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孤児院に着いた俺は院長先生とシャルちゃんに狩りの成果を報告しに行った。
一人で行ったのは従魔達が孤児院に着くなりぴーちゃんは妹ちゃん、ミュウはイリヤちゃん、クイーンは子供達の元へ行ってしまったからだ。
院長先生とシャルちゃんと一緒に表に出て獲物を確認した。孤児院の子供達も集まり『お肉、お肉!』と喜んでいる。
シャルちゃんに解体を任せて、俺と院長先生は建物に戻った。
院長先生には狩りの本当の成果を伝えた。なかなかの量に驚いていたが、俺がこれをどうするか相談すると悩み出してしまった。
鳥や兎は建物の中で解体すればいいが、鹿以上の大きさは少し厳しい。ましてやファングボアなどは外でないと解体出来ない。そもそも持ち帰った事にはなってないから出せないが…。それに、シャルちゃんと院長先生位しか解体出来ないので数が多くて大変だ。
また、兎の毛皮は冬の防寒具として孤児院ではかかせない物になっているのだが、キチッと処理しないと腐ってしまう。そして、この処理もシャルちゃんと院長先生しか出来ない。
この問題をどうするかで院長先生と悩んでいた。
問題点は単純に獲物が多すぎる、人手が足りない、だろう。
解決策は皆で解体、毛皮のなめし作業を覚えることかな。
特に竜の森に行く俺達四人が覚えればいらない所を森に捨ててこれるしね。
さっそく外に出て解体の練習を始める。他のメンバーを呼び、アイテムボックスから何羽か取りだしシャルちゃんと院長先生に教わった。
解体をしていると孤児院の子供達が集まってきた。
お肉に興奮しているのとは別に普段解体していない俺達が解体していることに不思議がっていた。
俺が解体出来る人がいないからお肉食べられないんだよ~と、言ったところ集まっている子供達全員が「僕がやる!!」「私がやる!!」と騒ぎ出した。
やはりお肉が話題だと皆の食い付きが凄い(笑)
しかし、解体用のナイフの数に限りがあるので年長組が解体を手伝うことになった。また、日中は年長組は働きに出ているので、いつも料理を手伝っている子が解体をすることになった。
やはり慣れていないと上手く解体することは出来なかった。だが、孤児院用なので多少雑でも大丈夫。そして、何羽か解体するとそれなりの解体が出来た。
だが、このレベルの技術だと大物は難しいだろう。
まぁ、こういうのは経験がものを言うから数をこなすしか無いだろう。
今度肉屋さんに解体を教えて貰えないかな?
今日の晩御飯は少し豪華になってしまった。
解体の練習に集中し過ぎて捕ってきた鳥と兎をほとんど解体してしまったのだ。一応アイテムボックスに仕舞えば腐らないのだが、子供達には内緒にしているのでこの大量の肉がご飯に出なかったら不満は出ないが残念がるだろう。
その為いつものご飯にプラスして肉串が一本追加された。肉串一本とは言え孤児院にとってはごちそうなので子供達は大喜びだった。また、年長組も解体をやるきになっていた。
肉串には鳥と兎を使って誤魔化したが、解体では鹿も挑戦していた。俺が院長先生と話してから外に出た時にはすでに鹿の解体は終わってしまっていたので、こっそり解体前の物と取り替えて手本をみせてもらい、またこっそり取り替えて解体の練習をした。
子供達は鹿がいつの間にか新しかったので混乱していたがお肉の魔力には敵わず気にしなくなった。
とりあえず鳥と兎、鹿の解体はなんとなく覚えたが、まだイノシシやファングボアがいるのでどこかで解体の機会を設けなければ。




