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魔力のドームを越えるとそこは…普通の森だった。
見た目は周りと変わらなかった。
いや、違うところがあった。
なぜか家が建っていた。
豪邸等ではなく普通の木造の一軒家だ。大きさは町にあるような家よりは大きい。そして、孤児院よりも綺麗だった。
なぜこんな所に家が???
ドームの中で魔力探知を使うと生物の反応があった。 反応は複数ありそのうちの一つは家の隣にあった。他の反応は家の中からだ。
反応のあった家の隣を見てみると木のそばに誰かがいるようだ。それほど大きくなさそうだから女性か子供かな?
声をかけるか、近付くか、どうしようかと悩んでいたら、またしてもミュウが走り出してしまった。
さっき怒ったばっかりなのに!!
ミュウはその人物に近付くと周りを走り回っていた。その人物は急に現れたミュウに驚いているようだ。
ミュウは何周かしたら回るのを止め、その人物に寄っていった。
驚きすぎたのかその人物は固まってしまっている。
攻撃されなかったから良かったが、下手したら近付いただけで攻撃されたかも知れないので、注意しなければ。
「ミュウ、戻ってこい!!そこの人、大丈夫ですか~!?」
俺は聞こえるように大声で話しかけた。
ミュウは聞こえたのか走って戻ってくる。
その人物は固まったままだ。
戻ってきたミュウに知らない人に急に近付かないように注意して、その人物に近付いていった。
「あの~、大丈夫?」
俺は固まってる人物に声をかけた。
その人物は同い年位の女の子だった。
「だ、だれ?」
女の子は震えながらも聞いてきた。
「えっと、俺はシュウ。んで、こっちのホーンラビットがミュウでグレイウルフがクイーン。それから……あっ!!」
すっかり忘れていた、ぴーちゃんに空から監視をしてもらったままだった。
テレパシーで呼んでみたが通じない。多分ドームで遮断されているのかな?
仕方がないのでクイーンに呼んできてもらうことにした。
「クイーン、わるいんだけどぴーちゃん呼んできてくれる?」
「ウォン♪」
クイーンは一声吠えるとドームの外へ走っていった。
俺は女の子に向き直ると
「ごめんね、外にリトルイーグルがいるんだ。ぴーちゃんって名前ね」
俺の自己紹介を聞いた女の子はゆっくりと返事をくれた。
「わ、私はサクヤ……です。」
「サクヤちゃんかぁ~、えっと、サクヤちゃんはここに住んでるの?お家に誰かいるの?」
「う、うん、おじいちゃんとおばあちゃんと住んでるの…。」
そんな会話をしていると、家の中から声が聞こえてきた。
「サクヤ~、どうかしたのか~?」
そして、家の中から出てきたのはおそらくおじいさんなのだろう。おそらくと言うのも年寄りという姿ではなく、細マッチョな体つきだったからだ。顔はおじいさんなのだが、身体は町の冒険者よりもしっかりしている。
「なんじゃ、その小僧は?」
「えっと、はじめまして、シュウっていいます。で、この子がミュウであと二人は外に…」
「ウォン!!」
タイミング良く二人が帰ってきた。
「あっ、あっちのグレイウルフがクイーンでリトルイーグルがぴーちゃんです」
「テイマーか?珍しいのぉ。それで、どうやってここへ来たのじゃ?ここは結界を張ってるから普通は来られないはずだが」
結界!?じゃあ、あのドームが結界だったのかな?
「えっと、魔力探知をしていたら魔力で覆われた何かを感じて調べたらこうなりました。」
「魔力探知か、人間にしては優秀じゃな。」
人間にしては???
気になった俺は鑑定をして驚いてしまった。おじいさんも女の子も人間ではなかったのだ…。




