249
帰ってきてからは生産活動一直線だ。と言っても俺がやるのは木の処理ばかりなのだが……。
鍛冶用の鉱石も掘りに行きたいのだがこれは買うという手段があるので後回しになる。それに行くなら冒険者組も連れていかないと効率が悪い。
今は港町孤児院の増築にも使うし、木材並びに薪なんかはいくらあっても困らないので、ここらで大量に用意しておきたい。
(ゴォォォォォォォォ)
(ガッ、ガッ、ガツンッ)
(ガリガリガリ)
「新しいの、ここに置いておくぞ!」
「了解! って多くない!?」
木材加工の作業をしていると冒険者組が追加の木を持ってきた。持ってきたのだが量が少しばかり多すぎる気がする。
冒険者組には森の探索の最中に何本か木を伐ってくれるように頼んでいた。同じ所で伐りすぎるのも環境的にまずいので距離を空けるために数本だけ頼んだのだが……。
「いや、クイーンが張り切っちゃって密集してる所の木を伐らされたんだよ」
なぜクイーンが張り切るのかわからなかったが説明を聞いて納得。以前トレントを狩ったときもそうだったが、森には木を伐る音に反応して集まってくる動物やモンスターはたくさんいる。普段ならそれらが来ないように作業をするのだが、クイーンはそれを利用して獲物を呼び寄せて戦い続けたらしい。
一応一ヶ所で伐りすぎないようにしてはいたらしいのだが伐っては戦い、走って移動しまた伐ってと延々と繰り返していたらしい。幸いなことに現れるのがボアやゴブリン、蟻が多かったので数は多いが強くなくて助かったとの事。
「じゃあ、俺達も手伝うか」
「これも修行だからな」
山のように木を積んだら冒険者組は加工の手伝いをしてくれた。レベル上げで10レベルの恩恵があるとはいえ、筋トレが役に立たないわけではない。鍛えれば当然身に付くので力仕事は冒険者の仕事でもある。というより子供は色々とお手伝いして体を鍛える方が本当は先だと思う。
未だに魔法が得意な子が少ないので俺が次から次へと木を乾燥させていく。冒険者組は木を並べたり、枝を切ったり、皮を剥いだりと力仕事をやってくれている。切った後の仕分けとかもやってくれているので大助かりだ。
「こんどはあっちだよ」
「うん……」
「はいにゃ」
「がんばるにゃ」
「「「ワフッ!」」」
ここでは妹ちゃん達も大活躍だった。妹ちゃんが先頭に立ち、サクヤちゃん、猫姉妹、コボルトの子供達を引き連れて葉っぱの回収をしてくれていた。基本的には乾燥させた葉っぱを集めるのだが、冒険者組が持ってきた木が種類がバラバラだった為に色々な種類の葉っぱがあるので乾燥していない葉っぱも集めてもらった。
その中には大きな葉っぱや柔らかい葉っぱ、『鑑定』したら食べられる葉っぱもあってちょっとビックリした。柔らかい葉っぱは袋にぎゅうぎゅうに詰めて枕やクッションにしてみたら思いの外好評だったので現在予約待ちだったりする。
しかし、妹ちゃん達が頑張ってくれるのはありがたいのだが、葉っぱが集まりすぎている事に少し困っている。新しい葉っぱでクッションという使い道が出来たが基本的に火種に使うか肥料くらいしか使い道が思い付かない。
ただ、頑張っているのはありがたいので今度焼き芋でも焼いてみようかな? 銀紙も新聞紙も無いので上手く出来るかはわからないのだけど……。
石焼き芋って手もあるけどあの石って何か特別な石なのかなぁ?
「孤児院テイマー」小説三巻、コミック一巻好評発売中です。
コミックの方は重版が決まったらしいです。おめでたいですね!
これからもWeb版、小説、コミックと宜しくお願いします。




