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「「こんにちは!」」
「「「ウォンッ!」」」
「おおっ、冒険者のじいさんに坊主達かぁ、久しぶりだなぁ」
暗くなり始めた頃、俺達は近くの村にたどり着いた。お土産にはミルホーンにビッグコッコ、ファイティングブルのお肉がある。ミルホーンにビッグコッコはいらないと言われたら村の外へ逃がせばいい。
「元気にしどったか?」
「おうっ! 元気だぜ!」
「げんき!」
馬が合うのかクルスくんと妹ちゃんは村の見張りのおじいさんと話し込んでいる。大声で話していると村の人達もこちらに気づき、子狼達を見て俺達を思い出してくれたのか次々に集まってきた。お土産を渡すと喜んでくれて、帰りに藁を貰えることになった。この辺りにはチーズの村や牧畜の村、農村などもあるからアイテムボックスが無かったら荷物が大変な事になっていただろう。
「クルスくん頑張れ~」
「まけるなー」
「まだいける!」
お土産のお肉があるので今日も村の人達と広場で宴会になった。こっちの村に来るといつものようにクルスくんが村の子供達と大食いを始め出した。お肉をお腹いっぱい食べられる機会などあまり無いのでちょっとした娯楽のようになっていて村人皆が楽しんで見ていた。
クルスくんもいつもなら楽しみながら食べるのだが今日はやけ食いだ。というのも今日はステップホースが見当たらなかったのだ。ぴーちゃんに空から探してもらったりもしたのだが残念ながら見つからなかった。まぁ、広い草原だから見つからない事もあるだろうけど、それでも野生の馬を捕まえるのは難しい。
「めっだに見ねぇげんど羊や山羊も探せばいるだど」
こちらが持ち込んだお酒や干物なんかを一緒に食べていると村の人から重要な情報が! どうやらこの草原にも羊や山羊が生息しているらしい。モンスターなのか野生動物なのかはわからないがこちらも探してみよう。
クルスくんを筆頭に子供達がお腹を膨らませて寝転がっているがデザートの果物は食べられるのかな?
最初の村を筆頭にいくつかの村を回った。広い土地を利用した農業や畜産に特化した村のために少し距離はあるが、走り回る俺達には問題なかった。村へのお土産を狩ったり捕まえたりして村の人達に喜ばれはしたのだが、残念ながら目的のステップホースは四頭しか捕まえることが出来なかった。
羊や山羊の方もレアな存在なのか見つけることが出来なかった。こちらの方にはおじいさんに連れてきてもらわないといけないので捕まえたかったのだが、次回に期待しよう。
「うぢのチーズのが美味いでな。んだどもそっちのもなかなかだなぁ」
チーズの村では孤児院産のチーズの品評会が行われた。というか、味見をしてもらうだけのつもりだったのだが、いつの間にか村の人達がチーズ料理を持ち寄って大宴会に突入してしまったのだ。
「この料理にはやっぱりうちの村のチーズだなぁ」
「こっちだど意外にこれに合うど」
チーズは産地や原材料の乳の違いで味がけっこう違ったので料理によって合う合わないがあった。その為村人達も料理の話で大盛り上がりだった。帰りにはもちろんお互いのチーズを物々交換している。
おじいさんの家に帰るとさっそくクイーンがやって来てステップホース達を連れていってしまった。きっと修行させるんだろう。まぁ、クイーンはこの牧場の主なので他のステップホース達との仲も取り持ってくれるだろう。
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