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ファングボアの解体は前に門番の兵士に教えてもらったので出来る。
体格的に厳しかったがサクヤちゃん、そして血抜きを終えたおじいさんに手伝ってもらいそれなりの状態で解体出来た。
そして、同じ猪系のモンスターの解体をしようと思ったところで問題が起きた。
ナイフの刃が通らないのだ。
元々孤児院にあったナイフなので、良いナイフでは無かったしファングボアの解体でもギリギリ解体出来たくらいだ。あきらかにファングボアよりも上位の魔物には刃が通らないのだろう。
「なんじゃ、解体せんのか?」
ナイフが通らなくて困っているとおじいさんから声をかけられた。
「ナイフが通らないんです。安物のナイフだから…。多分ファングボア以外は無理っぽいです。」
「安物でも魔力で強化すれば猪位切れるじゃろ?」
「強化…?」
「なんじゃ、そんな事も知らんのか?」
「ごめんなさい…」
「お主の師匠は教えなかったのか?」
「師匠って魔法のですか?だったら独学なので、師匠はいないです。」
「なんと、一人で魔力を操れるようになったのか!!それならば仕方あるまい。お主魔力による身体強化は出来るか?」
「あ、はい。我流ですけど出来ます。」
「ならば話は早い、生物の強化は体内に魔力を循環させるが、物の場合は魔力で覆ってやればよい。」
「魔力で覆う?……えっと、こうですか?」
俺は魔力を集めナイフに薄くコーティングした。
「やれば出来るではないか。それで普通のナイフよりも切れ味も増し長持ちもするぞ。それから、その強化は身体に施せば防御にも使えるぞ。」
なるほど、そういう使い方もあったのか。魔法といえば火を出したりとかを思って他の使い方を考えるのを忘れてた。
さっそく魔力コーティングナイフで猪モンスターを解体してみる。
先程刃が通らなかったのがスパスパ切れた。
「凄い!!」
「ふむ、上出来じゃな。じゃが、所詮は強化じゃ、元のナイフの切れ味に依存しとるからこのあたりのモンスターが限界じゃろうな。」
まぁそうだろう。魔力で強化して何でも切れたら強い武器など必要無くなるからな。
「やっぱり新しい武器は必要ですかね…」
「なら自分で作れば良いじゃろう!!」
はい?このおじいさんは何を言ってるのかな?
「そうじゃな、小僧に鍛冶を教えてやろう!サクヤも一緒にやるかの?」
「……やらない……。」
いやいや、女の子が鍛冶とかないでしょ。
「そ、そうか…。そうじゃ!!小僧魔法を習ったことがないと言っておったな!!ならば儂が教えてやろう!サクヤ、魔法ならどうじゃ?」
「魔法は覚えたい…。」
「そうか、そうか!!ならばおじいちゃんが教えてあげような!!」
いやいや、おじいさん言葉遣いおかしいよ?
「よし、小僧。明日からみっちり修行をつけてやるぞ!!」
「えっ、いや、明日は無理ですよ!?狩りに来る日は2日に一回だから。それに、狩りもしないといけないから毎回ここに来るわけにもいかないですし」
「なら今後も儂が獲物を捕ってくれば解決じゃな!!次からは色々教えてやるから楽しみにしておれよ!!」
そうして俺は師匠?を得たのであった。
って言うか、サクヤちゃんと一緒にいられるからって楽しみにしてるのおじいさんじゃん!!




