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その後も他の年老いた羊に魔法をかけると同じようにスリープシープに進化? してしまった。竜の森の魔力が原因なのか俺が原因なのかはわからないが、なってしまったものは仕方がない。正直動物でもモンスターでもそんなに違いがないと思うのでこのまま牧場で生活してもらおう。


スリープシープについては詳しい事を誰も知らなかったので冒険者ギルドに皆で調べに行った。

そして、わかったことは羊系モンスターの中では弱い方で、おそらく年老いていた為によく寝ていたのでスリープシープになったのではないか、ということだ。後は、スリープシープの毛が寝具に最適で王侯貴族も欲しがるほどの素材らしい。どれくらい集められるかわからないけど院長先生やおばあさんにスリープシープの毛で布団を作ったら喜んでくれるかもしれない。



「なあ、なんか毛が伸びるの早くねえか?」


モンスターになって元気になったとは思うのだが、なんとなく癖で回復魔法をスリープシープ達にかけているとクルスくんから、そんな疑問が。


「そうかなぁ? あんまり変わらないと思うけど……」


「いや、あっちの子羊達と比べると全然違うぞ!」


確かに比べてみると子羊達に比べて羊っぽい体になってきてる気がする。子羊はあまり刈る部分は無かったが、ここに来る前に一緒に毛を刈られたはずだから同じくらいの毛の長さだったはず。いや、もしかすると年齢差や大人と子供の違いかもしれないしなんとも言えないなぁ。


しかし、一ヶ月もすると変化ははっきりとした。スリープシープ達の毛が刈れるくらいまで延びたのだ。どういう事か『鑑定』でじっくり調べてみると、どうやら『育毛』なるスキルを持っていて、そのおかげで毛が伸びたようだ。多分スリープシープだけに寝やすいように毛が伸びるのがはやいんだろうなぁ。


「メェェェ~」


冬ならばこのままで良いんだけど夏だと暑すぎるからこまめに刈ってあげないと可哀想かもしれない。それに毛はいくらあっても困らないからありがたい。


羊に関してはその後も何度か年老いた羊を購入し試してみたが、やっぱりスリープシープに進化した。原因はわからないが従魔になり、毛も刈れるので農村から購入を続けた。子羊達はモンスターになることもなくすくすくと成長し毛刈りも無事にすることが出来た。もしかすると成長してモンスターになるかもしれないが、その時はそのときだ。


そんなことをしている間に冒険者組や商人組は孤児院と王都や港町を定期的に移動し、ポーションや木材を売りさばき、魚介類を購入するルートを安定させていた。もちろん俺達も新鮮な魚介類を運ぶために行くことはあるがほとんどは隣町と付近の農村を行き来するのが日課になっていた。そのおかげか冒険者組の顔見知りの冒険者や行商人とも仲良くなれたので今後何か役立つだろう。



そして、行商の真似をして数ヶ月、ついにこの時がやってきた。


「じゃ~ん!」


「イリヤちゃんおめでとう」

「すご~い!」

「……やった!」


ギルド証を掲げるクルスくんの隣で冒険者になったイリヤちゃんを皆で囲んで喜んでいた。


「なんだよ! 俺も祝ってくれよ!」


「……おめでとう」

「……おめでとう」

「……」


クルスくんが騒いでいるが俺達は呆れた感じでクルスくんを見つめていた。

というのもクルスくんとイリヤちゃんが成人し、冒険者ギルドに登録しついに冒険者となったのだ。当然のように俺と妹ちゃん、サクヤちゃんもついていったのだが、興奮したクルスくんが新人には受けられない討伐依頼を受けようとして、受付のお姉さんだけでなく、知り合いの冒険者にも怒られたのだ。なぜか俺達も一緒に……。

受付のお姉さんは仕事だけではなく本当に心配しているのがわかったし、冒険者の皆も先輩として叱ってくれているのはわかるんだけど、俺達を一纏めで扱うのはやめて欲しいなぁ……。

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