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孤児院に着いた俺達は出迎えた皆から不思議なものを見るような目で見られていた。
それもそのはず、俺達は獲物を持たずに肉の塊を持って帰ってきたからだ。
後から出てきた院長先生に門での事を説明し、子供達にお肉を運ばせた。
子供達は喜んで、我先にと運んでいった。これだけ大きい塊だと、干し肉等に加工出来るから当分肉を食べられるのが嬉しいのだ。
院長先生の部屋に行き今回の結果を伝えた。
新しい果樹をぴーちゃんが見つけてくれた事。
クイーンが狩りを安定して出来る事。
ファングボアを倒して皆のレベルが上がった事。
レベルが上がったのでファングボアを持ち帰れた事。
門番の兵士から解体を教えて貰ったことだ。
門番の兵士にはお礼代わりに肉を少しと牙を渡してある。
ファングボアはモンスターなので倒すとお金が貰える。討伐証明部位というのが有り、モンスターによって部位はバラバラだ。ファングボアの場合は鼻にあたる。ただ、討伐証明部位をお金と交換してくれる所が冒険者ギルドなので、冒険者でない俺達はお金と交換してもらえないのだ。
兵士も冒険者でないので鼻を渡してもお金は貰えないので、武器や防具に加工出来る牙を渡したのだ。
孤児院には肉と骨、魔核と皮を持ってきた。
肉は食用で骨はスープの出汁やクイーン達狼がかじる用だ。
魔核は孤児院には無いが魔道具の燃料になるので取っておきたい。いざというときに売ってお金に出来るしね。皮も売れるが将来クルス君達が冒険者になったときにこれで防具を作りたかったからだ。
その後は安定して狩りや採取を続けることが出来た。
これは従魔達の活躍が大きかった。ぴーちゃんの索敵のおかげで果樹や獲物の発見、また、道案内もしてくれたので効率が良かった。
クイーンは狩りで大活躍だ。毎日何匹もの獲物を狩ってきてくれていた。
ミュウも狩りで大物が出た時は刺突で致命傷を与えるようになって、俺が魔法を使わずにすむようになった。
獲物のほうも街道口から離れているせいか色々な種類がいた。今までの鳥兎鹿猪に加え狸や狐、猿狼等だ。肉だけでなく毛皮も手に入ったので冬は寒さに震えず安心して暮らせそうだ。
また、外縁部とはいえ街道口から離れているのでモンスターも増えてきた。まぁ外縁部なので強いモンスターは出なかったが…。
増えたのは昆虫系のモンスターだ。人の頭位の大きさの昆虫が襲ってきたときはかなり驚いた。
そこまで強くなかったので倒すのは難しくなかったが、倒しても肉が無いので倒しがいのない相手だった。
だが、甲殻類の時は綺麗そうな甲殻を取っておいた。これも防具に使えるかもしれないからね。
魔核は小さいのしか取れなかった。
ファングボアは週に2~3頭狩れるようになった。安定して狩れるプラス、ファングボアがよく現れたからだ。
そんな日々を過ごすうちに数ヵ月たち、俺のレベルもやっと10を越えた。
クイーンのレベルはそろそろ20になりそうな感じだし、子狼達も大きくなってきたので一緒に狩りに行こうかと思っていた。
そんな事を思いながら今日も竜の森を歩いている。
今日は狩りの日なので側には従魔しかいない。
新しい狩場を開拓しようと外縁部をいつもより進んでみた。
ほどなくするとそこまで大きくはないが水の綺麗な川にぶつかった。
その川にそって森の中を進んでいった。しばらくすると何か違和感を感じた。




