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「お前達、やっと帰ってきたのか! 早く孤児院に行ってこい!」
途中でクイーンとクルスくんが狩りをしたり、隠れ里で魚介類のお裾分けをしたりしてのんびりと帰り、フレイの町が見えてきたと思ったらいつもの門番の兵士さんが走ってきて俺達に孤児院に早く行くように言ってきた。
「おっちゃんただいま!」
「ただいま!」
「こんなところまで来てどうしたんですか?」
「孤児院に何かあったの?」
クルスくんと妹ちゃんは帰ってきた挨拶をするが、それよりも孤児院の事を聞かないと!
「お前らが出掛けてから領主様が亡くなってこの町が色々大変な状況なんだ。お前らの所の孤児院もめんどくさい事になっちまっててな、悪いが俺達にはなんとも出来ない状態だ。詳しいことは院長先生に聞いてくれ。とりあえず早く帰った方がいい!」
こちらに寄ってきたと思ったらそのまま俺達を連れて門へ行き、いつもよりも簡単なチェックで町の中に入れてくれた。それだけ早く孤児院に行けということなんだろう。
「何が起きてんだ?」
「さあ?」
「なら、行けばわかるでしょ、急ぎましょ」
イリヤちゃんに言われ急いで孤児院に向かった。町の中はいつもの活気は無く、何かに怯えたような、不安そうな雰囲気で俺達も今更ながら心配になってきた。
「さっさと出てけや!」
「もうここはおめえらの家じゃねぇんだぞ!」
「領主様に逆らう気か!?」
「ふざけるな!」
「ここは俺達の家だぞ!」
「領主様は亡くなったばかりだ!」
「「「「ガルルルルル!」」」」
孤児院に近づくと声が、怒鳴りあってる声が聞こえてきた。良く見るとガラの悪い冒険者達が孤児院にいる子供達や冒険者達、狼達に向かって怒鳴っているようだった。
「おいっ! どうしたんだ!?」
「みんな、何があったの?」
「クルス達か!? 良いところに帰ってきた!」
「おいっ! お前達! また捕まりたくなかったら、さっさと帰れ!」
「ちっ! 仲間が来たのか」
「しょうがねぇ、一旦引くぞ!」
なんだか良くわからないけど俺達が来たことでガラの悪い冒険者達が逃げるように帰っていった。
「良いときに帰ってきたな、助かったぜ」
「疲れてるところ悪いが色々話がある」
ガラの悪い冒険者達を追い払うと冒険者組は俺達の所へやって来た。そして、この事を説明してくれるのかと思いきや従魔達を見張りとして残し、孤児院の中へ俺達を連れていった。
「みなさん、怪我は無いですか?」
「みんな、大丈夫だった?」
孤児院には院長先生と冒険者組、それと生産組が数人に従魔達しかいなかった。シャルちゃんやちびっ子達はどうしたのだろうか?
「大丈夫、また逃げてったよ」
「クルス達も来て慌ててたな」
「シュウも来たから今後の事を話さないとな」
なんだか良くわからないけど話は進んで院長先生と俺、それから冒険者組や生産組の年長達で話し合う事になった。




