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待ち合わせの時間までまだあるのだが、クルスくんとおじいさんだけでなく、なぜか『全力全開』の皆の事が気に入った妹ちゃんにお願いされ、待ち合わせ時間よりも早くにダンジョン入口に向かった。まっすぐ行くと早く着きすぎると思ったけれど、朝御飯は食べたはずだけど、屋台でつまみ食いをしながら来たので待ち合わせ時間の少し前に着いた。
しかし、『全力全開』の皆は俺達よりも早く着いていたようで知り合いの冒険者だろうか、回りの人達と話をしていた。
「おっ、皆おはよう!」
リーダーが俺達に気付くと挨拶をしてくれた。……挨拶をするのは良いんだけど、なんでポーズを取るのかな? うちの妹ちゃんやクルスくんが真似してポーズを取りながら挨拶しちゃってるじゃん。
ともあれ、挨拶が済んだのでまずはギルドに向かう。向かうギルドはダンジョン側のギルドだ。そこでダンジョンに行く人数、予定日数、予定階層を伝えておいた。
「あとはあそこで依頼の確認をしておいた方がいい」
リーダーに言われ、壁に張ってある依頼表を皆で見に行った。そこにあるのは他のギルドにもあるような狩りや採取の依頼だった。ただ、出てくる魔物や採れる植物等は階層によって決まっているので見やすくなっている。俺達が向かう一階から五階は最初の階ということで、常設依頼しかなかった。まぁ、持ってくれば持ってきただけお金になるので新人冒険者にはありがたいだろう。
「これからダンジョンに行くときは見る癖をつけといた方がいいよ。じゃあ、そろそろ行こうか」
全体を見渡した頃リーダーから出発しようと言ってきたので、皆で外へ。ダンジョンに行くため門へ進むと、門の脇の人が多く集まっている所で立ち止まった。
「前にも話したが、ここでポーターを雇うんだ」
ポーター、いわゆる荷運びする人だ。ダンジョンではモンスターが多く出るので常に戦闘態勢にいなければいけない。そんなとき、荷物を持っていたら戦えないので専門のポーターを雇うのだ。それにダンジョンは資源の宝庫なので手に入れた素材やモンスターの素材を持ち帰る時にも役立つ。
ポーターはその多くは孤児の子供が多く、雇う料金も安い。浅い階層では子供で充分だし、子供達の大事な収入源らしい。
ちなみに深い階層では引退した冒険者や新人を過ぎた冒険者にポーターをやらせるのが主流のようだ。
今回頼むのは『全力全開』の知り合いの子達だ。俺達のようにまだ五階の転送装置に登録していない子を中心に選んだようだ。
本当なら「アイテムボックス」や魔法の鞄があるのでポーターは必要ないのだが、孤児の仕事というのならこれからもちょくちょく頼むのもありかもしれない。
雇った子達にまとめておいた荷物を渡し、いよいよ街を出る。こちらの門はダンジョン専用になっているので門番の人からの確認作業等はない。しかし、門を出ても街を囲む城壁と同じ位大きくて丈夫そうな壁に挟まれた道を歩くことになった。
そして、向かう先のダンジョンも同じく城壁に囲まれていた。こちらの城壁は守るためにあるのではなくダンジョンからモンスターが外に出ないように作られたものだった。
ここのダンジョンではまだ無いそうなのだが、一部のダンジョンではモンスターがダンジョンの外に溢れ出す「スタンピード」という現象が起こることがある。その溢れたモンスターが街を襲わないようにダンジョンを囲っている。ただ、ここのダンジョンは冒険者も多く、モンスターも定期的に倒しているので今のところ安心だろうと言われていた。
そして、ダンジョンの門も無事に通過していよいよダンジョンに突入である!
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