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「「「「ただいま~」」」」
「お帰りなさい」
「依頼は出来た?」
「怪我はない?」
「お土産は?」
港町から帰ると孤児院の子供達にもみくちゃにされてしまった。残念ながら港町からフレイの町への護衛依頼は無かったので行きよりも短時間で着くことが出来た。院長先生もシャルちゃんも俺達の顔を見て安心したようで夜は仕入れてきた新鮮な魚介類を使ったパーティーだった。
「じゃあ俺達は森に行ってくるな!」
次の日クルスくんはイリヤちゃんやクイーン達を連れて竜の森に行ってしまった。今回は依頼ではないが、数日仕事をしたら休むのが基本なのに今回の旅路はほとんどすることがなかったから体が鈍っているんだろう。まぁ、採取と討伐の依頼をこなすと言っていたのでそこまで森の奥には行かないだろう。
「おにいちゃん、あたしたちもいくね! サクヤちゃん、いこ!」
「うん!」
妹ちゃん達も牧場へお世話しに、と言うか遊びに行ってしまった。取り残された俺は冒険者組が伐採してきたであろう木を加工しに向かった。
相変わらず山のように木が積んであるが、これも俺がいなくても良いように自然乾燥させる分を作っておいた方が良いだろう。
木を乾燥させながらふと考える。今は木材の需要があるので良いが、落ち着いたら何をしよう?
前までなら食料を採りに行ったり肉を狩りに行ったりしていたが、今では冒険者組も増えて俺が行く必要も無くなった。
商売にしても商人組や生産組が頑張ってくれているのでそれなりに利益は出ている。具体的にはどこかの町で店を持ちたいと言えば援助出来るくらいには……。まぁ、孤児院の子達は皆孤児院で働きたがっているので独立は無いかな。
後は俺がいると便利なのは『アイテムボックス』だけど困るのはお肉や魚介類の腐りやすい物位でそれ以外は魔法の鞄で代用出来ちゃう。
となると、俺は冒険者になるための準備を始めていいのでは……?
あっ、そういえば冒険者も商人も生産も人が増えたから魔道具を作って欲しいって言われてたな。なんだかんだで魔道具って俺しか上手く作れてないんだよなぁ。そうか、冒険者の修行をしながら新しい魔道具を作るのも良いかもな。
旅が増えたせいか水の魔道具や魔法の鞄が少し不足ぎみらしい。他にも何か便利な魔道具を作りたいな。
その日は一日木材の乾燥作業で終わってしまった。次の日早速魔道具作りを始めた。久しぶりの作業なので復習がてら火の魔道具、水の魔道具、魔法の鞄なんかに挑戦。
久しぶりだったけど意外に身体が覚えてるもんで問題なく作ることが出来た。というか、これも売れるんだろうか? 魔道具は商業ギルドの管轄か? 錬金術ギルドとかあるのかな? まぁ、後で商人組にでも聞いてみよう。
お次はお湯の出る魔道具に挑戦だ。これがあればお風呂やシャワー、冬場の台所仕事が楽になるはずだ。
クルスくん達と竜の森で採取や狩りをして冒険者としての練習をしながらお湯の魔道具作りをしているのだが難しい! 水は簡単に出るのだが温度調整が出来ないのだ。冷たい水も熱いお湯も出ない。出るのは温い水だ。魔法で出すときも温い水なのでそういうものなのだろう。
結局出来上がったのは熱湯が出る魔道具だった。しかし、お湯を沸かすのも大変だし冷ませば良いだけなので、これはこれで皆に喜ばれたので次は何を作ろうかな?




