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妹ちゃんがクイーンに満足すると俺は餌をあげ始めた。狼は肉食なので先ほど捕ってきた兎と鳥を与えてみた。
クイーンは最初戸惑っていたがゆっくり兎を食べ始めた。
一羽目を食べ終え二羽目にいこうとしたら、子狼達が餌の匂いに釣られて起き始めた。
クイーンは二羽目を食べるのを止め子狼達のもとへ持っていった。子狼達は一心不乱に食べ始めた。
兎は二羽しかなかったので、クイーンが食べるのを止めていたので鳥を勧めたが、躊躇していた。理由を聞いたら普段食べてないから美味しい物か分からなかったそうだ。
確かに狼が鳥を狩るのは難しいだろうからね。
鳥が美味しい肉だと教えると鳥も食べ始めた。
しかし、狼達の食事を見て思う。
肉が足りない。
今まではぴーちゃんだけが肉が必要だったから狩りで充分足りていた。むしろ余分に狩れていたので孤児院でも肉が食べられるようになっていた。
しかし、大人狼一匹に子狼が三匹。それが毎日となると圧倒的に肉が足りなくなるだろう。
これは魔法だけでなくアイテムボックスの事も話して狩りに専念した方が良いかもしれないな。
それと、狩りにクイーンも連れていこうかな。
俺達は狼が食事を終えるのを待ち孤児院に戻ることにした。
子狼がいる以上狩りをするのは難しいし、同じ場所で採取も出来ないからだ。
帰りの道すがらクイーンに怪我の理由を聞いてみた。
まぁ、従魔とのテレパシーの様なものでざっくりとした会話だが。
それによると、子狼と狩りの練習に出掛けたところ冒険者と出くわし、子狼を守りながら逃げてあの状況になったらしい。
しかも、冒険者は子狼だけを狙っていたぶっていたらしい。
なんて悪質な冒険者だろう。いや、もしかするとこれが門番の兵士達が言っていたガラの悪い冒険者なのかもしれない。
それから父親はいないのか聞いてみたが、この子狼達には父親はいないらしい。魔力によって産まれた狼だそうだ。
狼なら群れで生活するんじゃないか聞いてみたが元々一匹狼らしい。なんかちょっと格好いいな。
ちなみにぴーちゃんとミュウも親はわからないらしい。そもそもモンスターがどうやって生まれるのかも良くわかっていないしね。
そんな会話をしていると町が見えてきた。
町の門に近付くと門番の兵士達が警戒しているのが見えた。当然だろう、朝と従魔の数が違うのだから。
それに、おそらく従魔だと思っているだろうが目印の赤いスカーフをしていないからな。
「おいっ、坊主ども、そのグレイウルフはお前達の従魔か?」
門の近くまで行ったら門番の兵士に声をかけられた。
「そうです!今日竜の森で従魔になりました。」
「また従魔が増えたのか?ってかその子狼もか!?」
「いえ、子狼は違うんですけど、親狼が従魔なので害は無いです!!」
「まぁ、子狼だから大丈夫か?一応従魔の証をつけておけよ?朝も言ったがガラの悪いのが増えてきたからなぁ~」
「わかりました。出来るだけ子狼は孤児院から出さないようにします。」
「そうした方が良いな。うちの連中にもグレイウルフが従魔になったと伝えておくよ」
「お願いします!!」
「ウォフ♪」
「おう、じゃあ、通っていいぞ!!」
そうして俺達は無事に町の中に入ることが出来た。




