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ガタゴトッガタゴトッ
「なんか変な臭いがしてきたな」
初めて港町にやって来た子達が海の匂いに気づいて少し顔を歪めていた。まぁ、初めてならしょうがない、一度は通る道だ。
俺達は木材をさっそく港町に運び込んだ。ある程度の量が貯まったので角材なんかに加工するのは港町の皆にやってもらおうと乾燥だけしてもってきたのだ。じゃないと港町の木工組なんか暇してそうだからね。
今回は新しいステップホース達に馬車を引いてもらい、二台の馬車に木を山積みにしてきた。ステップホース達はクイーンに鍛えられてレベルが上がっていたので、普通の馬車くらいの速度だったが力強く馬車を引き、無事にたどり着くことができた。
俺達の主力商品であるポーション類は狼車に積んである。他にも今回は薪や炭なんかも持ってきたのだが、今回はそれが良く売れた。
いつものように隣町で野菜なんかを買ったのだが、そこの店員というか村人に薪は必要ないかと聞いたら嬉しそうに購入(物々交換)してくれたのだ。確かに薪は毎日使うから多くあっても困らない。というか、俺が竜の森に行った理由のひとつでもあるしね。
何軒か買い物しながら聞いてみたが森が近くにない村は薪を手に入れるのが大変らしい。それに竜の森の木は火が長持ちすることで有名らしい。普段から使ってる俺達にはわからない情報だ。そんな理由からどの人からも薪は喜んでもらえたので『アイテムボックス』に入ってるのを出しながら買い物をした。最近は木を伐りすぎて薪は売るほどあるので次はもっと持ってこよう。
「たくさん持ってきたなぁ……」
港町孤児院に到着すると皆に手伝ってもらい、持ってきた木を倉庫に仕舞った。馬車にもそれなりにあったが、もちろん『アイテムボックス』にもたくさんあるので当分木工組だけでなく他の子達も手伝いでやることはたくさんあるだろう。
ついでに近くにいた漁師さんの奥様方に聞いたところ、ここでも薪があると嬉しいと言われたので木工組には少し多めに薪を作るように言っておいた。
というのも持ってきた木の中には建物の加工にあまり向かない品質の物が含まれているからだ。冒険者組が伐ってきた物はモンスターを誘き寄せる為に手当たり次第に伐ったため、木の種類がバラバラだったのだ。葉っぱもバラバラだったし、新しい発見はあったけど欲しかった物は若干少なかったりする。まぁ、細かいところは木工組に丸投げしちゃおう。
「良い匂いだな」
「どれも美味そうだな」
荷物を渡した俺達は新しく来た子達を案内していた。やっぱり最初に目につくのは食べ物の屋台だろう。まぁ、目というより鼻なんだろうけどやっぱり魚介類を焼く匂いは良い匂いだ。これで醤油があったらもっと良いのに……。
「美味しいな!」
「あぁ、シャルちゃんの作るご飯の方が美味そうなんだけど、これも負けてねぇな」
一働きした後なのでさっそく屋台で買い食い。目につく屋台で手当たり次第に買っていく。値段が安いので大量に買っても問題ないが食べきれない分はアイテムボックスにしまってお土産に。
確かにシャルちゃんが作る料理はスキルの影響もあって美味しいのだが、とれたての食材を使った料理はまた違った美味しさがある。景色なんかも良いアクセントになってるみたいだし、いつか旅に出て名物料理とか食べてみたいな。
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