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さて、調薬組はなんとかなりそうなので他の所も確認してみようかな。



「くそっ! どうやっても弾かれる!」

「やっぱり火力が足りないのか?」

「いや、そもそも竜の鱗を鉄で叩くってのが無理なんじゃないか?」


鍛冶場からは金槌のトンカントンカンという音に混じって鍛冶組の話し声が聞こえてくる。というか大声で話しているのでよく聞こえる。

やはり、ここでも鱗の加工は難しいみたいで熱したり冷やしたり斬ったり叩いたりと色々したそうだが竜の鱗は傷一つ付かなかったらしい。実際竜の鱗に何か出来たのは竜の爪と竜の牙、あとは錬金術師のおばあさんのナイフくらいだからなぁ。よっぽどの物でないと何も出来ないのかもしれない。


「竜の鱗の加工ならドワーフに聞くのが一番って言われたんだけど、どこにいるか知ってる?」

「ドワーフ? あぁ、鍛冶ならやっぱりドワーフか。王都とかにいないのか?」

「商人組で誰か知らないか聞いてみるか?」


やっぱりドワーフの鍛冶技術は有名らしく鍛冶組も話だけは知っているみたいだけど会ったことは無いらしい。そもそも孤児院の鍛冶技術は弟子入りしてた子もいるが、基本的にはおじいさんに教えてもらった自己流に近い。その為他の鍛冶師に知り合いはほとんどいないのだ。それに、この国は獣族、獣人族以外の他種族は見たことがないのでいないのかもしれない。となると竜の素材の加工はいつ出来るのか計画すら立てられないな。まぁ、錬金術師のおばあさんのおかげで竜の鱗の粉末は作れるようになったので、それを鉄に混ぜて何かしら効果がないか確かめてもらうとしよう。

鍛冶組は鱗から挑戦を始めたらしく、まだ爪も牙も挑戦していないらしいが鱗に手も足も出ない状況ならば鱗の粉末から挑戦していた方がいいだろうな。



「やっと来た!」

「遅いよ! えへへっ、良い物出来たよ!」


次にやって来た裁縫組からは待ちくたびれたとばかりに彼女らの成果の前に引っ張っていかれた。

そこにあったのはパッと見ただの服にマントやローブ、それに革の盾だった。革の盾の近くには木工組がいるので共同製作のはずだ。

竜の鱗ということで鱗に針も通せないだろうからとほとんど期待していなかったのに裁縫組は何かを完成させたようだ。


「いやぁ、どうやっても鱗に針が通らないからどうしようかと思ったけど、なんとかなったよ」


そう言って見せてくれた服やマントは内側に鱗があるのか見た目には普通の物に見える。しかし、触ってみると確かに鱗の感触がある。確認してみるとどうやら鱗の形はそのままで、ポケットを作ってそこに鱗を入れたり、鱗に針は通さないで糸をバツ印に縫い付けたりしたみたいだった。

アイデアとしてはとても良いと思うのだが鱗が大きすぎるために隙間が多くて防具としては今一つな仕上がりになってしまっていた。マントやローブ等は布製なのにでこぼこというか角ばっていた。

しかし、盾の方は木の盾に鱗を合わせ、上から革を縫い付けたのでこれはこれで使えそうだった。


「鱗の形を変えられればもっと良い物が作れそうなのよね」

「マントも形にはなってるけどマントとしては使い心地最悪ね」

「盾はまぁ、一番成功したわね。鱗を重ねたらどうなるかとかこれからの課題ね」


ふむ、鱗の形だけが問題ならなんとかなるか。


「なら、これでなんとかなると思うよ」


そして取り出した竜の爪と牙。みんなの前で爪を使って鱗を切ってみせた。牙は穴を開けるのに使えるので鱗を縫いやすくなるだろう。


「凄いじゃない! これなら色んな服に合わせられるわ!」

「穴も開けられるなら隙間なく、それでいて柔軟性も維持出来そうね!」


どうやら裁縫組に火をつけてしまったらしい。防御力だけを考えれば今のままでも十分に使えると思うのでこれからは使いやすさに重点を置くようだ。


鍛冶組にしても裁縫組にしても加工時に出た鱗の粉末は鍛冶に使ったり万能薬に使ったりするので無駄なく使えそうだ。

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