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少しすると着替え終わった子達が来て妹ちゃん達と遊び始めた。元々川なんかで水遊びはしていたのだが、海水を顔に受けると皆しょっぱさに驚いていた。
そうやって「ワーワー」「キャーキャー」と遊んでいるとどこからともなくクルスくんがやって来ていつの間にか一緒に遊んでいた。
妹ちゃん達が遊んでいるのをのんびり眺めていると港町孤児院の子供達が羨ましそうに見ていることに気付いた。
「よかったら一緒に遊ぶ?」
彼らに近づいて聞くと
「でも、お仕事しないと……」
「お手伝いやらないと……」
と、どうやら干物作りの途中で見ていたらしい。子供達的には働かないとご飯が食べられない、みたいな気持ちなのだろうが子供なら遊ぶことも必要なはず。さすがに全員が遊ぶのは難しいだろうけど、順番に遊ぶのは問題ないだろう。仕事をサボって遊んでる! と思われてはいけないので干物作りの責任者、というかまとめ役の子に話は通しておく。
まとめ役の子も無理に働かせるつもりはないらしく、遊ぶ許可は貰えた。というか、子供の数が多くて働く子供が余り気味らしいので大きい子供中心に働くようにするらしい。その大きい子達も順番で遊ばせるつもりらしいが……。
さすがに全員分は無いので小さい子供達はパンツ一丁で遊びだしたのだが、それでも海で遊ばない子供達もいた。よく見ると猫姉妹も羨ましそうにしているが海には入っていなかった。
「皆と一緒に遊ばないの?」
「海に入るのは怖いにゃ」
「でも、楽しそうにゃ……」
あ~、確かに猫は水が苦手だっけ。いや、うちの妹ちゃんは普通に遊んでるな。まぁ、苦手なら別の遊びを教えるだけだ。
「ならこっちで皆で遊ぼっか」
海で遊べない子達を誘い砂浜の波が届かない所へ移動した。それからスコップや桶を取り出すと皆に手伝ってもらい砂山を作った。
「何するの~?」
「おっきなお山作るの~?」
「違うよ、今からお城を作ります!」
子供達は「???」な顔をしていたのでザックリと形を作ると何となくわかったのか城作りに参加し出した。さすがに全員が集まると作り辛いのでいくつか山を作り数人ずつにわかれて遊んでもらった。人数が多いので木片をヘラの代わりに使ってもらった。
完成した城は統一性のない様々な形をしていた。皆本物のお城を見たことがないので想像でつくったらしい。そういえば俺も日本の城は見たことがあるけど外国のお城は見たことがなかったな。
完成した城を見ていると一つ完成度の高い物があった。なぜか参加していた大工組の作品らしい。休憩中に気付いて良い気分転換になると喜んでいた。いつの間にか妹ちゃん達も混ざっていて結局海で遊んでいた子も混ざって遊んでいた。
そんな海遊びや干物作りの仕事を繰り返しながら孤児院作りも進めていた。海遊びではクルスくんが波にさらわれたり砂の城を壊して砂に埋まって大変だったがそれ以外は子供達は楽しそうに過ごしていた。
一月も経つ頃に港町孤児院は完成した。途中で子供達の人数が増えて増築するハプニングがあり、危うく資材が足りなくなるところだったがが部屋数優先の立派な建物だ。
子供達も自分達の家が出来たと大喜びだ。
しかし、喜んでばかりもいられない。フレイの町ならば冒険者になるという最低限の道があるがこの港町では難しい。子供達が自立出来る何かを一緒に探していかなければ。
そう、俺達の戦いはこれからなんだ!
お知らせです
このようなタイミングであれなんですが、『孤児院テイマー』の三巻が出してもらえそうです!(パチパチパチ)
コミカライズの一巻も同時……ではないですけど同時期に発売するようです。
宜しければご予約お願いします。




