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「薬草は大手がみんな買い占めてて全然買えないんですよ」
「町に入る為の税金がまた上がったんでキツいんだよ」
「ポーションも全然仕入れられないぞ」
「ここで冒険者から直接買えればいいけどモンスターが来たらちょっと恐いから……」
俺達は今情報収集という名の昼食会を開いていた。基本的にここの屋台村は竜の森に向かう冒険者と町へ帰る冒険者に向けた品揃えなので忙しいのは朝夕で昼は割りと暇なのだ。そこで他の露店の商人に声をかけてお昼を奢るついでに情報収集しているというわけだ。
聞いた情報はほとんどが知っていたり予想通りなものばかりだったが知り合いが増えたので良しとしよう。
「しかし、そのグレイウルフ達はいったいどれだけいるんだ?」
「えっと、結構な数いるかな……」
話の中で狼達の話になった。というのも彼らがここに露店を開けたのも狼達という目に見える戦力があったからだ。森の入口といえどモンスターは出る。といってもホーンラビットやグレイウルフなんかがほとんどだ。なら最低でもグレイウルフがいるここでなら襲われても互角以上に戦える。そう考えたみたい。まぁ、他力本願過ぎるとは思ったがうちの狼達はクイーンに鍛えられてそうとう強くなってるから期待してもらっても問題ないだろう。
「うちの方はワインが美味いぞ! 生産量が少ないから少し高めだけどな」
「共和国は気を付けた方がいい。油断すると金をむしり取られるぞ」
「帝国は実力主義だからな、従魔を連れていくなら気を付けるべきだ」
商人達もタダで守ってもらうつもりはなかったようで代わりに色々と情報を教えてもらった。故郷の名物やお酒の情報、近隣国の情報も教えてもらった。以前は港町で聞いた事だが別方向からの情報も参考になるだろう。
そんな昼食会兼情報交換会をしていると時たま冒険者が混ざるときがある。彼らからも冒険者目線での情報を教えてもらえた。
そうしてのんびりと商売をしていると少しずつお店も増えだし、お店が増えれば利用する冒険者も増えだし、ちょっとした市みたいだったものが段々大きくなっていった。
大きくなった事で泊まり込みで仕事をする冒険者も増えてきた。うちも含め商人達も野宿していたのが原因だろうけど、ここで簡単な買取りや買い物が出来るおかげで町に戻る時間を森での探索に使える為にそこそこの人数が泊まっていた。特に新人は安宿も野宿もそんなに変わらないのだろう。
で、泊まる人間が増えれば晩御飯が必要になり、うちのパンは持ち帰り主体なのでその場で食べられる肉串やスープを出し始めた。食材は近場にゴロゴロあるので町で出していた時よりも肉が大きいのは冒険者にとっては良いことだろう。
「ほれ、お前達もしっかり食わんか!」
「は、はいっ! いただきます!」
「お前ら、呑んどるか!?」
「おう、爺さんも呑みすぎるなよ」
泊まり込みということで夜はおじいさんの要望通りお酒を出すことにした。さすがにこんな所で泥酔されても困るのでアルコールは弱めの物がほとんどなのだが、おじいさんは毎日呑みに来ていた。
毎日騒いでるのもあるがおじいさんは面倒見が良いので新人にはご飯を、ベテランにはお酒を奢ったりしているので人気者というか、名物になったりしていた。
数日もすればおじいさんの剣術教室のようなものまで開催されていた。
ところでおじいさん、その肩を組んで呑んでいる見るからに強そうな方達は誰なのでしょう?




