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その後は順調に解体は進んだ。
ファングボア、スタンプボア、ビッグボア等の猪系モンスターとビッグホーンディアーと言う鹿系モンスターも解体出来た。
冒険者になったときにモンスターを倒した証明に何が必要かわからなかったので、食べられない内臓や骨等を含めモンスターの全てをアイテムボックスにしまってある。
今度冒険者ギルドで調べてみたいな。
それから、おじいさんが狩ってきたワイバーンを含めたモンスターも全て貰い、アイテムボックスにしまった。いまさらだけど、アイテムボックスの容量はどうなってるんだろう?
解体の途中おばあさんが作ってくれたお昼をご馳走になった。スープとパン、焼肉だったのだが、このパンはどうやって手に入れたのだろう?
おばあさんに聞いてみると、おじいさんがフラフラ散歩に行った帰りに農村で小麦を買ってくるらしい。買うと言っても少額のお金と近くで狩ったモンスターとの物々交換に近いらしい。
なんでも農村では少額とは言え現金が手に入り、農村周辺のモンスターを狩ってくれるので、身分証の無い多少怪しい人物でも小麦や服などを買えるらしい。
食事の最後にお礼にはならないがデザート代わりにアイテムボックスにある果物を出して皆で食べた。
普段果物は食べないのかサクヤちゃんがお代わりをしていた。それを見たおじいさんがジーっと俺を見ていたので、アイテムボックスから果物をいくつか取り出し渡した。
これでサクヤちゃんに喜んで貰えるとおじいさんは嬉しそうにしている。
どうやら恐い龍だと思っていたがただの祖父バカのようだ。
解体も終わり遅くならないうちに帰ることにした。
サクヤちゃんは解体に飽きて、一緒に遊んで仲良くなった従魔達にお別れを言っている。
おじいさん、従魔を見る目が恐いけど大丈夫だよね?あれは俺の従魔だからね?
「また遊びにおいで」
「次来たときは魔法の練習じゃな!!」
「……バイバイ。」
「お世話になりました。えっと、また明後日来ますね!!」
「キュイ!!」「ワォン!!」「ピュイ!!」
そうして俺達は大量の表に出せないお土産を貰い、孤児院に向けて帰っていった。
帰る途中で持って帰る獲物が無いことに気付いて慌てて兎を数羽狩ったのはご愛嬌だろう。
孤児院に戻った俺達はお土産の解体した肉を大量に出して皆を驚かせた。
何の肉か聞かれたがいつものファングボアと誤魔化しておいた。さすがに龍に出会って狩ってもらったなんて言えないから秘密にしないと。
それでもあきらかに量が多すぎて怪しまれてしまったが…。
肉はアイテムボックスにしまい、皮を代わりに出しておいた。肉は腐るといけないので必要な量以外はしまっておくことにしている。たまに大物を持ち帰ったときは干し肉なども作っている。
最近では孤児院の子供達(と言っても俺より年上だ)が皮のなめし作業を覚えたのでアイテムボックスの在庫は減ってきている。毛皮は毛布代わりに、皮は衣服に使うのでいくらあっても困らないのだ。
むしろ、毛皮は増えてきたので質の良い物は売りに出して孤児院の貴重な収入源になっている。
この調子で少しずつでも良いからお金を稼いで孤児院を良くしていきたい。冒険者になれば今より稼げるから、風龍のおじいさんに色々教えてもらえるのは運が良かった。
ある程度の時間が過ぎたらクルス君とイリヤちゃんも教えてもらえないか頼んでみようかな。




