32
大物を狩った興奮から冷めてふと考える。
これ、どうやって持って帰ろう?
いや、持って帰るのは簡単だ。アイテムボックスに入れれば良いのだから。問題はそこではない。
これだけ大きなファングボアを孤児院で解体したら近所の人に見つかるだろう。そうしたらどこで手に入れたか話題になる。だが、狩ってきたと言っても誰が狩ったのか?どうやって持ってきたのか問われるだろう。
ファングボアを買ったと言えばその金はどこからきたのか問われるだろう。
これは詰んだか?
まぁ、次にクルス君達と来たときに皆で持てれば皆で狩ったと言えばいいか。持てなかったらとりあえずアイテムボックスの肥やしに…。
それと、中々の強敵であった為にぴーちゃんとミュウはレベル10の大台に乗った。
そして、俺もレベルが2に上がった!!
いままで上がらなかったから感動ものだ。
まぁ、レベルが上がった実感は何もないんだけどね。
残念ながらクイーンはレベルが上がっていなかった。クイーンはレベル高いからなぁ。
レベルの上がった二人はスキルも覚えていた。
ぴーちゃんは索敵
ミュウは刺突
普段二人がしている事だがスキルが付くことによって補正がかかり、強化される。
索敵なら範囲が広がり何かを見つけやすくなる。
刺突ならおそらく威力アップだろう。
ちなみに各魔法のスキルがつくと、安定して使えるようになる。
ファングボアの血抜きをしている間にぴーちゃんを呼び戻し休憩しながら今後の話し合いをした。喋られるのは俺一人だが…。
「とりあえず狩りはこのまま続けるとして、狙うのは鳥兎鹿猪あたりまでにしよう。ファングボアは狩れないことはないが、処理に困るから無理しないようにしよう!」
従魔達は納得してくれたようだ。
「そういえば、ぴーちゃんとクイーンは何の肉が好きなんだ?」
「ピー!!」「ウォン!!」
「ふむふむ、ぴーちゃんが兎でクイーンも兎好きなのか?」
「キュウ!!」
「わかってるよ!ミュウは薬草が好きなんだろ!?しかも、魔力のこもってるやつ。」
「キュイ♪」
「二人とも兎が好きなら兎を中心に狩ろう!!量が少ないから数を捕らないとな。」
血抜きを終えたファングボアをアイテムボックスにしまい、俺達は次の基点になりそうな場所を探した。
運良く果樹を見つけ、少し休憩したらまた狩りを再開した。
ぴーちゃんには鳥を狩るのと索敵を頼んだ。鹿の群れや猪などをみつけてもらうつもりだ。
俺とミュウ、クイーンは兎を狙って狩りに行く。
ぴーちゃんから連絡があればそちらに向かう。
それを何度か繰り返し今日の狩りは終了した。
今日の成果は
鳥類10羽
兎7羽
鹿5頭
猪2頭
ホーンラビット5羽
ファングボア1頭
一日で狩った量としてはかなりのものだろう。
これはぴーちゃんとミュウの活躍が大きい。レベルが10になったとたん動きが見違えて良くなった。やはり10になるのが大変だったぶん恩恵も大きいのだろう。
途中狼の群れも見つけたが、狼は集団で襲ってくるから危険だと思い避けていた。
俺は鳥と兎を数羽ずつと鹿を一頭残してアイテムボックスにしまった。これは他の人に狩ったと教える為に手で持って帰るつもりだ。
鹿はクイーンの背中に乗せていく。重いなら人がいる時だけアイテムボックスから出すか?と聞いたら大丈夫と言われたので最初から背中に結んでおいた。
俺達は狩りを終え町に戻った。町の入り口の門番の兵士には狩りの成果を驚かれたが無事に町中に入ることが出来た。
さて、孤児院に帰ろう!!




