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ドワーフの鍛冶師の方は残念だったが、エルフの秘薬を手に入れられそうなので竜の鱗に関してはここでひとまず終わりにしよう。次はエルフのお姉さんとの交渉中、飽きて暇を持て余していたクルスくんのお楽しみの時間になる。途中、屋台でお昼ごはんを済ませ、たどり着いたのは冒険者ギルド。さすがにダンジョンに入るのは冒険者組が帰ってからになるが、登録だけ済ませておこうというわけだ。
他のダンジョンは知らないが、ここのダンジョンはダンジョン都市に登録した冒険者だけが入れる。もちろん登録というのは冒険者登録ではなくダンジョン用の登録だ。まぁ、登録した冒険者が一緒なら俺と妹ちゃん、サクヤちゃんみたいな冒険者じゃない子も入れる。
ダンジョン用の登録をしたらダンジョン入口近くの冒険者ギルドで入る時に手続きをする。これはギルドがダンジョンのどこに何人位いるか確認するためだ。同じ所に大人数いたらモンスターや資源の取り合いが起きるのでそれを防ぐために確認している。ギルドにも大まかな人数が掲示してあるそうなので確認は忘れないように。
後は冒険者がダンジョンから帰ってこなかった時の対策かな? さすがに冒険者は自己責任なので誰も助けに来てはくれない。しかし、冒険者ギルドにそれなりのお金を払うと予定日数を越えると探しに来てくれる。主に冒険者と一緒に潜る人達向けのサービスだ。
後は救出の為ではなく原因究明のための目印にも使われる。無理して自分の実力以上の所を探索した、ではなく、適正レベルの所を探索して帰ってこなかったら調べなければならないからだ。自分達の不注意ならともかく、そこにいないはずのモンスターが出たり、モンスターの数が異様に増えたりして帰ってこられなかった。なんて事になってたらダンジョンそのものが危険だからね。
とまぁ、そんな理由で冒険者ギルドに登録に来たのだが、ダンジョン関係の手続きは基本的にダンジョン近くのギルドでしか出来ない。だけど、登録手続きは他の街から来た冒険者がすることなので街の入口のギルドですることになっていた。
さっそくやって来た冒険者ギルドは……まぁ、他の街のギルドとそんなに変わりは無かった。強いて言えばこちらは護衛依頼が多いからか、受付が多く素材等の買取り場所が少ないくらいか?
手続きをするのはクルスくん、イリヤちゃん、おじいさんの三人。俺と妹ちゃん、サクヤちゃんはギルドにある酒場でちょっとした物を摘まみながら待っている。クイーン達は外で待機だ。
登録と言ってもギルドカードを確認して記録しておくだけなのですぐに終わると思ったのだが、少し時間がかかっているようだ。で、クルスくん達の方を確認したら上半身裸の男に話しかけられてる!?
「おうおうおう、まさかお前らみたいな子供と年寄りがダンジョンに行くつもりかぁ!?」
上半身裸で良く見れば髪の毛も緑やら青やらグラデーションになっている男がクルスくん達にからんでいた。この世界に来て金髪、銀髪以外にも赤やピンクなどファンタジーっぽい髪の色は見たことあるけど、さすがに何色も分かれてる人は初めて見た。しかも、大抵の人は丈夫そうな服に防具を身に付けるのに、話しかけた男は上半身裸だ。冒険者としてどうなんだ? とも思ったが、ある意味こういう冒険者は有名だろう。そう、漫画やアニメで主人公がギルドに行った時に最初にからんでくる冒険者そのものだった。




