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「「「ミュウーーーー!」」」
海に沈んだミュウを助けようと慌てた俺達だったが、「キュウッ!」とひょっこり海から顔をだした。どうやら無事だったようだ。ホッと一息つくとミュウの側に子兎達が近寄り何かを話したと思ったらミュウがこちらに向かって泳ぎだした。
「ミュウ大丈夫か?」
「キュイ!」
浜辺にたどり着いたミュウは身体をブルブルふるわせ水を飛ばすと元気に鳴いた。
今の海を走ったことを聞くとスキルではなく自力で走ったらしい。少し前に兎族の冒険者に教えてもらった走り方にヒントを得たようだ。
それとは別に子兎の事も確認したら子亀の上に乗っているだけらしい。仲良くなったから散歩? してたんだって。
「ウォン!」 「「「ワフッ!」」」
子兎達の謎が解けたと思ったらクイーン達が海に向かって走り出した。何かと思って見ているとそのまま海に飛び込んでいった。しかし、びしょ濡れになったクイーン達はしょんぼりしながらすぐに戻ってきた。
「クイーン、何やってるの?」
俺がクイーンに聞くと
「クゥ~ン……」
との答え。海を走ったミュウに対抗意識を燃やして負けじと挑んだが失敗したらしい。ミュウに聞いて『鑑定』でも調べたが、これはスキルじゃないのでクイーン達が走れるかどうかは謎だと思う。
「おにいちゃん、あたしもやりたい!」
いつの間にか起きていた妹ちゃんが自分も挑戦したいと言ってきた。子亀達も泳いでるし、漁師さんに聞いたかぎりこの辺りにモンスターは出ないらしいので海に入るのは大丈夫だと思うのだが、服のまま入るのはちょっと難しいと思う。
「ふふふっ、シュウ、こんなこともあろうかと良い物があるわよ!」
俺と妹ちゃんの会話を見ていた商人組の女の子達が何かを取り出して来た。それは『水着』だった。
「これは王都で買った水中用装備よ! 港町にいるんだから必要でしょ?」
確かに必要だと思うけど買ってきた水着は機能よりも見た目に力を入れている気がする。というかこの港町にも売ってるんじゃないのかな?
「ちなみにこれは女の子用で男用はここで買ったやつね!」
と、取り出したのは全身ピッチリした水着? だった。確かにこれは女の子が着るには辛いと思う。見た目のわりに性能も良いらしいのでその時は納得したのだが、馬車の中で買ったことを聞かなかった水着の値段を聞いて卒倒仕掛けたのはしょうがないと思う。そのお金があればミスリルの武器がいくつ買えた事か……。
「じゃあ、あれに着替えたら海に行って良いよ」
そう言うと妹ちゃんだけではなく他の女の子達も一緒に着替えに行ってしまった。さすがに女の子だけでは何かあると怖いので冒険者組の子達にも一緒に海に行ってくれるようにお願いした。さすがに全身ピッチリの水着は嫌だったのでズボンに上半身裸という姿になった。
商人組が言うように裁縫組に水着作りも頼まないといけないかもしれないな。まぁ、漁師さん達はそんな水着を着ていないから男にはいらないかもしれないけどね。
「さくやちゃん、いこ!」
いち早く着替えた妹ちゃんが焦るサクヤちゃんを連れて飛び出してきた。妹ちゃんもサクヤちゃんも水着はちゃんと着れたようで元気に走っているが準備運動はしたのかな?
(ドボーン)
なんて思う間もなく妹ちゃんは海に突撃していた。
「つべたーい!」
その後も妹ちゃんはサクヤちゃんの手を引き海への突撃を繰り返して遊んでいた。最初は浜辺にモンスターが来ないか心配していたがシーキャットや小亀に子兎達が普段から警戒してくれてたらしくあまりこの辺りには寄ってこなくなったらしい。今はクイーン達も海の上を走る練習しながら警戒してくれているので安心だろう。




