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俺と二羽で狩りをして皆の所に戻ってから5分もしないうちに親狼に動きがあった。
「おっ、親狼が起きたみたいだぞ?」
クルス君に言われ皆で見つめていると、
「ワオ~ン」
目覚めた親狼が一鳴きした。その声を目覚ましに子狼達も起き出した。そして、親狼が起きている、生きている事に気付くと嬉しそうに親狼のまわりを走り回っていた。
「キャン♪」「キャン♪」「キャン♪」
親狼は嬉しそうに子狼達を眺めた後一匹ずつ舐め始めた。舐められた事に満足したのか子狼達はまた眠りについてしまった。
子狼が眠ったのを確認すると親狼はゆっくり立ち上がりこちらに歩いてきた。
そして、俺の前に来ると頭を擦り寄せてきた。
ある程度予想はしていたが、鑑定してみると親狼は従魔になっていた。
「おい、いったい親狼はどうしたんだ?」
「えっと、僕の従魔になったみたい…」
「はぁ!?またか?」
「どうも魔力で回復させると従魔になるみたい」
「そうなの?じゃあ、子狼は従魔じゃないの?」
そう言われ子狼に鑑定をしてみた。
予想通り子狼は従魔にはなっていなかった。
「やっぱり子狼は従魔じゃないみたい。」
「じゃあ、子狼も従魔にした方が良いんじゃない?」
「ん~、少し様子をみてみるよ。親狼が躾けてくれるかもしれないし」
「そうね、親が従魔ならこっちに攻撃しないようにしてくれるわね。」
「おにいちゃん、おおかみさんなでていい?」
「良いよ。」
そう言うと妹ちゃんは親狼をもふもふし始めた。
ふとクルス君が静かになったと思い見ると、プルプル震えていた。
「クルス君どうしたの!?」
「ついに、ついに俺にも従魔がきた!」
「はい?」
「ぴーちゃんにミュウとお前達に懐く従魔がいるのに俺にはいなかった。だが、今回狼の従魔が出来た事で俺が世話を出来るんだ!!」
「いや、ぴーちゃんもミュウも俺の従魔だし、この狼も俺の従魔なんだけど…」
「よし!これからお前は狼の王を目指すから名前はキングだ!!」
「いや、この狼メスだよ?」
「ガルルルルル!!」
クルス君が親狼に名前をつけたらクルス君に向かって吠え始めた。
「ほら、狼がクルスの考えた名前は嫌だって」
「くるすくん、めっ!!」
イリヤちゃんはクルス君に呆れ、妹ちゃんにいたってはクルス君を叱っていた。
「で、でもよ…」
「ワォン!!」
「はいっ!!すみませんでしたっ!!」
どうやらこのやり取りで上下関係が決まったようだ。
「でも名前考えなきゃだね」
「そうね、メスだから女の子の名前をつけてあげなきゃね」
「単純にキングじゃなくてクイーンとか?」
「ウォン♪」
「えっ!?それでいいの???」
「まぁ、本人がそれで良いなら…」
「くい~んちゃん♪」
「ワフ♪」
と言うことで親狼の名前は『クイーン』に決まってしまった…。
「あの子達の名前はどうするの?」
「あ~、もう少し馴染んでからで良いんじゃない?正直見分けつかないし…」
「「えっ!?」」
「おにいちゃん、みんなちがうよ?」
「ああ、全く違うぞ?」
「そうなの?人族には見分けつかないのかもなぁ~」
「なら見分けがつくようになってから名前を考えましょうね」
俺はこれから大変になるなぁと思ってしまった…。