでいた。
命大事にで行動していたので安定していたがその分変化がなくクルス君が飽きてきたのが問題かな?
狩りの方は毎回大変だった。
おじいさんの所を目的に最初に行ったときには、持ち帰れないと言ったはずなのに前回の倍ほどの獲物が待ち構えていた。
おばあさんによると、最初は俺達の為にボア系三匹程狩ってきたのだが、サクヤちゃんが「すごい!!すごい!!」と褒めてしまい調子に乗ったおじいさんが狩りすぎたらしい。
その後は説得してボア系か鹿系を数匹にしてもらったのだが、たまに暴走して狩りすぎている。
おじいさん、おばあさんの知識はさまざまな分野に精通し色々教えてもらえた。
おじいさんにはまずはナイフの手入れから教えてもらった。安物とは言え大事なナイフなので、とても有りがたかった。そのうち鍛冶を教えるから自分のナイフを打てと言われている。
楽しみにしていた魔法についてだが、一ヶ月程おじいさんに教えてもらっていたのだが、おじいさんは感覚派らしく説明が擬音だらけで解り辛く、サクヤちゃんが嫌がったために今ではおばあさんに二人とも教えてもらっている。
これにはおじいさんもかなりショックを受けていた。
解体についてもナイフの刃が通る物だけ処理している。サクヤちゃんは解体をしなくなったが、クイーン達の餌の為に狩りをしていると言ったら従魔の為にご飯を作るようになった。
ほとんど料理をしたことが無かったので手伝い程度だが、俺達のご飯も作ってくれたので、おじいさんが「サクヤの手料理~!!」と涙ながらに食べていた。
従魔達も嬉しそうに食べていた。
サクヤちゃんは自分の作ったものを食べてくれるのが嬉しいみたいだった。
他にもまだ小さく、技術の無い俺に簡単な修行をつけてくれた。
修行と言っても、体力作りや簡単な体術程度だ。
サクヤちゃんも一人の時はやらなかったが、俺と一緒だとやるようになったのでおじいさんとおばあさんも喜んでいた。
ただ、おじいさんはやり過ぎないようにおばあさんに釘を刺されていた。
一ヶ月もたつと子狼達も一緒に狩りに行けるようになっていた。
子狼を初めて連れていった時には子狼達にサクヤちゃんが埋もれて楽しそうにしていた。
ってか、おじいさんの嫉妬の炎が凄かった…。
子狼達を連れていったことでおじいさんから提案があった。
これだけ狼がいるのなら小さい馬車なら引けるのではないかと。
確かに犬ぞりというのがあるから出来ないことはないかな?それに、普通の狼よりも強いモンスターだしな。
しかし、孤児院に馬車などない。おじいさんにそう言うと
「なら作れば良いじゃろう!!」
といつも通りの事を言われた。さすがに馬車は無理だろうが荷車位なら作れるか?無理だったとしても木工技術を教えてもらえるのは有難い。
おじいさんに教えて下さいとお願いした。
狼と荷車を繋ぐところも必要なので、おばあさんにも皮革加工を教えてもらう約束をした。狼用ということでサクヤちゃんも手伝ってくれることになった。
相変わらずおじいさんは悔しがっていた……。
ちなみに子狼達はいつの間にか俺の従魔になっていた。




